新しいものへの抵抗

2001年小泉内閣で経済財政政策担当大臣し、02年金融担当大臣に、そして04年郵政民営化担当大臣を兼務して郵政民営化を進めた中心人物に竹中平蔵氏がいます。彼の行った改革についての評価は別として、新しいことに取り組むことの大変さ、抵抗はかなりあったでしょう。朝日新聞の「仕事力」という連載に、竹中氏が今日更新された記事で、その時の悩みについての取材に答えています。その悩みは、何事においても、新しいことに取り組むとき、何かを改革する時につきものです。今日のタイトルは、「答えのない新しい仕事に反動はつきものだ」です。
 竹中氏はこう話し始めます。「あなたは、日常の仕事に疑問を持つ人だろうか。改善点や工夫を考える人だろうか。そうだとしたら、冷たい視線を浴びた経験があるかもしれませんね。私も政策の世界に身を置いて、そういう多くの経験をしましたから、実感としてよく分かります(笑)。頭では前へ進まなくてはと思っていても、いざとなると人間は自分に変化が及ぶのを嫌うからです。」
 昨日、私の園の運動会でした。そのプログラムは1部と2部に分かれています。1部は、園の前の小学校の体育館で行います。そこでは、我が子の運動能力の発達、成長を保護者の方に確認してもらうと同時に、他の子どもたちの発達、成長を見てもらい、その成長を共に喜んでもらおうという趣旨で行われます。ですから、一つずつの運動を丁寧に見てもらいます。2部は、小学校の校庭で、親子で体を動かす喜びと、親子の触れ合いを体験してもらおうという企画です。4年前に、このような内容にしたときに保護者の何人かから、「運動会は秋空のもと、屋外でやるものだ」という意見が多く聞かれました。特に何人かの保護者は強く苦情を言ってきました。それでも園では丁寧に説明をしてきたのですが、なかなか納得してくれませんでした。しかし、今年、運動会が終わって、強固に反対をしていた保護者が「やっと、体育館でやる意味がわかりました。このような形がベストですね」と言ってきてくれたのです。毎年、子どもたちの姿をきちんと保護者の皆さんに見せようと取り組んできたことが理解してもらえたのです。
 竹中さんは、こう言っています。「それでも、やらなくてはならないと信じることは、やはり放っておけない。正しいと思うことに進むべきですが、それだけでは足りません。何をしようとしているのか、何回も何回も言わないと分かってはもらえません。また正確なだけでは不十分で、分かりやすく、届きやすい工夫をしなければならない。」その為には、「日本の若い人にはそれを学んで欲しいと思います。“主張”に耳を貸してくれない同僚や上司を嘆くだけではなく、自分の伝え方を振り返ってみることです。」
 新しい取り組みは、何のためにやるのか、何をしようとするのかが伝わらなければ相手には理解してもらえません。最初は、刷り込みから判断したり、変えること自体に反対することはありますが、子どもを思う気持ちがあることは信じないとことは進みません。つい、反対にあうとくじけそうになります。そんなときに、竹中氏は、明治維新の精神的な指導者だった教育者、吉田松陰の辞世の句を思い出すそうです。「身はたとひ 武蔵の野辺に朽ちぬとも 留め置かまし 大和魂」(この身はたとえ武蔵の国で朽ち果てても、日本国を思う心は留め置くぞ)という決意を死ぬときまで持ち続けているのです。この句を読んで、竹中氏は、「現代なら決して命を奪われることはない、何と恵まれたことかと自分を奮い立たせていました。」と言っています。私も、よく職員に、いくら苦情を言われても死ぬことはないので、丁寧に伝えていこうと励まします。誰でも、いつでも新しいことを始める時の抵抗はあるものです。