今月18日の 読売新聞にこんなニュースが掲載されていました。「翼を広げた大きさが5メートルを超える史上最大の鳥の化石をチリ北部の約500万~1000万年前の地層で発見したと、独ゼンケンベルク研究所とチリ自然史博物館のチームが発表した。」というものです。最近、アルゼンチンで2億3000万年前の三畳紀の地層から初期の恐竜化石が次々と見つかったことから、恐竜の先祖が解明されはじまたことをブログで取り上げましたが、今回も同じ南アメリカのチリから頭骨や翼、足、背骨など全身の7割の化石が見つかったのです。その化石からは、翼幅は5.2メートル以上あり、体重は20~30キロあったであろう鳥の姿が推定されるようです。その形は、ペリカンを大きくしたような体格で、くちばしには、骨が変化した歯のようなギザギザがあり、魚などを捕食したとみられています。この史上最大の鳥の学名は「ペラゴルニス・チレンシス(チリ産の海鳥)」と命名されました。
まだまだ、化石が見つかることでいろいろなことが分かってきそうです。今日の読売新聞に中村彰彦さんが「絶滅恐竜からのメッセージ―地球大異変と人間圏」(松井孝典著 ワック文庫)という本を紹介していました。そこでは、今年、約6500万年前に起こった恐竜絶滅は、小惑星が巨大隕石となってユカタン半島北端に激突、地球環境を一変させたことによって起こったことが確実になったという結論に達した調査が詳しく説明されているそうです。この調査に大きく寄与したのが、この本の著者である惑星科学者である松井さんによるユカタン半島チチュルプでのフィールドワークだったそうです。
松井さんは、この本の中で言いたかったことはこんなことのようです。隕石の残したクレーターの直径は300キロメートル、衝突エネルギーは「世界の核弾頭のほぼ10万倍に相当」したといいます。今後も核軍縮に逆行する動きがつづき、かつ同時爆発など起こせば人類と現世動物は絶滅することもありうるわけで、このような問題を松井さんは、指摘しています。
恐竜の絶滅、または宇宙の始まりについての解明や考察は、もちろん科学者のあくなき探究心や、科学への挑戦という面が大きいのでしょうが、同時に将来への警告でもあるのです。壮大な世界はロマンを感じるとともに、人として生きていく意味も感じることができます。そして、今生きている私たちは何をすべきか、何をするためにこの世に存在しているのかも考えるきっかけになります。その為には、ひとつの出来事、史実から独自の「洞察力」が必要になります。読売新聞では、その観点から中村さんは、他にも2冊の書籍を紹介しています。そのもう1冊が「信長が見た戦国京都」(河内将芳著 洋泉社歴史新書)です。この本は、応仁、文明の乱以降の京都に町並みについて考察した作品です。京都の町は敵襲に備えて堀と防壁に囲まれ、これらの町が上京、下京といった集団(惣町)を形成し、自治を重んじました。信長は、これを見て洛中を支配したといいます。今迄「信長の残虐性」の一言で片づけられてきた比叡山延暦寺の焼き打ちも、京における街の成立と関連付けることができるのではないかと分析しています。
中村さんは、これらの本を「テーマに対して独自の掘り下げ方をしているのが美点」と評しています。この美点は、新しいものが生まれる起点となることが多いのです。
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自信
今の若者は、どうであるか、どのような意識を持っているかという比較を、よく韓国や中国の若者とすることが多くあります。同じアジアの国民であるために、同じような傾向を示すこともあり、また逆に、隣国でありながらずいぶんと違うところも多くあります。最近取り上げられる意識調査に、「若者の自信」についてがあります。日本青少年研究所・日米中3カ国高校生意識調査2002によると、「私は他の人に劣らず価値ある人間である」という問いに対して、「よく当てはある」「まあ当てはまる」を選んだのは、米国89.3%、中国96.4%に対して、日本の子どもは、37.6%でした。
慶応大学河内和子さんの14,5歳調査で、「自分に積極的な評価をしている」という問いに、「そう思う」を選んだのは、中国94%、スウェーデン83%、アメリカ78%に対して日本では40%でした。日本の子ども、若者の自信のなさはダントツであるという結果です。
また、小学5年生の自己評価比較では、日中で比較をしてみると、「勉強ができる子」については東京8.4(%)に対して北京14、「友達から人気のある子」では、東京は9.8北京31.6、「正直な子」では、東京12北京39.3、「親切な子」では、東京12.3北京41、「よく働く子」は、東京14.3北京39.8、「勇気のある子」は、東京19北京37.5でした。東京の子は北京の子に比べて、ずいぶんと自己評価が低いですね。
ダイヤモンド・オンライン メールマガジン 2010/09/17号にもこんなデータが掲載されていました。「~日中共同世論調査から浮かぶ 中国人の『自信』と日本人『不安』」です。この調査は、日本の言論NPOと中国の主要メディアの一つ、中国日報社が毎年、北京と東京で交互に共同で行っているものです。この調査によると、中国人は中国経済の2050年を「米国と並ぶ大国となり影響力を競い合う」と半数を越える57.1%も見ており、さらに25.9%が「世界最大の経済大国になる」と回答するなど、中国人の8割が、米国に並ぶか世界最大の経済大国になると予測しています。そして、これからの世界政治をリードしていく国や地域はどこか、に関しても、米国が55.3%で最も多いのですが、中国だと思っているのは49.7%と米国に迫っており、中国人は自国に対する自信を強めています。
このような中国の自信は、日中関係に関する認識をより客観的にする副次的な効果ももたらしているといいます。たとえば両国の歴史認識問題でも、中国人が歴史問題の解決するべき課題と感じているのは「侵略戦争に対する日本の認識」、が57.6%で最も多く、54.3%が「南京虐殺に対する認識」で続いているものの、「中国の反日教育や教科書の内容」を選んだ中国人は、昨年の19.0%を大きく超え、28.0%になっています。
自国への自信は、他国に対する寛容な心を持つ余裕を与えるようです。これは、国同士だけの問題ではないようです。たとえば、保育所保育指針に、子どもたちの情緒の安定には、「自分への自信を持つことができるよう成長の過程を見守り、適切に働きかける。」ことが必要であることが書かれてあります。自分への自信が情緒を安定させ、人への寛容の心を持ち、周りに対して積極的に関わろうとします。今、日本人は、自分への自信がどんどん失われているようです。
はじまり3
現在の物理学では、理論的に扱うことのできる大きさの限界があることを知りました。それが10のマイナス33乗だそうです。そうなると、例えば宇宙が無から生まれ、急激に大きくなるとして、その大きさの最小限界があるとしたら、時間にも限界があることになります。それは、およそ10のマイナス43乗秒です。これは、限界の大きさである10のマイナス33乗センチメートルを、真空中で光(速度は、秒速30万キロメートル)が通過するのにかかる時間に相当するそうです。時間の限界があるということは、宇宙誕生から10のマイナス43乗秒間は、物理学者がどうしても乗り越えられない、最後に残された「なぞ」の部分で、世界中の科学者がその謎に挑んでいるのですが、いまだに答えが得られないようです。この時間を「ブランク時代」と呼んでいます。このブランク時代を解き明かすには、新しい理論が必要だそうです。
宇宙誕生のその瞬間はわからないにしても、その後の膨張については次第に分かってきています。この膨張について、1980年代に日本の佐藤博士とアメリカのグース博士はそれぞれ独自に「宇宙は生まれた直後に、すさまじい速度で巨大化した」と考え、グース博士はこの急膨張を「インフレーション」と名付けました。知らないうちに、宇宙は、ビッグバンという爆発が起きて、それが急速に広がったという考え方が変わってきているようです。それは、ビッグバン仮説ではいくつかの矛盾した点が出てきたからです。では、どうやって、急膨張が起きたかということはまだよくわかっていません。私は、このような解明の歴史を知るたびに、ある事実を知識として覚える意味を考えてしまいます。この事実とは、宇宙の成り立ちである宇宙の歴史だけでなく、世界史、日本史の中でも言えることで、実は、事実ではなく、その時点で事実だと思った内容ということなのです。ですから、それらを覚えることに意味のないこと、それよりもその不思議さに興味関心を持つことの大切さを、事実の書き換えが訴えている気がします。
宇宙の膨張には、今の自分の存在を考える上でとてもよい示唆を与えてくれます。宇宙は、とてつもないエネルギーで、奥から手前に、過去から未来に向かって一瞬にして巨大化します。それは、ウイルスのようなミクロな宇宙が誕生から10のマイナス36乗秒から37乗秒後という一瞬に、10の30乗倍に巨大化したと考えられています。これは、1兆×1兆×100万倍に巨大化したということです。巨大化したと言っても、まだまだ100メートルくらいの大きさです。その宇宙では、物質のもととなる素粒子が生まれ、超高温、灼熱状態になりました。これが、「ビッグバン宇宙」です。その時は、宇宙誕生から10のマイナス27乗秒後ころのことであり、宇宙は1000キロメートルほどになっていました。
やっと、今月号のテーマである宇宙誕生から1秒後の宇宙の姿に迫ります。宇宙誕生から100万分の1秒後、宇宙は数兆℃という超高温で、電子、素粒子、反粒子が勝手に飛び交っていました。10万分の1秒が位になると、1兆℃ほどに下がり、素粒子の動きが鈍くなり、「陽子」と「中性子」が作られます。この二つは原子核の材料になります。そして1秒後には、反粒子は消えて、「陽子」「中性子」「電子」「陽電子」が飛び回ります。その原子核と電子で「原子」ができるため、この時期には原子の材料がそろいます。それらそろった材料から、いろいろなものが生まれてくるというNewton今月号のテーマが説明されていくのです。この材料がすべてそろったのが、ほんの瞬きをするほどの短い時間だったのです。
今、宇宙の誕生後137億年です。その長い時間の間に宇宙には何が起きてきたのでしょう。その出来事は、宇宙にとって意味あることだったのでしょうか。宇宙の片隅のほんの小さな地球という星に住む私たちは、広大な宇宙の中でほんのごく小さな存在ですが、こんなに広大な宇宙を創造できる力を持っています。人類の想像力とは、どんな広い宇宙でも飲み込むことのできる広さを持っているのです。
はじまり2
私たちが住んでいる銀河系など様々な星の間の宇宙は何もないように思えますが、そうではないようです。ですから、宇宙という猛烈な勢いで膨張し続ける空間が存在するのです。私たち自然界には水素からウランまで92種類の元素があります。このほかにも、人工的につくられたものも今ではあります。高校生の頃は、この元素周期表を覚えたものでした。もともと元素とは、万物の根源をなす恒常不変の究極的構成要素を指し、ギリシャ哲学においては土、空気、火、水などを指しました。したがって、元素記号と呼ばれるものはギリシャ神話から採られたものが多くあります。最初の水素のHも、ギリシャ語の「水を(hydro)生じる(gennao)」ことから取られていますし、2番目のヘリウムHeは、ギリシャ語の「太陽(helios)」から、次のリチウムLiは、ギリシャ語の「石(lithos)」が由来です。
自然界には、これらの元素があるのですが、その内訳は92.4%が水素、7.5%がヘリウムです。残りの元素は全部合わせても0.1%しかないそうです。1940年代後半に、ロシア生まれの物理学者であるガモフは、水素とヘリウムがあまりにも多すぎると考えました。もともとヘリウムは、太陽などの恒星の中で水素の核融合反応によってつくられるのですが、こんなに多いとなると、もともと宇宙には大量なヘリウムが存在していたのではないかと考えました。そこでガモフは、「大昔、宇宙全体には水素が満ちていて、超高温、超高密度であり、その時に起きた核融合反応で大量なヘリウムが合成された」と考えたのです。このような宇宙は、「ビッグバン宇宙」と呼ばれているのです。
このビッグバンは、宇宙の最初の姿ですが、ではこの「ビッグバン以前、そこに何があったのでしょうか?」という疑問がわきます。現在、多くの学者が考えている宇宙の誕生とは、私からすると、なんだかだまされた気になりますが、それが科学というものかもしれません。それは、堂々巡りから脱出する為の考え方です。まず、考え方を二通りに分けます。「ビッグバン以前に、何かがあった」とします。それは、ビッグバン以前のある宇宙からどんどん収縮していって高密度なビッグバンができたとします。または、親宇宙のようなものがあって、そこから高密度な宇宙が生まれたと考えです。そうすると、これらの説は、宇宙の始まりを語ったことにはなりません。何かがあったという説は、その何かの最初は何かという堂々巡りに考えに陥ってしまします。そこで、「ビッグバン以前には何もなかった」ということにしたというのです。「何も無い状態から宇宙が生まれた」という場面を想定するしかなかったのです。実際に、1980年代には、無から生まれる宇宙のシナリオを理論的に考える科学者が出てきているようです。
またまた、私の理解を超える難しい問題が起きます。それは、初めは小さかった宇宙が、誕生直後はどうだったのかというと、現在の物理学では、誕生の瞬間の様子は知ることができないというのです。それは、現在の物理学で理論的に扱うことのできる大きさの限界があり、それ以上の小さいものは無理だというのです。その限界の大きさとは、約10のマイナス33乗センチメートルで、小数点以下ゼロが32に個並ぶほど小さいものです。この大きさを「ブランク長」というそうで、現在の標準的な物理学が取り扱うことのできる最小の長さだそうです。こうなると、私はなんだかワクワクします。というのは、私の思考を超えるため、逆に探究心をくすぐるのです。
はじまり
すべての恐竜が滅びた不思議さは、解明されたと言っても私たちはまだはっきりとは合点がいきません。それは、私たちの想像を絶するというか、理解を超える世界であり、誰も直接見たわけでもないので確たる証拠がないからでしょう。しかし、だからこそ私たちにロマンを与え、夢を与えるのでしょう。その中で、もっとも私たちの想像を絶するのは、宇宙の成り立ちでしょう。「宇宙はどのように始まったのか?」ということです。始まりはいつでも不思議です。ニワトリと卵ではありませんが、いつから始まったと言われても、ではその前は何だったのか、宇宙が広がっていると言われても、ではその外には何があるのかと子どもの頃はよく大人に質問をしていました。しかし、その解明は、まだまだ新しく、日々新しい理論が発表されています。そんな内容がNewtonの今月号に「無からはじまった宇宙誕生の1秒間」という特集が組まれています。
この特集のリードには、私たちを惹きつける、魅力的な言葉が書かれてあります。「宇宙はまったく何もない『無』から誕生した。そして、1秒もたたないうちに、宇宙のすべての材料が出そろった―。SFではなく、これが宇宙創造の有力なシナリオです。1秒は、私たちの心臓がおよそ1回拍動するほどの短い時間です。一体どのような思考を経て、科学者はこんなシナリオをえがきだしたのでしょうか。137億年前に起きた『宇宙の始まり』にせまります。」
この宇宙誕生の秘密については、恐竜を特集したNHKでも今年放送されていました。そこでは、こんな紹介をしています。「20世紀、人類は、宇宙が137億年前のビッグバンという大爆発で始まったことを知った。しかしその後、どのようにして現在のような星や銀河のあふれる世界となったのかは、まったくの謎であった・・・・・今年1月NASAは『最も遠い宇宙の果ての撮影に成功した』と発表した。この撮影を行ったのが、高度600kmの大気圏外に浮かぶハッブル宇宙望遠鏡。そこには“131億光年”離れた天体が写っている。この天体の光は、131億年前に発せられ、宇宙空間を旅した末に地球に届いたもの、つまり131億年前の過去の姿だ。即ち、誕生まもない太古の宇宙の姿そのものであり、ここに宇宙の始まりの謎を解く重大な手がかりが隠されていた。」

1900年ころまでは、科学者は「宇宙は永遠の昔から存在していて、ほとんど変わっていない」と考えていました。1900年代初めのころは、アインシュタインでも宇宙は永遠不滅であると強く信じていたそうです。後に宇宙は膨張していることを知って自らの誤りを認めています。「ほとんどの銀河は、われわれから遠ざかっている」ことを観測したのは、1929年、「ハッブル宇宙望遠鏡」に名を残しているハッブルでした。観測してみると、ほとんどの銀河が、天の川銀河から遠ざかるように動いている様子が見えます。しかし、その動きは、どの銀河から見てもほかの銀河は距離に比例した速度で遠ざかって見えるとしたら、宇宙の空間全体が膨張している必要があるのです。その速度を、ハッブルは銀河からやってくる光の波長の変化を観察することによって割り出します。それは、光を発した銀河が遠ざかるに従ってその波長が引き延ばされるために赤くなるので、その変化を観測したのです。
では、宇宙の始まりに近づくために、次は、大昔はどんな宇宙だったのかを考えます。それは、膨張し始める初期の姿です。この宇宙が「ビッグバン宇宙」と呼ばれているものです。
逆転劇
ソニーの「ウォークマン」と言えば、まず「WALKMAN」の「A」の文字から生えた足が歩き出すというグラフィックロゴを思い出します。その後、何回かロゴのリニューアルを繰り返して、現在のロゴのデザインは、「●」をつないでウォークマンの頭文字「W」を表現していて、2000年より使用されています。

もうひとつ印象に残っているのは、1987年に流れた携帯テープレコーダーのテレビコマーシャルです。「瞑想するサル」として新商品のソニーのウォークマンを手にして、まるでききほれているかのようにうっとりとした表情で音楽を聴くありさまが「進化した人間を連想させるたたずまい」と言われ、当時の話題を集め、CM大賞・最優秀スポット賞を受賞し、日本だけでなく世界で注目を集めました。この初代の猿のチョロ松は「周防猿まわしの会」に所属し、東京・代々木公園で大道芸をしていたところをスカウトされたそうです。
このように、時代の中で話題を提供してきたウォークマンは、音楽業界に到来した「デジタル化」の波に乗って市場を席巻したiPodシリーズに押され、市場から締め出されてしまったのです。iPodは、一時はシェアが80%に迫る「独り勝ち」に対し、ソニーは10年に投入したデジタル用「ウォークマン」が、ソニーの独自規格にしか対応しないなど、低迷していました。しかし、ウォークマンは16年以降、操作性を改善したうえ、ネット接続など多機能化を進めるiPodとは違う「音楽専用プレーヤー」に特化した販売戦略を取り、徐々に支持を回復してきたのです。歌に合わせて歌詞が確認でき、スピーカーがセットのものもある現行の「Sシリーズ」モデルは、同じ容量のアイポッドに比べて1万円前後安いこともあって中高生に人気が出て、今回の逆転劇が起きたのです。
そのあたりについて、各新聞や週刊誌で分析していました。今回の逆転劇は、一時的な要因も無関係ではないのかもしれませんが、巷のトレンドや声を分析すると、話はそう単純ではなさそうです。ここにきて、iPodシリーズとウォークマンシリーズには、明確な路線の違いが見て取れるようです。それが多様なファンを取りこみ、市場を拡大させる原動力となっているのではないかとみています。
もともとパソコンメーカーであるアップルは、iPodにネット接続を前提とした多機能化や利便性の向上を図ってきたのに対して、ウォークマンはあくまで音楽を“聴かせる”という本分に徹してきた感が強いのです。たとえば、最新のウォークマン「X」シリーズは、デジタルノイズキャンセリング機能にフルデジタルアンプを搭載。高音質での再生環境にこだわった設計が目を引き、ソニーがフラッグシップモデルとして世に送り出した自信が随所に感じられるといいます。さらに、ソニーは自社開発の高級イヤホンを搭載し、音質のよさを強調しています。
それに対して、9月1日に発表された新型iPodでは、世界で1億6000万ユーザーを抱えるiTunesに音楽ソーシャルネットワーク機能が加わり、好きなアーティストや友人たちとコミュニティをつくって楽曲情報を交換するサービスが始まっています。すると、ソニーではクラウドを使って数百万の楽曲にアクセスできるようになる予定です。
ソニーの製品開発は、日本人の音楽の“聴き方”に特化したリサーチをした産物であり、日本発のメーカーとしての特徴を生かしています。また、地道な努力がコアな音楽ファンを魅了し、市場に「静かな異変」を起こし始めたということのようです。ただ価格競争するのではなく、機能を付加していくだけの競争ではなく、日本発のものとして、自社の強みをもう一度見直し、何に特化していくかをきちんと見つけていくことが必要なようです。
携帯音楽プレーヤー
毎年、ビールのシェア争奪戦のニュースが流れることが多いのですが、そのほかの商品のシェアも話題にのぼります。こんなニュースが流れました。「長らくデジタル携帯音楽プレーヤー市場を席巻してきたアップルの「iPod」を抑えて、この8月、ソニーの“ウォークマン”が月間市場シェアで初めて首位に躍り出た。」というものです。そのニュースは、少しびっくりしました。なぜかというと、最近はアップル社が話題に上ることが多く、iPod iPhone iPadというような話題性のある機種を次々に発表しているからです。その中で、アイポッド(iPod)という携帯音楽プレーヤーを若者の誰もかれも持って歩きながら聞いている姿を見ることが多かったのです。8月にソニーのウォークマンがそれを抑えてトップに躍り出たのです。このような市場シェアの逆転劇には、関係者も驚いた様です。それは、iPodの新製品が発売される前の「買い控え」によるものなのか、それとも、ソニーによる地道なブランディングの賜物か?ということで、一過性の出来事だととらえられていたのですが、実は、そうとは言い切れない新たな市場の動きが見えてくるようです。そこには、日本の音楽(プレーヤー)シーンが関係しているようです。
実は、私はソニーの「ウォークマン」を使っています。それは私の子どもたちがプレゼントしてくれた物なので、なんでそれを選んだのかは聞いてみないとわからないのですが、どうも若者たちが選ぶ理由があるようです。ウォークマンが瞬間的にiPodを抜いたことは、過去にもあったようです。しかし、今回はその時の事情とは様子が違うようです。その事情が、先日の日経新聞で分析されていました。
全国量販店のPOSデータを集計・調査するBCN(東京都千代田区)によると、8月第1週のシェアは、iPodの45.7%に対してウォークマンが46.7%と、ソニーがわずかに上回った程度だった。ところが、第2週になると、iPodの44.7%に対してウォークマンが48.1%とその差を広げ、ついにはソニーが8月月間で首位を獲得したのです。これは、2001年の調査開始以来、初めての現象だといいます。これにより、直近のシェアはソニーが47.8%、アップルが44.0%となっています。
この両社は国内市場の“二強”と呼ばれており、2社合計で9割以上のシェアを持つほど独占しています。しかも、その中でアップルがずっと首位を独走してきました。それは、iPodは携帯音楽プレーヤーの先駆けとなり、音楽産業の構造さえ様変わりさせてしまったほどのすさまじい人気でした。2001年秋に初お目見えしたiPodは、当初、Macintoshのみに対応したシリコンオーディオとしてリリースされたものでしたが、翌年のバージョンアップでWindowsにも対応すると、iPodはいよいよ本格的に支持を広げていきます。これはシリコンオーディオの普及を加速させるムーブメントに等しく、当事の家電業界では、「iPodさえ登場しなければ、MDの寿命はもう10年伸びただろうなどという声も聞かれたほどだったそうです。
それに対して、「ウォークマン」という携帯型カセットプレーヤーが、初号機1979年7月に発売され、音楽カルチャーの発展を支えてきました。以来、30年以上もマーケットをサバイブし、日本が世界に誇れる製品の1つとして一世を風靡しました。その後、再生媒体をカセットテープからCD、MDへと着実に進化させてきました。
その後の動きは、時代を知る意味でも、これからの戦略を考える意味でも重要ですので、もう少し、記事を読んでみたいと思います。
飲料
やっと、少しずつ暑さが弱まり、風は涼しく、朝晩は過ごしやすくなりました。しかし、今年の猛暑にはまいりましたが、この猛暑中で、どのような飲み物を飲んだでしょうか。真っ先に浮かぶのが、まず「ビール」です。そして、ノンアルコールビールが浮かび、今年の夏の特需として売れ行きがすごかったと推測されます。しかし、これはあくまでも特需であり、全体的な飲料の傾向ではありません。この特需を考慮しないで、最近の飲料での売り上げでおもしろい傾向があります。今年、相次ぐ定番ブランドのノンカロリー商品の登場で炭酸飲料が話題となったのですが、実は、これらの商品は、数字だけ見ると実際はマイナス1%と減少しているのです。
2010年上半期、お茶類、缶コーヒー類、ミネラルウォーターなど主要飲料の出荷がどれもが前年比でマイナスになる中で、唯一プラス成長を果たしたのは、「紅茶飲料」だそうです。飲料大手のキリンビバレッジの調査によれば、消費不況のなかで紅茶飲料の市場は前年比で9%プラス成長だったそうです。この紅茶飲料が好調であることから、キリンでは今年の目標出荷数を3860万ケースから4100万ケースへと上方修正したそうです。この出荷数は、小型ペットボトルの解禁で飲料ブームとなった1997年以来、じつに13年ぶりとなる最高出荷数の更新だそうです。
また、今月14日発売の「午後の紅茶」シリーズから、味やペットボトルの形をリニューアルします。また、従来よりも甘さを抑制し、一方で香りを強調したようです。一方、今年2月に発売開始以来、大ヒットとなった「午後の紅茶 エスプレッソティー」は、より渋みを強調する味へ変更したそうです。本来、一般的に飲料の飲用目的は、「リラックス」と、「ノドの乾きを癒す」の2つに大別できます。今までは、のどの渇きを潤すことに重点が置かれていましたが、今回のリニューアルでは「リラックス」することに重点が置かれました。
どうして、紅茶がこんなに飲まれるようになったか、また、それに対してこのようなリニューアルをしたかという分析が今週号の「週刊ダイヤモンド」で取り上げられていました。紅茶飲料好調の要因が2つ考えられるそうです。その一つは「消費者動向、環境の変化」です。ストレス社会の中で、無糖茶やミネラルウォーターだけでは癒されないシーンが増えていますが、だかといって甘ったるいジュース類は避けたいと思う人は多いのです。また、所得の減少で、お茶やミネラルウォーターなどにお金を出すことに抵抗を持つ消費者が増加していますが、「紅茶」なら有料でもいいかと思えるようで、ミルクティーなどには付加価値を感じている消費者が多いと分析しています。
もう一つは、「飲用シーン」の広がりだといいます。飲み物を職場の持ちこんで、オフィスの机や、会議中に飲むときに、炭酸は何か持ちこむのには抵抗がありますが、お茶同様、最近は紅茶も許せる範囲になってきたようです。また、大ヒットしている小容量缶で味も渋めのエスプレッソティーは、おもわく通り、今まで缶コーヒーを飲んでいた層をとらえて、缶コーヒーが飲まれていた喫煙シーン、運転シーン、休憩シーンなどに紅茶飲料が浸透してといいます。
そんなことで他社からも続々といろいろな紅茶を出すようですが、いろいろな原因、変化をとらえていかないで、ただ今までの慣例、刷り込みにとらわれていると時代が見えてきません。
特需
今年の夏はずいぶんと暑かったですね。観測史上初めてという記録が打ち立てられます。以前ブログで書きましたが、この異常気象で、困る人と、助かる人がいるようです。その悲喜こもごもは、なにも気象だけでなく、今だけの制度や、方針によっても左右します。すぐに反応するのが株価などでしょうが、価格や購買などにも影響します。それを「特需」と言います。たとえば、ニュースで「日本自動車販売協会連合会が10日発表した8月の中古車販売台数は、前年同月比7.8%増の29万5588台と19カ月ぶりにプラスとなった。」というのが流れましたが、それは、エコカー補助金制度の終了を前にした新車の駆け込み需要で、買い替えに伴う下取り車が増えたのが主因だといわれています。また、猛暑によるエアコンや飲料販売増もありましたが、この特需の怖いところは、その時期が過ぎたときに、反動が来ることです。猛暑による購買の反動はそれほどではないでしょうが、円高の進行や海外経済の減速懸念、エコカー補助金特需の反動などから、景況感の改善に急ブレーキがかかる見通しのようです。
また、たばこ増税による10月1日からの大幅なたばこ値上げを前に、さまざまな立場の店が対応を講じているそうです。今回の値上げ幅は過去最大で、値上げ前に駆け込みでたくさん買い込んでおこうという人を対象に、メーカーやコンビニエンスストアが多く用意をし始めているようです。JTのたばこ出荷量は8月下旬から伸び、前年の同時期に比べ約2割増えているということなので、9月の販売数量は例年の2倍と予想し、その買いだめは、企業などで給料が支給される9月下旬にピークを迎えると予測しています。コンビニでは、たばこの売上高が例えばファミリーマートなどでは「全体の約22%を占める」という主力商品だそうで、なんとか事前に買ってもらおうといろいろと企画しています。たばこは値引きが法律で禁じられているので、値引き競争ができないので、たばこメーカーと協力し、一部銘柄で購入数に応じライターやバッグなどの景品を付けるキャンペーンを実施したり、チラシで予約購入を呼び掛けています。また、たばこと一緒にコーヒーや酒、雑誌なども買う「ついで買い」が多く、煙草を買う人が少なくなると、全体の売上高に影響する恐れがあるようです。また、禁煙で「口がさみしい」と感じる人が増え、アメやガムがたばこの「代替品」になるとみて、一部のコンビニでは、これらの割引セールを準備しているようです。
また、値上げ後の販売急減を食い止めようと、日本たばこ産業では商品の刷新を計画しています。数年以内に「マイルドセブン」などの主力商品を順次、改良していく計画で、パッケージも全面的に見直し高級感を出すようにするようですし、人気で品薄状態が続く無煙たばこ「ゼロスタイル・ミント」のような新商品の開発にも力を入れる考えのようです。
また、これを機会にたばこをやめる人が増えると見込んで、ドラッグストアでは禁煙グッズを品ぞろえしたり、禁煙する人向けのビジネスも活況を帯びてきています。ドラッグストアなどでは、JTが値上げを申請した5、6月、ニコチンガムや電子たばこなどの禁煙関連グッズの売り上げが前年同期比で5割増えたそうです。店頭で効果的な禁煙方法を問い合わせる客も増えているそうで、薬剤師による禁煙相談会を開く予定のところもあるようです。
タバコは、止めればいいと思うのですが。
絶滅と誕生
地球上で、大型化した恐竜がわがもの顔で闊歩していたとき、宇宙のある場所で、その恐竜の運命を左右する出来事が起きていました。宇宙の中の星が爆発を起こしたのです。その時に飛び散った隕石の一つの、直径10キロメートルという、宇宙から見るとそれほど大きくない隕石が地球に向かって飛び始めたのです。それが、まさか、恐竜すべてを絶滅させるとは誰も思っていなかったでしょう。

今年のNHKテレビで、7月に「恐竜絶滅 ほ乳類の戦い」という番組が放映されていました。恐竜が絶滅した原因には様々な説がありました。その中で、これまでも隕石衝突説が有力視されていたのですが、異論もあり、論争になっていました。それに対して今年の3月、約6550万年前の白亜紀末に恐竜などが大量絶滅したのは、メキシコ・ユカタン半島に巨大な隕石が衝突したことが原因と結論づける報告を、東北大など12か国の研究機関による研究チームがまとめ、科学誌サイエンスに発表しました。これには、いろいろな分野の研究者が集まり、世界350か所の白亜紀末の地層や隕石の衝突痕であるクレーターなどを詳細に分析し、絶滅が起きた時期と、隕石に多く含まれるイリジウムの急増や、衝撃による岩石異常などがみられる時期が、厳密に一致することを確認したものです。
チームの計算によると、直径約10〜15キロメートルの隕石が秒速20キロ・メートルで当時浅海だった地表に衝突。エネルギーは広島型原爆の約10億倍に相当し、大気中に拡散した大量のちりが太陽光を遮断します。そして、光合成を行う植物などが死滅した結果、食物が減少し、恐竜も絶滅に追い込まれたと考えられています。このときには、海の中ではアンモナイトをはじめとして、実に地球上の7割の生物が絶滅したと言われています。
NHKスペシャル「恐竜絶滅 ほ乳類の戦い(後編)~運命の逆転劇~」では、恐竜絶滅の大異変と、その後を生き延びた生物の戦いを描いています。この戦いでは、巨鳥や巨大ワニとの戦いの後、異形の哺乳類王国の誕生、さらには哺乳類の二大グループ、有胎盤類と有袋類の戦いをたどり、人類の誕生をみるのです。
恐竜絶滅後の世界で、哺乳類の前に立ちはだかったのは、恐竜全盛時代から空と水辺という恐竜のいない環境に独自の勢力圏を築き上げてきた巨鳥であり、全長4メートルにもなる巨大ワニでした。一方、哺乳類は小型のまま、日陰者的な生き方を余儀なくされていました。この大きさの差が恐竜絶滅の直後には、哺乳類に不利に働くのですが、時間がたつにつれて三者の運命は反転します。小型のままであったほ乳類は“ジェネラリスト”つまり「そこから何にでも進化できる」能力を保っていたのです。その能力は、新たな環境変動に対応して、多様な種を生み出し、次第に爬虫類や鳥類を圧倒していったのです。有利だった要因のひとつが独特の繁殖術であるともいわれています。胎盤で子どもを大きく育てるということです。繁殖術が衝突による環境変動を切り抜けるのに役立ったというのです。もうひとつ、隕石衝突をくぐり抜けた方法に、抱卵という子育て戦略があります。その方法で子育てをしていた恐竜の子孫である鳥類もまた、この大異変を生き延びます。卵を産んで、子どもを親が育てていた種に比べて、産んでそれきりであった種は滅びて行ったのです。これはとても示唆に富んでいます。
1998年のアメリカ自然博物館による調査では、70%の生物学者は、現在、大量絶滅が起こっていると言っているそうです。地球誕生以来、何度も繰り返し起きている大量絶滅期だというのです。例えば、ハーバード大学のE. O. ウィルソンは、人類が引き起こしている生物圏の破壊によって、これから100年間の間に、地球上の半分の種が絶滅するのではないかと予想しています。また、国際自然保護連合は「レッドリスト」として、毎年絶滅に瀕している種を発表していますが、それは、大量絶滅が進行していることであるとしています。この時期に滅びてしまうもの、生き延びるものは、どんな種なのでしょうか。目に見えない隕石が近付いているのかもしれません。