才能と環境

さまざまな波乱に満ちら人生を送る人がいます。その人生は、その人にいろいろな形で影響を及ぼします。それは、プラス要素として影響する場合もあり、マイナス要素として作用する場合もあります。影響する環境の中で、一番影響するのは、両親かもしれません。最近のさまざまな我が子への虐待のニュースや、尊属殺人や無差別殺人を起こす若者たちのニュースを見聞きするたびに、どのような育ちをしたのだろうか、親とはどのような関係でいたのだろうかと思ってしまいます。先日、秋葉原で起きた殺傷事件の犯人の公判があり、その生い立ちの一部が本人の口から語られました。母親と一緒に風呂に入るとき、掛け算九九を暗唱させられ、言えないと水に頭を押さえつけられたという話を聞くと切なくなります。
日本赤ちゃん学会編の「赤ちゃんカフェ3」の記事の中で、「両親とも日本人で子どもに幼いころから教え、いわゆるバイリンガルになったケースが数件報告されていますが、いずれも、両親とも、少なくとも片方の親が高度な英語力を持ち、普段から家庭内で英語を話し、英語話者の知り合いとの接触回数、英語圏への渡航回数も多い」場合の子どもと、それとも「時には英語を嫌がる子どもに英語学習を強制するといった想像を絶する経済的および精神的苦労をして子どもの英語力を高め、維持したようです。」と書かれてあります。想像を絶する経済的、精神的負担は、どこかにひずみを起こしているはずです。
逆に、持って生まれた才能は、どんな環境でも花開くことがあります。しかも、その才能が、環境を変えたり、環境が生きるバネになったりすることもあります。  1893年、17歳で単身渡米、放浪生活のあと英語で詩を書き、英米文壇にセンセーションを巻き起こしました日本人がいました。彼は、在米中に知り合った作家であったアメリカ人女性レオニーが身ごもると帰国してしまいます。そして、慶応大学の英文学の教授になり別の女性と家庭を持ちます。帰国後も英文著作を多く書き、日本文学・文化を西欧に紹介、日本語による著作では西欧文学・文化を日本へ紹介し、「国際詩人」「東西両洋の懸け橋」として活躍しました。そして、彼が73歳のとき、初めて妻子に子供の存在を告白、後を頼み亡くなります。彼の墓を、彫刻家であったイサム・ノグチが設計します。彼の名は、野口米次郎と言い、墓を設計したイサム・ノグチこそ、この米次郎とアメリカに残されたレオニーとの間の子どもだったのです。
先週末、高松の名勝・屋島と五剣山を借景にたたずむイサム・ノグチ庭園美術館を、夕暮れが迫る中、見学する機会がありました。
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ここは、彼が1956年に庵治石の産地・香川県牟礼町を初めて訪れた後、69年からアトリエと住居を構えて日本での制作拠点としたところに、99年、生前の雰囲気そのままに開館した美術館です。150点あまりの彫刻作品、自ら選んで移築し手を入れた展示蔵や住居だったイサム家など、全体がひとつの“環境作品”となっています。残念ながら、庭園内の写真を取ることはできないのですが、そこに近づく途中、外から内部の雰囲気が分かる写真を、五剣山を背景に取ることができました。
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才能と環境” への5件のコメント

  1. 今、同じ野口姓でアルピニストの野口健さんの「落ちこぼれてエベレスト」という本を読んでいます。彼もエジプト人の母を持つハーフで、幼い頃両親が離婚した後、厳格な学校の規律に反抗して落ちこぼれに。そんな鬱屈した青春時代に植村直己さんの本に触発されヤマヤの道に進みます。1999年のエベレスト登頂で、7大陸最高峰世界最年少記録を達成したのはよく知られています。落ちこぼれという「逆境」が登山家野口健の才能を開花させたと言えます。そんな彼を常に見守ってきた山好きな父親の存在が彼の成長にはプラスになったようです。

  2. 子どもの持っている力を信じることが大切であって、向いていないものでもとにかく叩き込めば身につくといった考え方は危険なんですね。私が子どもの頃は、どちらかと言えば根性論が主流だったように思います。実際にそれでついていけなくなり、その時の気持ちを自分自身でコントロールすることが難しくなった時期があったのを、今でも覚えています。良くも悪くもその時の経験が今の基礎の一部になっています。人と人が関わるときには人格が伝わると考えると、その影響の大きさを私たちは理解していなければいけまんせんね。

  3. 「イサム・ノグチ」についてはNHK日曜美術館でも紹介される日本のアーティストですから、いつかは氏の作品をじっくりと堪能したいものだと思っています。そしてこのイサムノグチの出生悲話に触れると余計にその生の成果である芸術作品に興味を持ってしまいます。イサムノグチさんも香川県に縁がある。ますます香川が身近に感じられます。そして今回のブログでは「五剣山」に反応します。写真でみても奇妙な形の山です。実際にみるとさぞかし風変わりな何かを感じることでしょう。

  4.  本当に最近のニュースは高校生の女の子が母親を刺した事件。または、子どもに長期間の間、食事、水すら与えないで、餓死させた事件。悲しいニュースを多く見るようになりました。生まれ持った才能を開花できずにいる子どもが多くいると思います。私は生まれ持った才能というのは、環境によってかなり影響すると思っていましたし、環境によって開花する才能も開花しないと思っていました。しかしそうではなく、才能はどんな環境でも開花し、その才能は環境をも変えてしまうほどの才能もあるのですね。

  5. 秋葉原の事件の公判のニュースを見たとき、改めて「過度な詰め込み教育の怖さ」を感じました。その子どもの人格を否定するかのような勉強の仕方、過度な期待と追求はあくまで親の自己満足でしか無く、より才能をつぶしてしまっていると思います。自分にどんな才能があるかを知るためにはやはり色々と試すことのできる環境と色々なことを試そうとする好奇心であったり、探求心が大切ですね。

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