集中

 以前、文科省に聞いたのですが、今ある小学校で、1時間の授業時間を短縮する試みが行われているそうです。その内容が、昨日の朝日新聞に取り上げられていました。「授業時間 割ったり足したり」という記事です。現在、授業一コマは小学校45分、中学・高校は50分がスタンダードです。私の高校は、都立高校という公立校でしたが、1コマ100分で、1日3コマでした。ですから、時間割は2週間で1サイクル、最後の土曜日は休みでした。それが、近年、教える内容に応じて短く「小分け」にする試みが続いているようです。それは、どうも「子どもの集中力が落ちている」ことが原因のようです。
 最近行われている試みとして鹿児島県のある中学校では「放課後モジュールタイム」ということで、25分間の授業を1日の終わりに設けているそうです。現在の学習指導要領が施行されてから、1コマの授業時間を必ずしも50分としないで弾力的に運用することが可能になっているからです。この中学校での生徒の感想は、「集中して勉強ができた」「苦手なところがわかった」というようなもののようです。
 「集中力」という著書がある立正大学名誉教授である山下登美代教授は、朝日新聞の記事の中で子どもの勉強に集中できる時間の限界は、「一般的には小学生は『学年×10分』と言われています。」と話しています。低学年の頃は、周りの音などに反応し、すぐに注意がそれがちですので、教員は逆に音を出したり絵を使ったりして子どもの目をうまく導かなければなりません。しかし、それが高学年になるにつれて、やる気や好奇心が育って集中力がついてくるものですが、近年は全般的に子どもの集中力が落ちたと言われています。それに対して山下教授は、「小学校高学年でも、音や視覚効果で子どもたちの関心を引く必要が出てきている。背景には社会環境の変化がある」と言っています。今のテレビやゲームは、限られた画面の中にたくさんの情報が流れています。「目や耳からたくさんの刺激が入ると、注意が分散している状態になる。それが子どもにとって当たり前の生活になると、例えば先生一人の声を耳で聞いているだけの授業はひどく耐えがたいものになってしまう」というのです。
 このような背景を踏まえ、授業時間を短くする試みは、なんと大学でも始まっているそうです。メールやツイッターをやっていると、「読む」「聞く」「書く」はすべて短いし、テレビのインターネットは興味があるところだけ見る。おもしろくなければすぐ他のページに行く。最近の若い世代の特徴をこうあげます。そして、この記事の中で、今の学生たちは、IT機器を短い時間で同時並行的に使いこなすというように、今の社会ならではの知識を得る方法にたけている面もある。集中力は当然身につけさせたいが、昔からの授業スタイルを押しつけて才能を消してもいけない。悩ましい問題ですと結んでいます。
 最近、世界では「乳幼児期における権利」を検討していますが、この「乳幼児期」とはいつのことを言うかというと、出生、乳児期、就学前期間、および、学校への移行期にあるすべての子どものことを指すようになっているようです。それは、出生から8歳までの期間を乳幼児期に関する適当な作業的定義として提案しているのです。小学校入学する時期を境に昔からの学校教育方法に切り替えるのは、どうも無理があるようです。