天の川

先日の土曜日は、園の夕涼み会でした。以前、ブログで書きましたが、毎年私の役目は、プラネタリウムで天井に映し出された星空を眺めながらいろいろと星にまつわる話をすることです。まず、映し出された星空で目につくのは、天体を横切る白い帯です。「これは何でしょうか?」と問い掛ける前に、会場の子どもたちは一斉に「天の川、天の川!」と叫びます。先回って子どもたちは叫ぶので、私は意地悪くこう答えます。「これは、ミルクをこぼした跡です。空にミルクをこぼしてしまったので、それが流れてしまったのです。ですから、これを、ミルキーウエイと言います。」それを聞いた子どもたちは、一瞬だまります。それは、自分が知っているのとは違うと思うからです。すかさず、「しかし、日本では、これは天にかかる川ということで、天の川と言います。」と言って、話を始めます。最近の子どもたちは、いろいろな知識を知っています。天の川ということは知っています。しかし、その流れを見て、美しいという前に、名前を連呼します。また、その名前を言えるだけで知ったつもりになって、どうしてそんなものがあるのかを疑問に持とうとしません。その白い帯は、何でできているかの疑問を持ちません。つくづくと、小さいころの知識は、表面的な名前ぐらいであるのにもかかわらず、もう探究心を持たなくなってしまうだということを実感します。
 実は、この天の川に関する不思議さは、宇宙の存在自体を解明するうえでとても重要なことなのです。天の川は、光が細長く密集している姿をしているということは、星が細長く極めて密集しているという事です。では、なぜここだけ星がこんなに密集しているのかということを考えることが重要です。それを考える上で、まず、宇宙は何からできているのかという事を考えていかなければなりません。実は、宇宙は、さまざまな銀河からできているのです。銀河とは、1000億個ほどの星の集まりのことです。私達の住んでいる太陽系は、「銀河系」という銀河の中にあります。その銀河の形は、薄い円板のような「渦巻銀河」です。私たちは、その銀河系の中からいろいろな銀河を見ているのですが、私たちが属している銀河系のまたの名を「天の川銀河」というように、実は、天の川は、私たちが属している銀河を中から見た姿なのです。ですから、星がいっぱい見えるわけです。銀河は薄い円板型をしているので、真正面から見ると広く見えますが、星はそれほど密集して見えませんが、それは、外から銀河系を見た場合です。
また、太陽系は、銀河系の端の方にありますから、銀河の中心のほうを見ると多くの星が見えますし、端の方を眺めると、それほど星は多くありません。実は、夏見える銀河は、中心のほうを見ているので、夏の天の川がきれいですし、冬は、銀河中心と反対の方向を見ていることになるので、夏と比べると星の数は多くありませんので、それほどきれいではありません。この両方向を見ることによって、銀河の大きさとか、どのくらいの星が集まっているのか、太陽系は銀河系のどのくらいの位置にあるのかがわかるのです。
 この銀河系の渦巻きの直径はどのくらいかというと、約10万光年です。光の速さで、10万年かかります。では、銀河系の中心から太陽系はどのくらいのところにあるのかというと、2万8千光年のところにあります。宇宙には、まだまだ不思議なことが多いし、解明されていないことも多いのですから、簡単に「知ってる、知ってる!」ということで片づけてほしくはありません。

天の川” への5件のコメント

  1. 最近ずっと頭についてまわっている「探究心」ですが、自分自身も「知っている」ということでそれ以上考えるのをやめてしまったり、子どもの探究心を奪ってしまっていることに気づいていないことがまだまだあるんだろうと、読みながら反省させられました。現に天の川について、今回のような話を聞いて初めて知ったことばかりです。世の中にはわからないことのほうが圧倒的に多いと思うので、そうだとすれば、「知っている」ということなどはたいしたことはありません。「知っている」ことが探究心を妨げてしまうということの意味を、もっと真剣に理解しなければいけない、そのこともわかったつもりになってはいけないと、強く思わされました。ありがとうございます。

  2. ここ最近テレビのクイズ番組がやたら多いですね。クイズ好きの私は、芸能人の解答者と競争して、難読漢字が読めたとか、歴史上の人物の名前を当てたことを喜んでいるのですが、そんな自分がとても恥ずかしくなります。「天の川!天の川!」と叫んだ子どもたちを笑えません。いくつになっても「なぜ?どうして?」の探究心は忘れないでいたいものですね。そもそも宇宙はビッグバンのあと、どんどん膨張を続けているそうです。一体、宇宙の果てはあるんでしょうか?どこかでまた大爆発して、宇宙の暗黒時代が来るのでしょうか?こんな素朴な疑問が科学を進歩させるのですね。

  3.  私もプラネタリウムを見ていたら、さすがに声は出しませんが、心の中で「天の川だ」と思いました。今の子ども達というか、私自身も知識だけは、ある程度知っていますが、表面的な知識を知っているだけで、内面的な意味を分かっていません。それを、このブログを読み始めてからとても実感しています。実際に私の現場でも知識が多い子どもは何人かいます。そんな子どもを見た大人が「よく知っているね」「すごいね」と褒めます。褒める事は決して悪い事ではありませんが、子どもの探究心というのは褒めるだけでは育ちません。その後に一言「なんでだろうね?」「どうしてだと思う?」などの言葉掛けをすることで、子どもが興味を持ち、知ろうとする気持ちが探究心につながると思いました。

  4. 「天の川、天の川」と叫んだ子どもたちはいつそのことを学んだのでしょうか。私はそのことをとても疑問に思いました。現場に居合わした子どもと同じ年頃私は自分の頭の中に「天の川」は存在していなかったような気がします。確かに七夕のお話は聴いていたと思うのですがその頃は全く関心がなかったのでしょう、(今の息子もそうかも)、「天の川」の存在はその呼び名すら私の中にはなかった。その意味で「へぇ~、この子たち、天の川、知っているんだ」と私はとても感心しました。ミルクのお話は宮澤賢治の「銀河鉄道の夜」の冒頭部分を彷彿とさせました。ミルキーウェイ。この命名もいいですね。夏帰省したら「天の川」をゆっくりと見たいと思います。

  5. 天の川を「ミルキーウェイ」と聞いた子どもたちはさぞびっくりしたでしょうね。しかし、「天の川」というだけでは「天の川」を知ったわけではなく、表面的な名前をしっているだけに過ぎなく、その内容についてまでは知らないでしょうね。確かに探求心が無くなっているからその先のことを調べようとしないのだと思います。改めて探求心を持ち続けることの大切さと難しさを知ったように思います。宇宙というものはまだ解明されていないことも多いですし、まだまだひろがっているとも聞きます。ぜひ、「なぜ」「どうして」の気持ちを持ち続けて、色々なことを発見できる探求心と好奇心をもった子どもたちを育ててあげたいですね

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