進化論も進化しています。進化と言えば、昨年園では、生命の進化と人の進化を並べ、その進化の度合いを見ると、赤ちゃんの1日は、生命の進化の50万年分にあたるということを保護者に伝え、赤ちゃんの1日1日を大切にするように、また、個人差があって当然ということを理解してもらいました。
そんな生命の40億年の歴史を簡単に言うと、「生命は海に生まれ、魚になり、やがて陸に上り、トカゲになり、ネズミ、サルを経てヒトになりました」ということがありますが、この内容が少しずつ違っていることが分かってきています。最近、わかってきたことは、海にいる魚は最初から海にいたと考えていたのですが、そうではなく、大昔に一度川を上り、再び海に戻った仲間だそうです。最初に約4億年前に海に誕生した魚は、今の魚とは違い、背骨がなく、弱者だったわたしたちの祖先は、住みやすい海での生存競争に敗れ、河口から川に逃れていきます。しかし、海水と川の淡水では塩分濃度が違います。ですから、海から川に行くためには、体の内外の塩分濃度の違いは生物にとって大問題です。そこで、その対策のために魚たちは腎臓をつくり出し、体内に入った水を尿として排出しました。しかし、反面、淡水中では、海水と違ってカルシウムが不足します。そこで、カルシウムを蓄えるために硬い背骨を生み出したのです。
しかし、骨に摂取したカルシウムを蓄えなければなりません。このカルシウムは、食事やサプリメントで摂取しても、それだけでは血中カルシウム濃度があまり上がりません。血中カルシウムが骨に定着するには「活性化されたビタミンD」が必要なのです。この「活性化された」ということが重要です。ビタミンDは食事やサプリメントで摂ることができるのですが、それらはすべて不活性なビタミンで、不活性を活性化させるのが「紫外線」なのです。人間は、皮膚から太陽の紫外線を取り込むことによって体内に活性化されたビタミンDを作るのです。いくらカルシウムを摂取しても、このビタミンDが足りないとクル病になったり、骨粗しょう症になったりします。
オーストラリアで、紫外線による皮膚がんが問題になりました。それによって、日本でも、首筋まで覆う帽子をかぶっている園が多くなりました。しかし、どうしてオーストラリアで問題になったかというと、こう言われています。もともとのオーストラリアの原住民であるアボリジニといわれる人たちの肌は濃褐色で、強い太陽光線から肌を守るために備わったものです。そこに、太陽に当たる時間が少ないヨーロッパに住んでいた人たちが、住んでいるからです。ヨーロッパ人に肌が白く、目が青く、金髪の人が多いのは、少ない太陽光線を十分体に取り込めるように、進化の途中でメラニン色素をなくしてきたからです。その人たちが強い日光の中にいるのは無理がありますね。
しかし、最近、「適度な日光浴は皮膚ガンを防ぐ」というような「紫外線=ガン要因」説が覆されています。それを発表したのは、イギリスのロンドン衛生熱帯医学校とオーストラリアのシドニー大学の研究グループです。その研究では、屋外でよく日光を浴びている人よりも、日中ほとんど日光に当たらないオフィス勤務者に皮膚ガン患者が多いことが判明しました。研究グループのヘレン・ショー博士によると、オーストラリアやイギリスの場合、日光浴と無縁のオフィス勤務者の皮膚ガンの発生率は、日光浴をする人に比べて、実に2倍(!)近くにまでハネ上がることが分かり、適度な紫外線浴は、むしろカラダの抵抗力を高め、皮膚ガンの発生を抑制する方向に働くといいます。
そこで、お年寄りは日光に当たることが少ないので、なるべく日光に当たるようにした方がよく、また、女性の場合はホルモンの関係から、更年期になると男性よりも骨粗鬆症になりやすいので、それを防ぐためにも、若いときから充分陽に当たり、強い骨をつくっておくことが大切だと言われています。また、成長期の子どもは、できるだけ屋外で元気に遊ばせ、充分な紫外線が必要だと言われています。だからと言って、真っ黒に日焼けするのは、よくないので、万全のUVケアをして紫外線を浴びることが重要だと言われてきています。
「進化論も進化」とは洒落ていますが、生命が太古の海で誕生して陸に上がって大型動物に進化していく過程が、多くの科学者の研究でその細部まで明らかになっていくと、これまでの定説が覆ることがあるんですね。骨を形成するカルシウムとビタミンDと紫外線の絶妙なバランス関係の見られるように、生命活動は地球環境と相互に影響し合っていると思います。オゾンホールの拡大で、オーストラリアでは強い紫外線で皮膚がんが多くなってきたと聞いていたのですが、適度に紫外線を浴びたほうが体の抵抗力を高めるとなると、これまた、これまでの定説が信じられなくなります。保育の世界でも、時代の変化とともに、これまでの常識や定説が、進化の過程で大きく変わっていくものだと思っています。臥竜塾の藤森先生のお話は「保育の進化論」だと強く感じます。
「進化論も進化」という意味がタイトルだけではわかりませんでしたが、読んでいるうちに、なるほどと納得できました。今分かっていることも、当然のように過去のものとなっていったりするんでしょうね。紫外線のことにしても「騙された!」なんて思ってしまうと損した気分になってしまうので、分かっていないことの方が圧倒的に多いと思って様々なことに向き合う方が、スタンスとしてはいいのかもしれないと思っています。
赤ちゃんの一日は生命の新刊の50万年分というのは、想像以上の数字です。毎日何気なく赤ちゃんを見ていますが、一日に50万年も進化しているという風に見ると、神秘的に感じます。
私が生きてきた20数年の間にも「紫外線」に関しては変化してきているのですね。私が小さかった頃はとくに紫外線に関しては厳しく言われませんでした。それが少し前から紫外線は体に悪いと言われてきましたが、今回のブログで紫外線を浴びることで抵抗力が高まり、年寄りや女性も適度に浴びることが良い。また新たな事実が知りました。
現在わかっている私たち生物の成り立ちが今回のブログからわかります。私はよく「必要に迫られて」と言います。これって結構、自然なことのような気がします。腎臓、背骨、活性化ビタミンDのための「紫外線」、これらは私たちを現在の私たちとしてあらしめるために「必要」なもので、この必要はさらに「環境」による、と言えます。環境は私たちを規定し、そして私たちは自ら働きかけることによって環境をさらに作り上げます。そしてこのプロセスが順当に行っている時そのプロセスを「自然」と言うのかもしれません。オーストラリア白人に多い「皮膚がん」の謎?が今回のブログで解明?されています。オーストラリア大陸への欧州人の移住は決して自然ではなかったことがこの紫外線と皮膚がんとの関係で見えてきます。不自然さは私たちの生存を脅かすのですね。
皮膚がんと紫外線の関係がこんなにも変わっているのにびっくりしましました。自分も紫外線に当たりすぎるのは皮膚がんになるからという考えを聞いていましたが、今では違うんですね。まさか逆に肌にいいとは思いませんでした。しかし、確かにオーストラリアで出た皮膚がんの話を見ると原住民の人々ではなく、移住してきた人々の症例なのだと思うとなるほどと思いました。人間の進化もきっとその土地土地で生活しやすいように進化してきたのですね。人間が誕生してから今までの進化を考えると、赤ちゃんが一日50万年進化しているというのもうなずけます、今回のブログでも多くの発見がありました。