高学力

一昨日、フィンランドの保育、育児の考え方の話を聞きました。以前、園にフィンランドの方が見えたときに、「いいですね。フィンランドは学力が世界一だそうで。」というと、「フィンランドは、人口が非常に少ないので、一人の無駄も出せないのですよ。」と答えたのが印象に残っています。そもそもフィンランドの人口は、約527万人です。日本では、都道府県別ベストテンの中で、8位が北海道で、5,535,000人で、9位が福岡県の5,054,000人ですので、その真ん中くらいです。確かに、人口は、日本で言うと、一つの件くらいです。その国土の広さというと、日本の国土面積の約90%ですから、ずいぶんと人口密度は少ないですね。その国土の中で、山が少なく平坦で、最高峰でも1300m位しかなく、逆に湖の面積は国土の9.4もあり、湖と国土の大半を占める美しい森の国です。フィンランド人は自分の国や民族のことをスオミSuomiと呼ぶそうですが、その語源は湖、池を意味するスオSuoからきたと言われています。
そのフィンランドが世界的に注目を浴びるようになったきっかけは、OECD(経済協力開発機構)の2003年の生徒の学習到達度調査(PISA)で、フィンランドが読解力と科学的リテラシーで1位、総合成績でも1位という結果が、世界を駆けめぐったことによります。それに対して、日本の学力が世界のトップを維持していたのが、大きく転落したのです。そこで、文部科学大臣は競争を強化することを表明しました。その対策とは、「総合的学習」と「ゆとり教育」を改め、学習指導要領の見直しをしたのです。しかし、この見直しは少し勘違いしているところがあります。実は、この国際調査が測定しようとしたのは、旧来の「学力」ではなく、これからの時代に求められる知識と能力なのです。それに日本の教育が対応していないことからくる低下なのです。しかし、その結果を受けて、フィンランドを訪れる教育関係の人が増え、そのメソッドを求めて躍起になる教育関係者が多く見られます。
フィンランド政府は、なぜ学力が向上しているのかというと「総合教育」に理由があるとしています。そして、次のように説明しています。1、どんな処にすんでいても、また性別や経済的な事情、母国語の違いなどには関係なく平等な教育を受けている。2、生徒は近くの学校に通う。3、教育は全体として無料である。4、“選んで教育する”という教育ではなく、平等な総合教育である。5、中央が大綱を決め、地方が実行するという弾力的な行政である。6、すべてのレベルが相互に作用し合い、協力している。 また共通な理念を持っている。7、“一人一人が向上する”という方針に基づいて生徒を評価する。 したがって、いわゆるテスト主義(点数主義)でもなく、ランキング付けもしない。8、高い教員の資質、自主的な教員であることを基としている。9、“皆で社会を築いていこう”という学習概念に拠っている。
もちろん、日本に比べて税金が非常に高いゆえにかなえられていることもありますが、考え方の違いについては、参考になります。まず、2番目の「近くの学校に」は、最近、小学校の選択性や、私立小学校への入学希望が増えている日本とは逆の考え方です。そして、是非、日本でも大切にしてほしいのは、6番目のお互いの「協力」です。それは、9番目の「皆で社会を築いていこう」という意識を支えます。シンポジウムで印象に残ったのは、園と保護者が同じ価値観を持って、協力して子どもたちの育ちを見守っていこうという姿勢でした。