姿勢

 学校では、授業参観すると、何分かに一回は「姿勢を正しくしなさい!」と先生は注意していますし、先日の小学校の運動会の前の練習では、マイクからよく「背筋を伸ばして!」という号令がかかっていました。昔は、よく親は子どもに食事の時など「姿勢を正しくして!」とか、かがんで本を呼んでいると、「そんな姿勢で本を呼んでいると、目が悪くなるよ!」と注意されました。最近、学校では、姿勢をよく注意していますが、家庭では姿勢を注意しているのでしょうか。日経新聞に、最近の子どもの姿勢が悪いのは、「自分も姿勢が悪いので注意しない親が増えている」と専門家が指摘していることが掲載されていました。
 この新聞の記事によると、日本体育大学・学校体育研究室などの調査で、姿勢が悪い子どもが増えていると教師が感じている小学校は1979年の44%から2005年には75%に増えているそうです。また、埼玉県のある市立中学校で、子どもの姿勢をチェックしたところ、「気をつけ」と声をかけても猫背だったり首が前に出ていたりする生徒は4割近くに上ったそうです。では、学校では、姿勢が悪い生徒がいると、先生は注意はしますが、どうすれば正しい姿勢になれるかは教えません。家庭のせいにするだけでなく、学校で、姿勢を学ぶ授業をするべきかもしれません。
では、なぜ「姿勢悪い子」はいけないのでしょうか。私の子どもの頃は、目が悪くなると言われていたのですが、今は、違うようです。日経新聞の見出しには、「“背中ぐにゃり”は集中力不足の原因に」と書かれてあります。虎ノ門カイロプラクティック院の碓田院長は、早稲田大学で「姿勢と健康」という講義を受け持っているそうですが、「姿勢が悪いまま成長すると、大学生でも肩こりは多い」ということで、授業を受けた約7割の学生が肩こりに悩み、3割以上の学生が腰痛に悩まされた経験があるといっています。
 授業中の姿勢が比較的自由だと言われているアメリカでも、姿勢が悪いと身体そのものがゆがみ、あちこちに余計な負荷がかかるようになり、腰痛をはじめさまざまな身体のトラブルを巻き起こしたり、トラブルまでに至らなくとも疲れが出やすくなるということで、全米理学療法協会の教えとして、「正しい姿勢を維持するためのガイドライン」を提示しています。それは、1.立つときには身体をまっすぐ垂直にし、背骨と頭の部分を伸ばして、足首からひざ、お尻、肩、耳までが一本の線でつながるような姿勢をとる。2.歩いている時や立っているときは、肩やお尻の高さを一定のものに維持する。そして両ひざがまっすぐ前に向くようにする。3.立つ時には、背中の部分をわずかに内側にそらせる。4.お腹の部分が平らになるようにして立つ。5.座る際には、椅子の背もたれを支えに使い、両足をしっかりと床につける。6.座る際には背筋を伸ばして着席し、頭を前に向ける。前かがみにはならないように注意する。だそうです。
 人類は、重い脳を支えるために直立に立つようになりました。四足では、支えきれないからです。ですから、首は効率よく頭を支える必要があります。頭を支える一番良い首の位置は、頭の真下で、頭と首が垂直に並んだ状態です。この位置関係でしたら最低限の力で首は頭を支える事ができます。そうでないと、首や、かた、腰に負担がかかります。そして、頭痛、肩こり、腰痛を引き起こしたりするだけでなく、姿勢を正して座っているか、だらしなくしているかで認識能力に影響が出ることが指摘されています。姿勢が悪いというのは、見た目の問題ではありません。また、その原因は、外遊びが少なくなったことによる筋力の低下、携帯型ゲームや携帯電話のメールで長く下を向く時間が増えていることが指摘されています。
ただ注意するだけでなく、もう少し、どうして姿勢が悪くなったのか、姿勢がよいことはどういうことかという説明を子どもにする必要があると思います。