毎年、休日になると、妻とNHK大河ドラマつながりの地を訪ねているのですが、今年は、すでに坂本竜馬に関係のある地をずいぶんと訪ねました。しかし、今年の大河ドラマの中では、印象深い人物が何人かいます。その中で一番インパクトがあるのが、その人物を演じている俳優のうまさもあるのでしょうが、「岩崎彌太郎」です。彼のアクの強さ、貧しい環境の中から三菱を創設するエネルギーを見ていてとても魅力的です。今年は、何回か岩崎つながりも訪ねることでしょう。
まず、東京で岩崎に縁があると言えば、「旧岩崎邸」が残されています。
この旧岩崎邸は、明治29年(1896年)に岩崎家本邸として建てられました。現存するのは洋館・撞球室・和館の3棟です。洋館・撞球室は、英国人ジョサイア・コンドルの設計です。彼は、明治政府から招聘されて工部大学校造家学課程(現・東京大学工学部建築学課)の教授として来日し、多くの建物を設計していますが、そのなかでもこの旧岩崎邸は、現存するコンドルの作品では最古の建物で、邸宅建築の中では傑作と言われています。この建物は木造ですが、外観は石造りのような洋館であり、その構造はしっかりしていて、関東大震災の時にも倒れなかったようです。また、第2次大戦の戦火にも見舞われず、現存しているのですが、それは、必ずしも構造の強さだけでなく、戦後アメリカのGHQが接収、諜報機関「キャノン機関」本部となっているところをみると、アメリカが爆撃を避けたのかもしれません。
また、この旧岩崎邸は、建物だけでなく、庭園も特徴があります。もともとは、越後高田藩江戸屋敷であったものから元舞鶴藩知事・牧野弼成、そして岩崎家本邸へと変遷しました。岩崎家では、この大名庭園の池を埋めて芝を張り、庭石・灯籠・築山が設けられました。建築様式同様に和洋併置式とされ、「芝庭」をもつ近代庭園の初期の形を残し、その後の日本の邸宅建築に大きな影響を与えました。この芝庭の周りには大きな木が植えられているため、現在、とても貴重な生態系を持っています。それは、最近都会ではめったに見ることができなくなってきた「カントウタンポポ」が一面に咲いているのです。
最近、セイヨウタンポポが、ものすごい勢いで繁殖をしています。違いは、在来種のカントウタンポポは、総苞外片は立っていて、外来種のセイヨウタンポポは総苞外片が外側に反り返っています。

左はカントウタンポポ 右はセイヨウタンポポ
カントウタンポポは3月から5月に咲きますが、西洋タンポポは1年中咲いています。また、カントウタンポポのめしべは、開花したときには、まっすぐでたくさんの花粉が付いています。それに引き換え、セイヨウタンポポのめしべは、つぼみが開くとともに、カールしていて、花粉が付いていません。花粉が付かなくても、種子ができるからです。帰化種のほとんどは花粉なしに子供ができる「無融合生殖」で、単独で繁殖可能なために一気に増えていってしまうのです。逆に、カントウタンポポは群落を作っていないと生き残れないために、この旧岩崎邸では、カントウタンポポの保護活動が行われています。
もうひとつ、この旧岩崎邸で珍しい植物を見ました。「アカンサス」です。
この葉は古代ギリシア以来、建築物や内装などの装飾のモチーフとされています。あのギリシア建築の柱の頭のほうに装飾されているくるくるした葉の模様は、アカンサスを意匠化したものです。ですから、この花は、ギリシアの国花にもなっていて、絨毯の柄にもしばしば用いられています。この岩崎邸でも壁の模様に用いられています。
今、まだ花は咲いていませんでしたが、その葉の形はとても立派で、神話になったり、模様になったりとギリシア人を魅了したことは納得がいきました。
空前の竜馬ブームで、四国高知はえらいことになってるぜよ(笑)。GW期間中、高知県の竜馬関連施設はどこも大入り満員。桂浜の竜馬像の周りにはカメラを持った観光客が押し寄せ、えらい騒ぎだったんじゃ。竜馬が脱藩したルートにあるゆすはら・維新の道社中では、福山雅治さんのサインが盗まれるという事件も。安芸市の岩崎弥太郎の生家も賑わっていたようで、まっこと、大河ドラマの影響は大きいぜよ。東京の岩崎邸もいいですね。特に、撞球室が気に入りました。スイスの山小屋風の作りですね。岩崎財閥の巨万の富の一端を見る思いです。
このブログでは、ある1つの話題から次々に違うものへ広がっていくことがよくありますが、勉強は本来はこういうモノなんでしょうね。好奇心や探究心から始まり、次々といろんなものへ興味が広がっていくと、面白さは更に増していきます。かきつばたから八ツ橋のときもそうでしたが、今回もなるほどこんなふうに考えていくと面白いんだと感じることが出来ました。何かに興味をもって行動することの先には大きな広がりがあるんですね。
「旧岩崎邸」を見るとまるで日本ではないような印象が伺えますね。爆撃の話が出ましたが、色々興味を持って調べてみると、あまり「文化財」を避けて爆撃をすることが考えられてはいなかったものの、米軍の基地を作るために破壊したり、逆に残したりは行われていたそうです。そう思うと、諜報機関「キャノン機関」本部のために空爆されなかったという説は信憑性がありそうですね。そんな中、そういった歴史とは裏腹に「カントウタンポポ」の花は気持ちを和やかにしてくれますね。在来種と外来種というのは「タンポポ」だけではなく、「ザリガニ」や「亀」もよく言われますが、外来種の方が生命力や繁殖力が強いのは大陸から来たからであるというのを聞いたことがあります。何でも、外来種は大陸で多くの生物から身を守るために、繁殖力や生命力が強く、日本に入ってくると在来種よりも繁殖力が強い分、在来種の生息域を奪ってしまうのだとか、人間の社会でも今では欧米化が強くなっているのを一昔前の話を聞くとても感じます。だからこそ、その風土や文化はそういった歴史の流れの中でも守っていくことを意識していかなければ、なくなっていってしまうと思うと大事にしようと思うことが大切なんでしょうね。
竜馬伝の主人公はもちろん坂本竜馬かもしれませんが、ナレーションは岩崎彌太郎を演じている俳優ですし、三菱自動車を創設した偉大な人物です。確かに俳優の演技の上手さもあるかと思いますが、あの貧しい家庭から這い上がっていくエネルギーは、実際に当の本人にもあったと思います。そんな人物の屋敷ですから、とても立派な屋敷ですし、庭園にも貴重な植物が植えてあるのですね。タンポポをじっくり見る事もないので、種類も無いと思っていました。おそらく私がよく見るカントウタンポポではなく、セイヨウタンポポだと思います。あとはギリシャ人を魅了させた「アカンサス」これは初めて聞く植物です。メインの旧岩崎邸を見学して満足してすぐに帰るのでなく、色々な所を細かく見る事でたくさんの発見ができるのですね。
上野公園に行くたびに「旧岩崎邸」案内看板を眼にします。さまざまなイベントも行われているようで、毎度のことながら、行こう行こう、と思いつつ、行くことが実現していない場所のひとつです。今回は「旧岩崎邸」のみどころを紹介して頂きましたので訪ねるモチベーションが高まってきました。横山大観記念館とセットで行ってみようかな。タンポポの区別の仕方は大いに参考になりました。和種と外来種の違いがあることは知っていましたが、区別の仕方までしっかりと調べておりませんでした。今回のブログのおかげでタンポポを見ることが楽しみになってきました。それから「アカンサス」という名の植物、初めて知りました。しかもギリシャ建築に意匠化されて用いられているとか「ギリシアの国花」とか。いつかギリシャ人と話す機会があればこの情報を利用しようと思います。