子どもたちの身に起きる不幸な出来事を聞くにつけ、世界の教育を知るにつけて、なんて日本の教育は遅れているのかと嘆きたくなります。しかし、これだけ情報が豊かで、世界が近くなっている今、国は世界の教育の動向を知らないはずはありません。当然、研究者たちも世界の教育を研究しているはずです。しかし、どうして変わっていかないのでしょうか。私も、幼児教育では世界の流れの中では当然と思われること、ただ、子ども主体に考えようと提案するだけであって、何も革命を起こそうというわけでもないのですが、なぜか、抵抗にあうことがあります。現実に毎日子どもたちが壁にぶち当たっている状況を見聞きしても、なかなか変えようとしません。
全国の小学校・中学校において、今年から新しい学習指導要領の一部が先行実施され、21 世紀を生きる子どもたちのための学校教育が始められています。それは、今の時代に対しての課題が盛り込まれています。地球温暖化対策をはじめとする環境配慮、学校、家庭、地域の連携が重視され、その課題に向けて、学校施設の整備に当たって、学習活動円滑化や環境配慮、地域との連携といった機能を高める工夫が問われています。このような新たな時代の学校教育等に対応するため、既成の学校施設の形態の枠にとらわれず、実情に応じ、柔軟な発想を含めた検討が有効であると文部科学省では考えています。そこで、これまで実際に整備された学校の中から、新しい工夫があり他の学校にも参考になると思われる施設的な提案について、情報提供をすることとし、小中学校の施設を新増改築、あるいは大規模な改修をするときに、関係者にとって参考になると思われる30 のアイディアを集め、提案しています。
「小学校学習指導要領解説 総則編」(平成20 年6 月)では、21 世紀の教育の考え方について、知識基盤社会化やグローバル化は、アイディアなど知識そのものや人材をめぐる国際競争を加速させる一方で、異なる文化や文明との共存や国際協力の必要性を増大させている状況において、確かな学力、豊かな心、健やかな体の調和を重視する「生きる力」をはぐくむことがますます重要になっていると解説しています。そのための教育目標のための空間を提案しています。
確かな学力の確立に向けた対応では、児童生徒の自主的な学習活動を支える空間や観察・実験、体験活動の充実のための空間、児童生徒の表現力をはぐくむ活動を支える空間が提案されています。また、豊かな心を育成するための施設づくりとして、児童生徒同士の交流を生む空間や豊かな芸術空間などが提案されています。健やかな体をはぐくむ施設づくりでは、日常的な体力づくりや食育の充実のための空間などが提案されています。
具体的には、普通教室は、設えや学習活動に配慮した余裕のある大きさとし、ICTを導入したり作り付け家具を工夫したりすることなどにより、多様な学習が可能となるように計画するものや、学習集団の規模や机の配列の形態が変わるような場合にも対応できることを提案しています。また、複数のクラスでフロアをのびやかに使うことで、多様な学びを支える教室まわりとして、同学年あるいは、低学年、中学年、高学年ごとに、普通教室+多目的スペース(少人数指導のためのスペースを含む)など学年段階に応じたユニットの空間構成とすることで、総合的な学習の時間における調べ学習や習熟度に応じた学習、またティーム・ティーチングなどを効率的に展開することができるとしています。
このような、新しい提案が、身近な学校で行われるようになるのは、いつのことでしょうね。
保育業者でもあり、学校教材教具備品業者でもございます自分は大変重要な情報をご教授いただいたという認識です。
先生の理念が、学校にも将来波及するととらえましたがいかがでしょうか。
文科省が「生きる力」を育む学校の空間を提案するのはいいのですが、学習指導要領で全国一律の学校教育を強制する今のやり方を改めない限り、子どもの育ちを考慮した空間作りはなかなか普及しないと思います。オランダでは、およそ100年前には憲法改正により「教育の自由」が確立し、市民団体でも独自の理念や方法で学校をつくり、公立校と同じように補助金をもらって教育ができるようになったと言います。そして、イエナプランが広まりだしたのが40年前。日本は幼児教育の世界でも、いまだに年齢別で一斉の保育が主流です。オールタナティブな藤森先生の保育観と手法が広まるにはあと何年かかるのでしょう。それはやっぱり革命的な出来事だと思います(笑)。
その革命的な出来事が起きてきたのをこの7~8年で目の当たりにしてきました。
20年以内ならまだ現役で弊社の陣頭指揮をば…無理ですね(笑)
新しい施設や空間の提案を見るのはまだ先になると思いますが、施設は今のままでもどんなことをどんな風に行うかは変えていくことができるはずです。むしろ制約がある中でどうやっていくかを考えることの方が重要だと思います。自分の事として今の問題を解決するために考えて動くことが必要だと思うのですが、難しいことがいろいろとあるんでしょうか。
冷静に考えてみても、今の時代で研究者達が世界の教育の実情を知らないわけがないですね。むしろ知らないほうが、おかしいかもしれません。それなのに、なぜ変えようとしないのか本当に不思議です。今の時代に対しての課題の中で空間はとても大切です。その空間も子ども自らが働きかけ、多くの事を学ぶ姿勢が本来の姿であり、勉強のような気がします。
我が子を通して小学校という施設を経験しています。廊下があって〇年△組の教室が並びます。黒板に向って生徒机と椅子が整然と並びます。先生が前に立って「姿勢の良い子ができる子!」と生徒に対して声かけをします。30数年前に私が経験した小学校とほぼ同じです。「同じ」であると大人の私たちはノスタルジーを感じます。あるいは子どもと同じ体験を共有していると思い何だか嬉しくもなります。しかし、当の子どもたちは勉強嫌いを通り越して虚無的姿を見せることもしばしば。世の中いろいろと変化を遂げているのに学校は変わらない。そしてさまざまな問題を抱えています。学校はもう変わらなければなりません。空間的環境から大いに見直すべき時を迎えていると思います。