タイムアウト

 ドイツの幼稚園で見た「けんかコーナー」、アメリカでよく見かける「ピーステーブル」を参考に私の園でも3,4,5歳児の部屋に「ピーステーブル」を作ったところ、けんかを始めた子どもたちは、その場に行って話し合いをしています。そのことを見聞きした他の園でも、自分の園で様々な名前を付けた同様なコーナーを作ったところ、同様に子どもたちは喧嘩をする前にその場に行って、話し合いをするようになっているようです。子どもたちは、環境を用意するだけでも自分たちで解決するようになるのですね。
 以前、テレビで見たのですが、アメリカで多動傾向にある子が授業に集中できずに、他の子に対してちょっかいを出したりした時に、先生が「タイムアウト」という声をかけて、その子をその場から去らせ、しばらく一人で落ち着くことをさせていました。けんかなどをして、ハイテンションになっている子どもに対しても、まず落ち着かせることをしないと、言い聞かせても、話合わせてもダメなので「タイムアウト」という方法をとります。それを見て私も他の園で相談を受けた時に、そうするといいかもしれないと助言をしました。また、先生もカーッと頭にきたときには、自ら「タイムアウト!」と言って、少し頭を冷やしてから子どもと向かい合った方がいいという助言もしました。
 ブログで書いたことがある「乳幼児の世界展」というイベントの中で、日本のJリーグが発足した年のテーマが「子どもからイエローカードを出されないために」というものでした。イエローカードというのは、悪質な反則や行為を行った選手に対して「警告」を発するときに審判が示すカードのことです。昨日も悲惨な幼児虐待のニュースが流れましたが、子どもが虐待をされそうになった時にそのカードを出すようにと、来場者にはイエローカードをプレゼントしました。この「イエローカード」は、「タイムアウト」と少し似たところがありますね。
 昨日のブログで書いた「キッズスキル」の中で、ステップを踏んでいく過程で必要な条件に「タイムアウトできるようにする」というものがあります。この本の中では、「怒っているときは感情のままに発言してしまうので、スキルに変換することを忘れて怒鳴ってしまうこともあるでしょう。親だって人間です。大人の側が感情的になったときにはタイムアウトを取りましょう。怒鳴りそうになったら、“今とても怒っていてちゃんと考えられないから、10分待ってちょうだい。10分したら必ず部屋に戻ってくるから”と言って、部屋を出ます。10分、一人で落ち着く時間を取りましょう。」
 ピーステーブルの効果も、そこで話し合うということでそこまで行く間に少し頭が冷やされるからです。これは、「クールダウン」という方法をとることもあります。この本には、このタイムアウトのポイントが書かれてあります。「部屋を出ていく理由を伝える」人間の感情に良い、悪いはありません。怒ること、悲しいことは誰にでもあることです。大人が自分の気持ちを伝えることで、子どもは誰でも起こったりイライラしたりすることがあるのは、普通のことなのだと認識できるからです。「時間を決めて、その時間が経ったら必ず戻ってくることを伝える」突然出ていくと、子どもは見捨てられたと不安になります。時間を設定することで子どもに安心感が生まれます。「もしも子どもに怒鳴ったり、感情的に怒ってしまったりしたら、あとで素直に謝る」大人も間違いをすることがあることがわかり、子どもも自分が間違ったことをしたときに謝れるようになります。
 このタイムアウトも保護者でけでなく、保育者も使ってみてはどうでしょうか。

タイムアウト” への4件のコメント

  1. 感情はとても大切で、子どもは様々な感情を体験した方がいいと思っているのですが、様々な感情を持っている大人の姿を見せることも意味があるんですね。でもそのときに、例えば怒りの感情を豊かに持っていない子どもがいたとしたら、大人の怒りの感情をどのように受け止めるのか興味があります。他人の感情は自分の感情のレパートリーの中で理解するしかないと思うので、他人が示している感情が自分の体験したことのないものだとしたら、どんな風に捉えるんでしょうか。どう伝わるかは、伝えようという思いをどう持つかで大きく違ってくるとも思うので、もっともっと詳しく知りたい内容です。感情をどう持ち、どう伝えるかは、個性をつくっていく重要な要素だと思っているので、タイムアウトからは離れてしまいましたが、いろいろ考えさせられました。

  2. 子どものトラブルの代表である喧嘩。発達途上の子どもたちにはそれを経験することで、人との関わり方を学ぶことができる。「喧嘩コーナー」のような環境を用意すると、子どもたちが話し合ってうまく解決してくれる。当事者の間に入って、お互いの言い分を聞いて裁定するのが大人の役目じゃないわけですね。その大人だって、いつも完璧ではないから、間違った時には、子どもたちに素直に謝る。子どもと対等な信頼関係を築いていくことが保育の現場でも家庭でも大事なんでしょうね。今話題の学習院では果たしてそれがあるのでしょうか?

  3.  「ケンカコーナー」「ピーステーブル」も藤森先生の講演の中から聞いたので、早速作ってみましたが、本当に子ども達だけで解決できるのにはとても驚いています。いかに先生が子ども達のケンカに関わって、邪魔をしていたのかと痛感しています。そして、これは子どもだけが使うのでなく、先生自身も使うのは大切かもしれません。以前私も子どもに感情的に怒ってしまいそうになった時に使いましたが、落ち着いて子どもに話せて子どもも納得してくれたようです。そして、先生が素直に謝ることも、子どもにとっては良いモデルになります。大人という権力を使って保育するのは、決して良くないことだと私は思いました。

  4. 今あるのかどうかわかりませんが、中学の時に生徒の態度に怒りを覚えたのか呆れたのかあるいはその両方なのかわかりませんが、突然授業を放棄して職員室に行ってしまう先生がいました。すると担任があらわれていろいろと私たちに問いただし、その後その先生に謝りに行くことを強要しました。理由を言うこともなく教室を出て行かれても「あ~あっ」程度です。もし出て行くときに「時間を決めて、その時間が経ったら必ず戻ってくることを伝える」と安心できます。職員室に嫌々お迎えに上がることもないでしょう。その後の関係も普通にいくと思うのですが、謝りに行って再び来て頂いても、残念ながらその先生と良好な関係を築き上げることはなかったように記憶しています。信頼感を感じたこともありませんでした。今思うととても残念なことです。

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