スキル

 私は、6月にフィンランドの方とシンポジウムをやることになっています。フィンランドと言えば、PISAの学力調査で世界一の学力と評価されてから、世界中から視察や、フィンランドのメソッドを研究する人が増えたようです。しかし、その取り上げられ方は様々です。フィンランドの実践も、幼児教育、学校教育、家庭教育と様々です。私は、別にフィンランドの教育の研究者ではありませんので、どれが正しいのか、何が世界一の学力をつけさせたのかはよくわかりませんが、それぞれの取り組みの中で、私たちに参考になる部分が多いにあることは確かです。
 また、子どもの自殺が報じられました。その理由がいじめかどうかははっきりしていませんが、多くの子どもたちがいろいろな壁に直面していることは確かなようです。それは、「いじめ、暴力、不登校など大きな問題になっていなくても、友達関係や担任との相性、苦手科目など、一人ひとりの子どもが何らかの壁を感じながら毎日を過ごしています。そして、それをサポートしたくてもどうしてよいかわからない保護者もまた、同じように悩んでいるのではないでしょうか。」という訳者のあとがきに書かれてある本「フィンランド式キッズスキル」(ベン・ファーマン著 佐俣友佳子訳 ダイヤモンド社発行)も参考になります。
 このキッズスキルの良さは、「遊び心」だと言っています。最近、私も保育の質の高さは、「遊び心」ではないかと言っています。この本を読んでいると、他にもずいぶんと私と共通なところがあります。それは、著者のベン・ファーマン博士はあらゆることに興味を抱き、その場その場を最大限楽しむ人であるようです。ここで、また私が提案するキーワード「楽しむ」が出てきます。ただ、この本は基本的には4歳から7歳まで通うフィンランドの小学生の親子向けですが、もっと上の年齢でも、思春期を迎えて子どもや大人までにも使えるようです。私は、読んでいて、最近の保護者の苦情などの保護者対応にも応用できる気がしました。
 このキッズスキルには新しい考え方が必要になると言っています。まず、お互いに非難し合う現象である「ブレームストーミング」を避けます。キッズスキルでは、子どもが直面している困難の原因を追及するのに時間を費やすことはしません。その代わり、子どもが何を学ぶ必要があるかに焦点を当てます。誰が悪いとは考えないで、脳から知恵を出し合うという意味の「ブレーンストーミング」に対する言葉としての「ブレームストーミング」はやめようということです。次に、大人が介入するべき対象として子どもを見るのではなく、問題に関するあらゆる話し合い、決断の場に積極的に参加する権利のある、解決へのパートナーとしての子どもを見るのです。「欧米では、子どもに問題があったら専門家に相談し、専門家はその子を検査して医師などの治療につなげるという考えが正しいとされてきました。キッズスキルはこの方法とは別の方法をとります。子どもの解決方法を知っている専門家から、その解決方法を一番必要としている保護者や教員、保育士、そのほか子どもや家族のケアの現場で活躍する人々へと中心を移しているのです。今まで当たり前だった専門家への依存傾向とは真逆です」と書かれてあります。
 専門家が判定を下すとか、専門家が解説をしても少しも改善にならず、ただ納得するだけです。最近、私も現場で問題のある子どもに出会ったときに、保護者を含めた自分たちで解決のために最善策を考えることが重要であることを痛感しています。

スキル” への4件のコメント

  1. 青山学院大学の古荘純一先生の『日本の子どもの自尊感情はなぜ低いのか』を今読んでいるところです。QOL尺度による調査で日本の子どもは、成績の上位、下位を問わず総じて自尊感情がきわめて乏しく、いじめ、暴力、登校拒否がなくならないのもそれが原因のようです。ただ、児童精神医の様々なデータを基にした分析はよくわかるのですが、問題の当事者にしてみれば、この子をどうすれば正常にできるのか聞きたいところでしょう。発達障害の場合、専門医の診断や意見を参考にしつつも、解決方法は別に求めるというのはとてもよく理解できます。フィンランド教育の概要は調べたことがありますが、キッズスキルのことは初めて聞きました。また、課題が増えました。

  2. 「遊び心」や「楽しむ」ことはとても奥の深いことで、おそらく正しく理解はできていないでしょうが、でもその大切さはよく分かります。自分に足りないところというか苦手なところなので、大事さは日々痛感しています。フィンランド式キッズスキルというのは初めて知りましたが面白そうな内容ですね。またまた貴重な学びのきっかけを頂きました。

  3.  「楽しむ」ことは、とても大切なことだと思います。とくに仕事をしているときも楽しいと思いながら仕事をこなした方が絶対に気持ちも楽ですし、保育士ならば、尚更大事だと思います。それは保育士だけでなく小学校や中学校、高校教師も必要な気がします。それが子どもに伝播し子どもも学校が楽しいと思ってくれれば、自殺も減ると思います。「フィンランド式キッズスキル」というのは初めて聞きました。中身は確かに藤森先生が言われている事と同じですね。

  4. 小学生の息子がいます。今回紹介された「フィンランド式キッズスキル」は読んでみたいですね。私の子も学校生活をスムーズに送ることができないようです。最近は殊に顕著で。まぁ、時が過ぎ学年が変わったり状況に変化が訪れれば自然と解消されるだろうと思いますので学校に対してどうのこうのと申し上げることはもとより、あまり深刻に対処せず、朝お腹が痛いとか咳き込んだらそのまま学校を休ませています。しかし、世の中はそうではないケースが多いようで「ブレームストーミング」が吹き荒れています。あるいは自分の子が関わる施設なり学校への「依存傾向」が強いものですから少しでも我が子に不利な(と親が思い込んでいる)ことがあればアタックを厳しくすることもあります。また「専門家に相談し、専門家はその子を検査して医師などの治療・・・」というケースも流行。多くの子どもや親は自信を失い、ますます「依存傾向」を強めています。なんだかおかしなことが多くなってきているような気がします。

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