論語の第1章の中に書かれてありますが、楽しみなのは、「朋」と語りあうことだと言っていますが、この友とは、同じ門下生という同じ思いを持った人ということです。確かに、同じ思いを持った人と議論したり、意見を交わすことはとても楽しいことですし、学びも大きい気がします。しかし、それが長続きするのはとても難しいことでもあります。
 以前、九段を歩いていて、「硯友社跡」という看板を見つけました。
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この硯友社というのは、「文筆にかかわる友」という意味で、同じように硯を使う友ということです。この硯友社は、東京大学予備門の学生だった尾崎紅葉、山田美妙、石橋思案や、高等商業に学ぶ丸山九華らがつくった文学結社です。
尾崎紅葉が「硯友社」という名前を付けたのは、私はこんな理由があると思います。尾崎紅葉が「硯友社の沿革」を書いていますが、その中に、山田美妙の書いた小説「竪琴草子」に驚いた場面があります。「其の小説はアルフレッド大王の事蹟を仕組んだもので、文章は馬琴を学んで、実に好く出来て居て、私は舌を巻きました。」
山田が学んだ滝沢馬琴は、27才の時から、58才まで築土神社氏子内の元飯田町中坂下に居住していました。この築土神社は、ブログでも書きましたが、当時牛込にありましたが、今は、硯友社跡地のすぐ近くにあります。現在、中坂下(千代田区九段北1丁目5番地)の滝沢馬琴邸跡には、馬琴ゆかりの井戸が残り、この井戸で馬琴が硯に水を汲み筆を洗っていたことから、「硯の井戸」と呼ばれています。そんなことから、馬琴を学んでいた山田が硯友ということを思いついたのかもしれません。
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しかし、永遠に友でいるという意味で硯友社と称した尾崎と山田ですが、山田が社に無断で、他社で主に筆をとるようになったため、硯友社から離脱し、打撃を受けることになるのです。そんな硯友社ですが、離脱する前は、日本初の純文芸雑誌である「我楽多文庫」を創刊し、大きな反響を呼んで、川上眉山、巖谷小波、江見水蔭、挿絵の武内桂舟らが参加しています。その中で、山田や巌谷は言文一致体の小説を載せ、近代文体の確立にも貢献します。
この巌谷小波は、医者への道を歩ませられることを嫌い、周囲の反対の中で文学を志して進学を放棄し、この硯友社に入るのですが、のちに、近代日本児童文学史をひらく画期的作品を書き、その後も児童文学に専心し、種々の児童向けの雑誌や叢書を刊行しています。しかし、最近は、あまり評価されていません。彼の作品の多くは、博文館発行の雑誌「少年世界」に掲載されています。彼は、様々な作品を書きますが、有名な「桃太郎」や「花咲爺」や「舌切雀」などの民話や英雄譚の多くは彼の手によって、おとぎ話としてやさしい文章に再生され、小さな子どもたちにもなじみ深いお話としてと読まれるようになったために、児童文学の開拓者とも言われています。
巌谷小波は地域に伝わる民話を参集するために各地を訪れるのですが、「舌切り雀」の伝説が伝わるという磯部を訪れています。そこで、舌切雀伝説発祥の地とされ、巌谷小波がその時詠んだ句、「竹の春 雀千代ふる お宿かな」の句碑がある磯部温泉を、先週の日曜日に訪れました。
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” への4件のコメント

  1. 同じ思いの人たちと学びあうことで個性を磨くことも、違う思いの人たちと意見を交わすことで個性を磨くことも、どちらも大事だと思います。違うのは、同じ思いの人がそう簡単には見つからないこと、でしょうか。同じ思いの人を見つけたら、同じになることを求めるのではなく、その思いのもとでそれぞれに違う個を磨いていくことを目指さなければと思っているのですが、なかなか難しいですね。

  2. 今、手元に一冊の赤茶けたガリ版刷りの小冊子がある。大学の児童文化研究部時代に作った童話集『アヒルの鎖』だ。第二次世界大戦のフランスでレジスタンス運動を支えた小新聞「鎖につながれたアヒル」からとった名前だ。秋の大学祭の前に、部員のアパートでラーメンをすすりながら、ガリ版のローラーを転がした懐かしい思い出が詰まった宝物だ。あのころの仲間たちは、新聞記者や教員、会社の重役、市会議員など社会の第一線で花をひらかせている。数年前に八王子に集まって同窓会をした。30年あまりの過去にタイムスリップして旧交を温めあった。いつか国際アンデルセン大賞をとる作家を出そうという夢だけはまだ果たせていないようだ。

  3. 本当に勉強になるブログです。「硯友社」・・・存在どころか名前も知りませんでした。ところが、今こうしてコメントを作成していて「けんゆうしゃ」とキーボードを叩くと、なんとしっかりと「硯友社」と変換されます。我が浅学に落胆したところです。また硯友社の4名のうち知っているのは「尾崎紅葉」だけ。同様に「我楽多文庫」はどこかで目にしたか聞いたことがある程度。しかも揚げられたいる同人各位はこれまたお初。しかも「「桃太郎」や「花咲爺」や「舌切雀」などの民話や英雄譚の多く」を私たちもとに届けた「巌谷小波」くらいは知らないと、と自戒したところです。この人はしっかりと覚えておいたほうがいいですね。今回のブログによっても興味関心の領域が広がりました。ありがとうございます。「磯部温泉」は新幹線車内の広告でよく目にしました。途中で立ち寄ったこともあります。

  4.  同じ考えの人と話すのは本当に楽しい事だと思います。そういう意味で職場の先輩や同期、そして園長先生と保育、子どもの話をすると、時間を忘れてしまうほど熱中します。基本は一緒でも、色々な角度からの意見が出るのは本当に学びが大きいです。それが長続きするのがとても難しいと書いてありますが、なぜだろう?と少し疑問を持ちました。いくら約束をしたとしても高みを目指す場合、離れてしまう時がくるのは仕方が無いのでしょうか…。

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