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2010年02月02日 近頃思うこと

伝統的

 先週の日曜日、「伝統的工芸品」を見てきました。経済産業大臣が指定した伝統的工芸品と呼ばれるものは、昨年4月現在で211品目あります。これらの工芸品が、「伝統工芸」ではなく、「伝統的工芸品」というのは、「伝統的工芸品産業の振興に関する法律(伝産法)」で定められたものだからです。「的」とは、「工芸品の特長となっている原材料や技術・技法の主要な部分が今日まで継承されていて、さらに、その持ち味を維持しながらも、産業環境に適するように改良を加えたり、時代の需要に即した製品作りがされている工芸品」というほどの意味だそうです。
dentorogo.gif
では、どんなものが「伝統的工芸品」なのかというと、法律上、次の要件が必要と規定されています。
「主として日常生活で使われるもの」ということですが、その理由として、工芸品は「用の美」ともいわれ、長い間多くの人の目や手に触れることで、使いやすさや完成度が向上するために、色・紋様・形は、日本の生活慣習や文化的な背景とも深く関わっているからです。今では、かなり高価なものが多いのですが、本来はぜいたく品であったり、ただの飾り物であるのではなく、使いやすさこそがすべらしいデザインを作っていくという考え方は今に通じます。
 次に「製造過程の主要部分が手作り」とありますが、主要部分とはどこかというと、製品の品質、形態、デザインなど、製品の特長や持ち味を継承する工程が「手作り」であるというのが条件のようです。それは、製品一つ一つが人の手に触れる工程を経ることによって、人間工学的にも妥当な寸法や形状となりますし、安全性も備えていくからです。やはり、人間が使うものは、人間の手によって作られることによって、使いやすいデザインになっていくのですね。
 次が「伝統的技術または技法によって製造」です。これは、工芸品の技術、技法は、100年間以上、多くの作り手の試行錯誤や改良を経て初めて確立すると考えられているために、伝統的とはおよそ100年間以上の継続を意味します。ここには、「技術」と「技法」は一体不可分なものであるといっていますが、この考え方はとても示唆に富んでいます。技術は、「技術を磨く」といわれるように「一人一人の作り手の技量」「精度」に関わりが強く、技法は「原材料の選択から製法に至るノウハウの歴史的な積み重ね」に関わるものと言っています。ですから、伝統的技術、技法は、昔からの方法そのままでなく、根本的な変化や製品の特長を変えることがなければ、改善や発展は必要であるといっています。伝統といって、ただ昔のものをそのまま守るのではなく、100年以上の継続というのは、100年の間の試行錯誤、改良の歴史を意味するのです。そして、その歴史は、技術、技法だけでなく、「伝統的に使用されてきた原材料」にもいえます。100年間以上の継続は、長い間吟味された、人と自然にやさしい材料の選定につながっているからです。
そして、「一定の地域で産地を形成」というのは、地域産業として成立していることが必要で、そこには、産地全体の自信と責任に裏付けられた信頼性があるからです。
 伝統は、工芸品だけで行われるものではありません。明日、園で行われる「豆まき」も伝統行事です。近くの神社の方が、年男、年女が着る「裃」を貸してくださいました。

投稿者 fujimori : 2010年02月02日 22:45

コメント

今、テレビでは相撲の話題でもちきりです。無謀に思えた貴ノ花親方の理事挑戦が奇跡的に成功して、日本の伝統的な国技・相撲の世界にも改革の兆しが…。相撲のルールやしきたりは変える必要はないと思いますが、部屋や協会の運営については時代に合わせて変えていくことが必要だと思います。これまで「伝統」を理由にそれを頑なに拒んできたことが、朝青龍問題の遠因ですね。また、日本の教育の制度や授業のやりかたも、100年前とさほど変わっていません。イエナプランのオランダが40年も前に、一斉画一の授業を見直し、一人一人の発達に即した個別授業を開始したことを考えると、日本の教育界は世界の潮流から大きく後れを取っていることになります。

投稿者 yamaya49 : 2010年02月03日 18:10

「伝統工芸品」がわりと鑑賞の対象と考えられるところ「伝統的工芸品」は「用の美」がある、すなわち「日常生活で使われるもの」というところがいいですね。そしてこの「的」の部分を今回のブログでは解説紹介しております。「持ち味を維持しながらも、産業環境に適するように改良を加えたり、時代の需要に即した」の部分を読むと「変えてはならないものを変えないために変わる」ことと同様の意味を看取できます。しかも「手作り」。私たちが関わる仕事も「手作り」であることを考えるとこの「伝統的工芸品」の規定と合い通じるものがありますね。さらに「100年間以上の継続」とあります。それも「100年の間の試行錯誤、改良の歴史」。わが国の教育伝統とは一体何でしょうか?

投稿者 toshi1219 : 2010年02月03日 22:48

「100年の間の試行錯誤」という表現から伝統的工芸品の重みを感じます。「産地全体の自信と責任に裏付けられた信頼性」という言葉も同じです。伝統的工芸品に限らず、今あるものが全く同じ状態で100年後に存在していることはありえないのかもしれません。そう考えると私たちの役目は、変えてはいけないことと改善したり発展させなければいけないことをきちんと掴み、次につないでいくことでもあるんでしょう。特に自分が深く関わっている分野に関しては、その本質を深く知ろうとする姿勢が大切だと思います。伝統的工芸品の話は自分とは関係のない世界の話だと思っていましたが、自分自信の事として考えなければいけないことだと気付かされました。

投稿者 あいやま : 2010年02月03日 23:38

 「伝統工芸品」と「伝統的工芸品」の両方の違いは無いと思っていたというか、そこまで意識をして見ていなかったので、ブログを読んで、違いがあると初めて知りました。ただ「的」が付くだけで法律が絡んでくるとは思っていませんでした。逆に言えばそれだけ伝統で作られているものは、貴重な扱いというのが分かります。そして100年以上も続くというのは、大変な努力が必要だと思います。ブログにも、試行錯誤と改良の繰り返し、原材料、地域など全てが成立しての伝統的工芸品になるのですね。想像以上に伝統を伝えていくのは大変な事だと感じました。

投稿者 Sasuke : 2010年02月04日 23:47

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