大根

 今日の夕食に「おでん」をいただきました。おでんについてはブログで書きましたが、その中に入れる具で好きなものは年齢によって変わってきました。今は、大根がおいしいと思います。もともと大根は地中海地方や中東が原産で、古代エジプトから食用としていた記録があるそうですが、日本には中国を経て、弥生時代に伝わり、現在の消費量は世界1位です。また、大根は1年中食べられますが、じっくり煮ておいしいのは冬の大根で、おろしたりして、生でおいしいのはどの季節でも新鮮な大根がいいそうです。
 大根の辛味成分であるアリル化合物には炎症を鎮め、せきを止めるほか、殺菌の働きもあるといわれており、風邪をひいた時は、大根とショウガのすりおろしたものをお湯に溶かして飲んだり、大根の角切りをハチミツや水飴に漬けておいて、溶け出したエキスを飲むと咳が止まったり、風邪にいいといわれています。また干した大根の葉には、温泉成分にみられる塩化物や硫化イオンなどの無機成分が多く、皮膚のたんぱく質と結合して膜をつくり、保温効果を高める働きがあることから、大根を使った風呂も、昔から農村地帯で冷え性や婦人病治療のための民間療法として使われてきました。
明日から調理セミナーが行われますが、江戸時代の食生活はどんなんだったでしょう。江戸時代の江戸の人口比率は、街づくりのために男性が圧倒的に多い町でした。しかも、独身者も多かったようです。ですから、食生活の中心は、今でいう外食だったようです。落語などにもよく出てきますが、屋台で、そば、おでん、寿司、てんぷらなどをつまんでいたようです。また、長屋などの家では、朝に1日分のご飯を炊きました。朝食には、そのご飯と「しじみ」「わかめ」「豆腐」「野菜」などを具にした味噌汁に漬け物程度です。子どもたちは朝に寺小屋へ行き、昼になると家に戻って昼食を食べました。昼食は、朝に炊いたご飯と味噌汁、そして野菜の煮付けがありました。その後は再び寺小屋へ行き、午後2時頃に帰ってきて3時のおやつに焼き芋や餅などを食べました。夕食は、一汁一菜が基本で、ご飯に漬け物や魚、野菜の煮付けなどです。
このメニューを見ると分かりますが、野菜をよく食べました。その中でナンバー1は、「大根」でした。また、江戸時代の「享保・元文諸国産物帳」によると、大根が品種数のもっとも多い野菜と記述されています。また、料理の種類も多く、江戸時代の大根料理専門書にはおよそ百種類も掲載されています。「大根一式料理秘密箱」(1785)刊の序には「物の名も所によりてかはれども大根の生ぬさともあらじ。はにふのすまゐにも香物つけぬ事もあるまじ。<中略>貴賤老若 雅人鈍ぶつにすゝむともよもふさいだ口あかぬもあるまじ」ここには、大根は、地域の差もなく、住まいの差もなく、貧富の差もなく、老若男女の差もなく、風雅人であろうが愚鈍な人でも、誰にでもすすめても喜んで食べるであろうと書かれてあります。
科学的に成分が分析されなくても、経験から体にいいものがわかっていたのですね。

大根” への4件のコメント

  1. おでんの大根もいいですが、大根おろしも大好物です。汁ごとごはんにかけて醤油をたらしてと、あまりきれいな食べ方ではありませんが、あの味はたまりません。
    最近はあまりないようですが、以前はテレビで「○○が体にいい」と放送されるとその食品が急激に売れて、ブームが過ぎるとまた元通りという光景をよく見かけました。科学的にいろんなことがわかってくるのは素晴らしいことだと思いますが、食べて美味しいとか昔から受け継がれてきた経験とか季節感とかよりも栄養素が優先されてしまっているような気がして、この傾向はどうなんだろうと感じていました。大切な食事のあり方について、じっくり考えたいと思います。

  2. 読んでいるだけで、おでんの大根が食べたくなりました。
    僭越ですが、先生の文章はテレビショッピングより根拠と説得力が凄まじいので、明日はおでんをリクエストせざるを得なくなりました。

  3. 「大根」・・・daikon radish、Japanese radish 。一茶作「大根引き 大根で 道を教えけり」。大根はおろして食べてもよし、煮てたべてもよし、スライスして食べてもよし。葉もおいしい。出雲屋安兵衛氏曰く「テレビショッピングより根拠と説得力が凄まじい」とは全く同意!今回のブログを読んだ皆さんはおそらくこぞって大根を食卓にのっけることでしょう。沢庵も私は大好きです。ところが私の父は「沢庵」が大嫌いでした。従って食卓に「沢庵」が上ることはなく、大根のお料理も食卓には登場しない子ども時代を過ごしました。沢庵は父に隠れて食していたことを思い出しました。わが家内は大根が好きです。おかげで大根はよく食卓に登ります。

  4.  先日のテレビ番組でおでんの特集をしていました。おでんも地方によってダシや入っている具も違うのですね。その中でも、おでんと聞くと大根は外せない具の一つだと思います。大根は、卸して焼き魚と食べたり、味噌汁の具にも入っていますが、大学の時に実家に戻った時に風邪をひいてしまった時に、母親にブログに書かれている、角切りにした大根にハチミツをかけて、溶け出したエキスを出されたのを思い出しました。今の時代は野菜の栄養素や成分は簡単に調べる事ができるので、体調を崩した時にどんな野菜を摂取すれば良いか分かりますが、昔はそうもいきません。そんな中でも、経験から体にいいものが分かっているのは、それだけ経験が豊富なのですね。

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