年齢

 今年の大みそか恒例テレビ番組「NHK紅白歌合戦」が今年で第60回を迎えました。その中でサプライズ出演をしたのが、今年60歳の還暦を迎えた矢沢永吉さんでした。還暦というのは、「暦が還る」ということで、生まれた年と同じ年の干支となることから、ちょうど一回りをして、暦が戻って赤ん坊に生まれかわると言う意味から赤い頭巾やちゃんちゃんこを贈ります。それは、赤ちゃんということで赤というわけではなく、赤色は、かつては魔除けの意味で産着などに使われていたため、再び生まれた時に帰るという意味でこの習慣があるのです。私も昨年還暦だったために、赤いちゃんちゃんこをいただき、それを着て記念撮影をしました。また、記念に頂いたお祝金で、赤い軸の万年筆を買いました。それを持ち歩くことで、魔よけにしています。
 この還暦は、数え年で61歳のときですが、現在では、数え年に代わって満年齢を用いることが多くなったため、満60歳を還暦とする考え方が一般的になっています。しかし、干支が一巡するのは、1月1日ですので、数え年での年齢に呼び方の方がしっくりいきます。この還暦のように、数え年に様々な呼び方があります。そのほとんどは、ブログで書いた論語からとったものが多いのですが、そのほかにも文選(もんぜん)という中国南北朝時代に、南朝梁の昭明太子によって編纂された詩文集や礼記などがあります。文選からは、様々な日本語が生まれています。これらからとった年齢の呼び方で、どのような時期なのかが分かります。
文選に2~3歳のころを「孩提」と言いますが、「孩」は子どもの笑いを言い、「提」は、抱かれることを意味します。ですから、抱かれて笑う子どもの様子を表しています。また、7、8歳のころは、子どもの身の丈が三尺(≒90㎝)ほどですので、「三尺の童子」と言います。同じように、14~15歳のころを、倍の六尺くらいになることから、「六尺」といいます。幼児とか、幼稚園に使う「幼」は、生まれて10年をいいます。礼記に、「人生十年曰幼学」とあることから、この年齢が、学ぶ始める時期のようです。そして、15歳のことは、論語の「吾十有五而志学」から、「志学」と言います。孔子が学問に志を立てた年齢です。一方、女子は、15~20歳のことを「笄年」というのは、初めて笄(かんざし)を刺す年齢のことで、成人の意味があります。ほかにも女子は、16歳の時を「破瓜(はか)」と言いますが、「瓜」という字を縦に割ると、「八」が二つになり、合わせて16になることからきています。男子の場合は、八掛ける八で「64歳」のことを指します。
「弱」は中国周の時代では、20歳を表す言葉で、そのときに元服して冠をかぶることから「弱冠(じゃっかん)」といいます。礼記に、「二十曰弱冠」とあります。そして、30歳になると、論語に「三十而立」とあるように孔子が学問で自立出来たと考えた年齢の「而立(じりつ)」といいます。このころから40歳までは、礼記に「三十曰壮有室」とあるように血気盛んな時期であり、古代中国では貴族の男性が妻をめとる頃の年齢ということで、「壮」といい、40歳になると、礼記に「四十曰強而仕」とあるように「気力が強く、分別のある」ということで「強」といいます。ですから、「強壮」とか、40にして仕官するということで「強仕」とかいいます。また、論語より、まどわない年頃であることから「不惑」ともいいます。
 48歳は、桑年(そうねん)といいますが、桑という字の異字体「桒」が、四つの十と八に分けられ合わせて48であることからです。50歳は、世間に名が知られる年頃であることから「知名」(ちめい)と言ったり、論語の「五十而知天命」から「知命」とも言います。そして、礼記に「五十曰艾」とあるように、艾(ヨモギ)に見られる細かな毛のように、髪が白くなることかから、「艾年(がいねん)」と言います。 そして、60歳は、論語から「耳順」と言い、律令制で21歳から60歳の丁が終わる年齢であることから「丁年(ていねん)」とも言います。
これらの呼び方は、めでたいということもあって、この後の年齢に多く使われます。これらを見ても、日本の文化は、ずいぶんと中国の文化に影響されていますね。

年齢” への4件のコメント

  1. 紅白に矢沢の永ちゃんが登場するとは、びっくりしたぜベイビー(笑)。あれで紅白の視聴率が40%を超えたんだな。間寛平さんは、ヨットで太平洋と大西洋を越えて、マラソンで地球一周している。RUNで1万キロを走って、今トルコにいる。60歳は自分の生涯の夢を実現できる年齢なんですね。今日、本屋で斉藤茂太先生の「50代から人生を愉しむ生き方」という本を買いました。そのなかに、このブログでもよく登場する貝原益軒の養生訓の言葉が紹介されています。すなわち、『人間、六十歳までは種まき、六十過ぎてからは収穫期だ』ーなるほど五十代は人生の総決算に向けての助走の時期だそうです。ちょっと明日からの生活が変わりそうです。

  2.  色々と年齢表す言葉はいくつか聞いた事がありますが、そのほとんどが中国から伝わってきた言葉なんですね。私の場合は「弱冠」に当てはまります。また15歳の事を表す「志学」はある学習塾の名前で知っています。また町内で私の父が青壮年という会に入っていましたが、この会は父とだいたい同じ年代の人が集まっている会です。どの名前もブログを読むと納得します。身近な言葉で中国から伝わってきている言葉が多くあるのですね。

  3. 年齢の呼び方にここまで種類があるのは知りませんでした。でも、ただ単に何歳であるかというだけでなく、その時どうあるべきかを言葉にしているものが多くあるのが気に入っています。年齢も、自分と向き合うことで学問にもなっていくんでしょうね。これだけの言葉を持っている中国もすごいですが、それを取り入れた日本もなかなかのものだと思います。こんなやりとりのできる国同士の関係を目指すべきなんでしょうね。

  4. 気持ちはいつまでも20代30代です。しかし鏡に映る我が姿は年相応。自分より年の若い人々の能力の高さに触れてはいまだ自ら刻苦勉励。年を重ねたとはいえ、内実が伴っていない自己を振り返っては溜息をつき、それでも「気持ちは20代30代」ですから自己磨きに奮起。「強壮」「桑年」そしてまもなく「知天命」の齢。おかげさまで、自己の内面を充実して日々月々年々を重ねていける現状に勇躍歓喜。これからも当ブログをよく読み自分なりにさまざまなな学びを獲得していきたいと思います。「耳順」の年代になりなんとか「耳順」を実践できるよう今から先の自己充実を課題としていかなければならないと思います。

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