グッドデザイン賞の取り組みを見ると、時代がわかる部分があります。今年、新たに「グッドデザイン・フロンティアデザイン賞」が設けられました。市場ですでに提供されているものとは異なった対象や、産官学連携で生まれた対象などを、一般の商品などと同列の立場で扱うことのない安定した評価の仕組みを設けたかったからだそうです。一方、グッドデザイン・フロンティアデザイン賞も、近未来の生活を示唆する「まだ実現されていないものごと」を、持続可能な社会の実現という視点から評価し推奨する新しい賞です。簡単に言うと、現在の暮らしを支えるのが「グッドデザイン賞」、長い間市場に支持されてきた定番のデザインを扱うのが「グッドデザイン・ロングライフデザイン賞」、これからの未来を切り拓く「グッドデザイン・フロンティアデザイン賞」となり、「過去」「現在」「未来」と時間軸に沿って評価するという取り組みです。
今年の応募作品から見える時代を、審査委員長である建築家の内藤廣氏は、このように書いています。グッドデザイン賞の応募作品全般には、「成熟したエコロジー」とでもいうべき要素が備わっていて「おとなしい」印象があるようです。「少し前までは、グッドデザイン賞でも「エコロジー」といえば、環境に取り組む態度それ自体が特別なものとして表現されてきました。それが今では、そうした態度はごく当たり前のことになりました。それが成熟して、未来をエコロジーの観点から見直して行こうとする気運が感じられるようです。この流れは、今後、より先鋭化される形で我が国のデザインの大きな潮流になるはずで、その取り組みを広く消費者に届けるには、どうしても優れたデザインの力が必要になるであろう」と言っています。
今、デフレで大変ですが、日本は外貨を得て生きていかざるを得ない宿命を負っています。そのために、「確かな国際競争力をもって世界に出て行く優れた商品が必要です。ここでもデザインの力は欠かせません。新政権が国際公約した流れをより広範な海外に向けた経済活動へと展開するためにも、エコロジーを軸にした新しいデザインが求められてくるでしょう。先に述べた「成熟したエコロジー」が達成された状況は、次なる飛躍の大きな土台が築かれた、と見るべきです。」と提案しています。
同じようにデザインの今を知るためによいイベントがあります。それは、10月末から11月にかけて開催れた「東京デザイナーズウィーク2009」です。このイベントの今年のTDWは環境に対してデザインができること「LOVE GREEN」をコンセプトにしています。このイベント内でも、グリーンオブジェや、パイン・ビートルによって変色した木材を用いた100% Design Tokyo AwardsのトロフィーやエントランスゲートSpot on Wien による太陽光の力を表現したインスタレーションや、「Cube展」は植物に覆われたグリーンキューブ台に作品が展示されています。また、DAと環境省の共催でデザインの力でCO2削減を提案するデザインアワードのキックオフとして「Low CarbonLife-design Award 2009」の特別展示がされています。
「何がグッドか」は、エコがグッドであることはもう当たり前のことで、それをどのようにデザインという価値に置換できたか、消費者にとって分かりやすく魅力的な価値として提示できたか、ということが課題のようです。この課題は、他の職種でもいえることです。
エコデザインについて、カリフォルニア大学建築学科名誉教授のシム・ヴァンダーリン氏は、「自然と技術のパートナーシップであり、地球の持続可能な発展のための唯一の道」と位置づけています。その実践にあたって欠かせない原則が次の五つ。①『答えは場所にあり。』建物はその特定の場所が持つ独特な自然と文化的特質を尊重すること。②『エコ収支がデザインの方向性を決める。』地球環境に及ぼす影響まで考えてデザインを考えるべきである。③『自然の仕組みに沿ってデザインする。』風の流れ、水の流れなど自然界の様々なシステムを有効に活用する。④『誰もがデザイナー。』デザインは専門家のものではない。そこに住む人が自分たちのニーズにあう解決策を作るのがデザインである。⑤『自然の仕組みを視角化する。』自分たちの食べ物や水、電気がどこから来ているかなどのプロセスを感じられるデザインにする。デザイナーズウィークの出展作品を見ましたが、いずれもこれらの原則を踏まえたものですね。
このブログではデザインという言葉がよく出てきますが、まだまだその言葉の意味を正しく理解出来ていないのかもしれません。というのも、デザインの可能性にいつも驚かされるからです。「消費者にとって分かりやすく魅力的な価値として提示できたか」を考えるとき、「どのようにデザインという価値に置換できたか」といった風な発想にはまだまだ遠いです。未来を示唆するデザインというのも、私の想像を超えています。デザインということに対しての自分自身の捉え方を、少しでもいいので、高めていかなければいけないようです。
前回のブログからグッドデザイン賞のことですが、ここまで考えているとは想像以上でした。人々の生活に密着し、過去から未来へとつなぐ物が評価され、そして何よりもエコが最前提という事が大切なんですね。それを、どうデザインするか?なんだか難しいです…しかしグッドデザイン賞だけでなく、色々な職種、場面でも、これからの時代には必要なことかもしれません。
グッドデザイン賞がいろいろさまざまな変容を遂げていることが今回のブログを読むとよく分かります。端的に、過去・現在・未来という時間軸をデザインの世界に反映させている点、21世紀!という感を否めません。そしてデザイン即エコロジカルという視点は地球の現況及び将来を色濃く映し出しています。ニュース報道は私達を深刻にさせることが多いですが、当ブログによる情報提供は私たちに夢や希望を抱かせます。ネガティブワールドが勢いを増す今日この頃、ポジティブかつドリーミーな思想・哲学でもってハッピーワールド実現をめざしたいですね。その文脈の中でデザインということを考えると楽しくなります。私たちが関わる乳幼児教育養護の世界のデザイン。今後とても重要かつ必要とされることでしょう。