時代

 先月、今年のグッドデザイン大賞が決定し、表彰式がありました。私も二つグッドデザイン賞を受賞していますので、何回かブログでも取り上げました。今年、グッドデザイン賞は、2952件を審査し、1034件(591社)が受賞したようです。なんだか、私が受賞した時の興奮した気持ちを思い出しました。私が受賞したのは、二度とも「新領域部門」でした。今は、領域も変わっていますが、ほかにも何がグッドデザインなのかも時代を反映しています。
 今年のグッドデザイン賞は、昨年度から打ち出した「近未来の生活者の立場に基づく審査」という方向性を踏襲しています。その方向性からの審査理念は、人間(HUMANITY)「もの・ことづくりへの創発力」、本質(HONESTY)「現代社会への洞察力」、創造(INNOVATION)「未来を切り開く構想力」、魅力(ESTHETICS)「豊かな生活文化への想像力」、倫理(ETHICS)「社会・環境への思考力」です。これらに示された力、「創発力」「洞察力」「構想力」「想像力」「思考力」は、これからの時代に必要な力です。小学校学習指導要領には「思考力」「判断力」「表現力」「その他の能力」と書かれています。まあ、デザインとして必要な力ですから違いはあるでしょうが。
 領域も今は、生活の場面に則した領域分類を、より実情に適ったものとするため、「身体」「生活」「仕事」「社会」「ネットワーク」の5領域に設定されています。それぞれの領域のなかで大賞候補の「ベスト15」には、なじみのものも多くあります。生活領域では、ダイソンのサイクロン掃除機とか、本田のインサイトとかトヨタのプリウスです。ネットワーク部門では、5つ受賞していますが、そのうち二つはサムソン電気の液晶テレビとミニノートパソコンが受賞しました。それらの中で異色なのは、今夏、東京のお台場に登場し、約415万人を動員した“実物大”の「機動戦士ガンダム」立像も選ばれています。
これらの候補の中から2回の投票を得て、大賞が選ばれました。ちなみに、ガンダムは4位でした。大賞は、北海道岩見沢市の「岩見沢複合駅舎」(ワークヴィジョンズ+岩見沢レンガプロジェクト)が出らばれました。「岩見沢複合駅舎」は、2000年12月にJR岩見沢駅の駅舎が焼失したため、JRグループでは全国初の試みとなる一般公募型コンペ「岩見沢駅舎建築デザインコンペ」で応募総数376案から「ワークヴィジョンズ」が最優秀賞を受賞し、建設されたものです。07年に開業したJR岩見沢駅都「岩見沢市交流プラザ」、連絡歩道と合わせて09年3月にオープンしていますが、市民が参加した刻印レンガやフルレールを活用したガラスのファサードがデザインの特徴になっているそうです。
過去に大賞になったものでは、私が受賞した2001年には、今年と同じ建築部門から仙台市の「せんだいメディアテーク」でした。今年建物だったのは、久しぶりです。もうひとつ受賞した年の2005年には、ブログに書きましたが、テルモの「インスリン用注射針 ナノパス33」でした。つい最近ブログで取り上げた北海道の「モエレ沼公園」も2002年に受賞しています。テレビ番組も2004年にNHKテレビのこども向けテレビ番組 「ドレミノテレビ」と「にほんごであそぼ」が受賞しています。
 クリスマスプレゼントで時代がわかりますが、この賞でも、時代の求めているものがわかる気がします。

時代” への4件のコメント

  1. 大賞を受賞した「岩見沢複合駅舎」のコンセプトはいいですね。「地域のよさを掘り起こし、人と人との繋がりを再生しながら、これからのまちづくりに繋げていく」というのは、まさに今の時代に必要なことだと思います。他にどんなものがあるか見ていて、「フラクタルひよけ」がちょっと気になりました。自然の中に多く存在しているとされるフラクタル図形をもとにして作られたようですが、まだまだ知らないものがたくさんあることに気づかされます。そんな意味でも、グッドデザイン賞は勉強になります。

  2.  よく考えると、藤森先生もグッドデザイン賞を受賞しているのですね。何よりも保育の世界で受賞されている事がすごいと思います。グッドデザイン賞というのは、ただデザインだけで選ばれているのでなく、そのデザインのコンセプトもとても重要だと知りました。そして、時代を反映している事もです。色々な方法で時代の流れを知る方法があるかと思いますが、グッドデザイン賞から時代を知る事もできるのですね。

  3. 個人で2回もグッドデザイン賞を受賞されているのは、世の中広しといえども藤森先生だけだと思う。そのグッドデザイン賞の審査理念である「創発力」「洞察力」「構想力」「想像力」「思考力」の五つは、これからの日本社会を担っていく子どもたち(近未来の生活者)に必要な力に他ならない。知識を詰め込むことが教育ではない。藤森先生は、これまで日本の教育改革と子どもたちの未来のために数々の提言をされ、多くの保育者に勇気と希望を与えてこられた。その行動の軌跡そのものが実は「グッドデザイン」だと思う。

  4. 「ないものねだり」ではなく「あるもの探しを」、ということはよくわかりますが、「グッドデザイン賞」の教育版が切望されます。「小学校学習指導要領」の「思考力」「判断力」「表現力」「その他の能力」の具体的な実践例を評価し「グッドエデュケーション賞」などがあれば、さまざまな教育団体がそれこそ競っていろいろな事例を出してくることでしょう。国民全体も注目し、そして日本における教育のあるべき姿、あるいは望ましい像が良い方向で議論されるような気がします。さらにその「議論」の中で「時代性」が俄然クローズアップされ、今がどんな時代で将来いかなる方向に進むのか、そしてそうした時代に合った教育スタイルは如何、ということがビビッドに取り上げられるのではないかと思われます。少なくとも授業時間数を増やしたり校舎の耐震強化をもって「教育再生」ということにはならなくなるのではないでしょうか。

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