亜麻

「亜麻色の長い髪を 風がやさしく包む 乙女は胸に白い 花束を …」
この歌は、橋本淳作詞、すぎやまこういち作曲で、ヴィレッジ・シンガーズのシングル曲「亜麻色の髪の乙女」です。最近では、島谷ひとみがカバーをしていました。また、同じ題名のものにクロード・ドビュッシーの前奏曲集第1集のうちの第8曲があります。
この亜麻色とはどういう色なのでしょうか。この「亜麻」というのは、植物名で、その花と人間の付き合いは非常に古く、紀元前8000年?6000年には、チグリス川・ユーフラテス川岸で食用として栽培され、毎年豊穣な収穫が期待できる丈夫な作物だったようです。旧約聖書にも亜麻は登場しています。そして、紀元前3000年ころになると、この亜麻で織物がつくられ、この亜麻織物は古代エジプトで広く神事に使われていました。そして、この布で、ピラミッドに眠るミイラの顔を覆ったり、体を巻いたりしていました。その後、多く作られるようになるに従って、800年のころ、木綿が定着するまでは、ヨーロッパでは繊維といえば亜麻のことというくらい、一般的に衣類などに用いられました。
それが、1617年に北米に伝わり、元禄時代に日本へ中国から薬用油として伝わりました。しかし、この頃の日本では中国から比較的たやすく亜麻が入手できたことから、国内での栽培は定着しませんでしたが、明治に入り、北海道開発の一環として、北海道内で亜麻栽培が奨励されました。もともと、亜麻とは、中央アジア原産で、冷涼な気候である亜寒帯地域の国々は栽培されていましたから、日本では北海道が亜麻の栽培地として最適であるとされています。このころになると、繊維産業は軍需産業であり、亜麻の利用は薬用油ではなく、ほとんどが繊維に使われています。栽培のピークである昭和20年には、全道で4万haが作付けされていたそうで、初夏には、亜麻畑の美しい光景が広がっていたようです。しかし、終戦後、化学繊維が安く製造できるようになり、昭和40年代を最後に亜麻は姿を消してしまいましたが、最近は、繊維としての活用から種子の保健機能が注目されるようになり、再び北海道で亜麻栽培が復活してきているそうです。
そんなわけで、亜麻色とは 亜麻の繊維の糸のような色と言うことで、明るい灰みの茶色=淡い金髪だそうです。花の色は爽やかで透きとおるような紫がかった薄い青ですが、色見本などで見ると、青みがかったうす茶色なのですが、これは花の色ではなく、繊維の色です。
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最近、注目されている保健機能とは、亜麻に豊富に含まれているリグナンです。リグナンとは人の体内でホルモンのような働きをする化合物で、近年、身体的、精神的ストレスがガンなど生活習慣病に対しての免疫機能を正常な状態に保つ働きがあると報告されています。また、第6の栄養素と言われている食物繊維が豊富に含まれており、腸壁を刺激して便通を則したり、悪玉コレステロールを吸着させたり、満腹感が得られるころから、食べ過ぎを抑え、血糖値の上急昇を防インシュリンの分泌量を減らしますので、糖尿病予防やダイエットなどに注目を集めています。食物繊維の合計では、多いと言われているさつまいもの13倍以上もあります。
この亜麻の種からとった亜麻仁油は、食用だけでなく、絵具やせっけんの原料になったり、傷口に充てる油紙やぜんそくのときに胸に塗る薬にも使われます。さらに、最近は、「リノリウム」という床や壁の仕上げ、家具にも使われ始めています。
私の園では、床材にこのリノリウムを使っていますが、新型インフルエンザが私の園ではさほど広がらなかったのは、このリノリウムの抗菌作用のおかげだとも言われています。