ご当地おでん

 文化は、長い時代を経てつくられ、つながってきたものが多いのですが、新しく作られていくものもあります。また、文化とは有形、無形を問わず、また、科学・芸術分野だけではなく、様々な分野にあります。たとえば、食文化です。
先日の新聞記事に、こんな記事がありました。「地元産の具材にとろろ昆布を乗せた「富山おでん」を県の新たな名産品にしようと、東京・有楽町にある県のアンテナショップ「いきいき富山館」などが売り込んでいる。ご当地おでんはブームになりつつあり、県内での知名度も上げようと富山駅や富山空港など観光客が集まる場所で販売が始まった。」
私は、このアンテナショップに行ったことがありますが、そのときは、店頭で「ホタルイカ」の販売をしていました。そこで、今、「おでん」を売り出そうとしているようです。ここに書かれてあるように、今、ご当地「おでん」がブームのようです。その特徴は、ひとつには「だし」にあり、もうひとつは「具」にあります。「富山おでん」と呼ばれる条件は、味付けは自由ですが、県産の具材を1品以上使うことだそうです。たとえば、普通のおでんにとろろ昆布を乗せたものであったり、大根や卵などの定番に、甘エビやシロエビのつみれ、こんにゃく田楽「あんばやし」が入ったものなどです。
 その中で、とろろ昆布を乗せたものは、県内では、しばしば見られる富山流のおでんの食べ方であり、熱々のご飯に乗せて食べれば、汁を捨てなくて済むということもあるようです。それが、記事によると、今年初めに酒席で盛り上がった勢いで、ご当地おでんに名乗りを上げることになり、発起人会ができたということです。今年の4月に全国のご当地おでんが集まる「小田原おでんサミット」(神奈川県)で、2日間で1700食が完売したこともあり、「酒との相性もぴったり」と売り込みはじめたようです。
 ご当地おでんとして有名になったのは、黒はんぺんで知られる「静岡おでん」です。このおでんは、私は食べたことはないのですが、もうひとつ有名な兵庫県の「姫路おでん」を、少し前に姫路に行ったときに食べてみました。姫路おでんの定義は、これからはっきりと決めるようですが、今のところは、「生姜醤油で食べるおでん」だそうです。
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どうして、おでんに生姜醤油をかけるかというと、起源についてはいろいろな説があるようです。最初は、戦中戦後の食糧難の時代に煮込み過ぎて味が抜けてしまったおでんの味を補うために、生姜醤油をかけるようになったという説(闇市発祥説)がこれまで一番有力でしたが、現在は、昭和初期に姫路の浜手地域で、甘辛い関東煮に生姜醤油をかけて味を調整して食べたのが始まりではないかと言われています。また、姫路は西の龍野市(現:たつの市)にかけて古くから現在も醤油の産地です。そして、白浜が昭和の初め頃生姜の産地だったとされており、それぞれの地場産業が生活の知恵として、ブレンドするとおいしくなると発見し、食習慣になったのではないかとも考えられています。
「おでん」という名前は、もともとは、室町時代に出現した味噌田楽からきています。その田楽は、具を串刺しにして焼いた「焼き田楽」と、具を茹でた「煮込み田楽」がありました。のち、煮込み田楽が女房言葉で田楽の「でん」に接頭語「お」を付けた「おでん」と呼ばれるようになり、焼き田楽は単に田楽をさすようになったのです。
文化をもう一度引っ張り出して、今によみがえらせ、新しい文化にしていくのは、また人間に知恵かもしれません。

ご当地おでん” への4件のコメント

  1. おでんは好きな食べ物の1つですが、そのおでんにもいろんな種類があるんですね。地域によっても違いますし、家庭によっても違います。田楽からおでんが生まれたほどの変化ではありませんが、家庭の味というのもいろんな地方の文化や味が混ざりあって作られていくんだと感じています。職員に家庭の雑煮はどんなものかを聞いてみたときのことですが、1つも同じ雑煮が出てこなかったことには驚きました。地方の味の基本のようなものはあるのですが、家庭に入ると細かく変化していくようです。こうしたものが受け継がれ変化していくことの面白さを感じます。人が生活するというのは、複雑ですがおもしろいことですね。

  2. これ意外と知られていないのですが、香川のうどん屋の9割近くでおでんが売られています。たまご、コンニャク、厚揚げ、牛スジ、大根あたりが定番です。讃岐うどんにおでん、私ども地元人は当たり前なのですが、他県の方はびっくりされますね。なんでおでんがつくのか?うどんだけでは栄養が偏るのでそれを補うためとか、安いうどんだけでは儲からないので、うどん屋が売上を考えて置くようになったとか諸説ありますが、真偽のほどはわかりません。テレビのケンミンショウという番組で、「秘密のごちそう」というコーナーがありますが、その土地の風土や歴史が独特の食文化を生みだすようです。

  3. コメントに苦労する今回の内容。「おでん」を積極的に食べた記憶があまりなく、結婚して実は初めてくらいに「おでん」を口にし、その後も積極的に「食べたい」と思うことが無く、今現在に至っています。亡父は好き嫌いがとても激しく息子である私は少なからずその影響を受けています。父は「煮物」がほぼダメで、従って食卓に「煮物」があがるのは正月のお煮しめくらいのもので、しかしその「お煮しめ」も食べたいからではなく正月の儀礼料理として食卓に出ていたようです。ところで結婚して「おでん」好きの家内によって少しずつですが「おでん」文化に触れる機会が増えてきました。良い傾向でしょう。それでも、コンビニに行くと「おでん」が普通に売られていますが、私としては、なぜ「おでん」が大手を振ってレジ横に存在を誇示しているのか、コンビニに行く度に不思議に思います。ブログの主題と懸け離れたコメントになりました。今回のブログから一口に「おでん」では済まされない「おでん文化」の背景を知ることができました。ひとつ賢くなったか・・・。

  4.  これからの時期はどんどん寒くなるので、おでんはとても食べたくなる料理の一つです。また、おでんと聞くと「静岡おでん」でしょうか。中でも「黒はんぺん」です。これは少し前のビールのCMを見て知りました。ただ、同じ料理なのに、中身の具やダシも違えば、食べ方も色々あります。地域によって様々な種類のおでんがあるのは、とても面白いと思いました。室町時代に「おでん」が出現したと書いてありますが、元々の形態は一緒なのに、地域の風土や文化によって変化してきているのです。本当に人間の知恵は素晴らしいです。

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