15日

 もうすぐに天頂に冬の大六角形が輝きます。オリオン座も、誰でも見つかるような形と輝きで冬を飾っています。それら星座にまつわるギリシャ神話をこのブログではよく取り上げますが、本当は、星座は、 織り姫、ひこ星に代表されるように東洋にもあります。もちろん、江戸時代までの星座は、この東洋のものを言っていましたが、明治維新以後、ッ西洋文明が取り入れられ、すっかり東洋のものとなってしまったようです。
 東洋では、太腸が天球上を運行する黄道上にそって一周するその円周を28等分にし、それぞれブロックごとの位置の近くにある星座が割り当てられました。その各々のブロックを星が泊まる宿という意味で、「宿」といい、それに星座名をつけたのです。ですから、全部で二十八宿になります。月はある恒星に対して、27日7時間43分2.5秒で天を一周しますので、天を27、または28で区分するのが便利だと考えたのでしょう。というわけで、月は1日にこの二十八宿の一宿ずつ通過していくと考えられました。
 この二十八宿は中国からインドヘ渡り、インド占星術として発達し、唐時代に中国に戻り、それが空海によって806年に日本へもたらされたと考えれていました。しかし、奈良県明日香村で発掘されたキトラ古墳の天井壁画に星座が描かれていたので、今は、空海以前にすでに日本へ入ってきたと考えられています。
この28宿の中の23宿は距星名を「鬼」と言われ、和名「たまおのぼし」でギリシャ神話のかに座θを指します。この鬼宿にあった日にお釈迦様が生まれたと言い伝えられるところから、鬼宿日が「万事に大吉。二十八宿のなかで一番ラッキー宿」ということになったのです。
 今日、町を歩いていると、かわい着物を着た女の子に出会いました。今日15日は、七五三です。ところで、七五三は、一般に3歳、5歳、7歳の子どもの成長を祝い、宮参りをする習俗です。もともとは、幼児期の通過儀礼としては公家や武家の社会で行われていたもので、3歳の女児が、そっていた髪をのばす髪置(かみおき)、5歳の男児が、はじめて袴をつける着袴(ちゃっこ)、7歳の女児が、着物の付け紐をやめて帯をむすぶ帯解(おびとき)として、江戸中期以降の見られるものでした。それ以前は、特に男女別や年齢は確定していなかったようです。
また、各地には、幼児期の成長に節目をもうけて氏神へまいる習俗がありました。ところが、多くの行事同様、七五三がひろまったのは、江戸をはじめとする大都市で、商業的理由によるところが大きいようです。縁者や近所にくばる千歳飴も、江戸中期には登場しています。では、どうして11月15日になったのでしょうか。旧暦の15日は、かつて鬼が出歩かない日である二十八宿の鬼宿日に当っているのです。また、旧暦の11月は収穫を終えてその実りを神に感謝する月であり、その11月の鬼宿日である15日に、氏神への収穫の感謝を兼ねて子どもの成長を感謝し、加護を祈るようになりました。明治になって、暦が新暦になってからは11月15日に行われるようになりました。現在では11月15日にこだわらずに、11月中のいずれかの土日・祝日に行なうことも多くなっていますが、本当は15日でないと鬼が出歩いてしまうようです。