代表的な日本昔話といって思い出すものは何でしょうか。多分、多くの人が上げるであろう話に「ももたろう」や「かぐやひめ」があります。この話の共通点は、どちらも赤ちゃんは人から生まれていないということです。しかも、子どもが欲しくてたまらない子どもがいない老夫婦が願っていると、桃からや竹から子どもが生まれるのです。これは、高齢出産なのか、30歳代を超えると老夫婦になるのか分かりませんが、昔話の始まりは「むかしむかし、あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました」で始まることが多いのも不思議です。
鬼退治で有名な桃太郎の話ができたのは室町時代以前で,一説によると鎌倉時代ではないかとも言われています。主人公のモデルは,古事記にも登場する神話上の人物,吉備津彦命だといわれています。日本全国で桃太郎の話の舞台となっているところがありますが、今週末、この桃太郎伝説がある香川と岡山に行ってきました。もちろん一番有名なのは、岡山説です。
神代の時代、日本を作ったといわれるイザナキノミコトとイザナミノミコトですが、火の神(ヒノカグツチ)を生んだ時,イザナミノミコトは大やけどを負って命を落としてしまいます。しかし、どうしても忘れられないイザナキノミコトは黄泉の国へ連れ戻しに行きます。しかし、戻るまで見ないという約束を守れず、結局は逃げて戻ることになります。このあたりの話は、ギリシャ神話のオルフェウスの伝説に似ていますね。戻る途中、追っ手を追い払うために桃を投げつけます。すると,追っ手はみな黄泉の国へ戻っていきました。そこで、イザナキノミコトは「人々が苦しい目にあって困っている時に助けてやってくれ。」と言って,桃に「オホカムヅミ」という名を授けました。このように、昔から桃には優れた力があると思われていたようです。桃の栄養価は高いので,元気で健やかな子を育てることができますし、中国でも「桃源郷」というように,平和で安心できる世界というイメージが桃にはあります。この「桃」に以前ブログでも書いたのですが、力強く元気という意味を持つ「太郎」が結びついて桃太郎の話が出来上がっていったのでしょう。
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桃の名産地でもある岡山に桃から生まれた桃太郎が鬼を退治する物語が伝わっているのは当然かもしれません。また、家来になるいぬ、さる、きじにあげるきび団子も吉備の国の団子につながります。そんなことで、岡山県総社市を中心とした吉備路一帯で今も語り継がれています。ここの伝説は、異国からやってきた温羅という名の王子が吉備国で悪事をはたらき、人々に恐れられていたために、大和朝廷から温羅を退治するように送り込まれたのが武勇に優れた吉備津彦命で、この話が元になり、温羅が鬼、吉備津彦命を桃太郎にしたのです。
もうひとつ、香川県高松市に「鬼無」という地名があります。ここは,桃太郎が鬼を退治して鬼がいなくなったことから「鬼無」という地名になったといわれています。そして、鬼ヶ島は,女木島という島だといわれています。高松から、直島に向かうフェリー航路はその脇を通りました。
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そして、その隣には、桃太郎から逃れた鬼が逃げ込んだ男木島があります。山の中に鬼が隠れていた洞窟があったり、桃太郎と家来の墓がある熊野権現桃太郎神社(桃太郎神社)があります。
他にも、桃の産地でもあった奈良県磯城郡田原本町にも桃太郎にまつわる多くの史跡が点在しています。また、愛知県犬山市にも桃太郎の伝説が残っていたり、日本ライン桃太郎伝説もあります。
どうして各地に点在してあるのか、また、同じような逸話が世界にもあるのかはとても興味あるところです。

” への4件のコメント

  1. 桃太郎はイザナキノミコトとイザナミノミコトの話からもつながっているんですね。各地に伝説があるのも確かに面白いです。逃れた鬼が逃げ込んだ島に桃太郎の墓があるのもよく考えると不思議な感じがしますが、そんなことからも桃太郎の話がもつ意味の大きさや影響を感じます。冷静に読んでみると不思議な点の多い話ですが、国や時代を超えても人間のどこか深いところに響くものがあるのかもしれません。いつの時代から昔話と呼ばれているのかも知りませんが、シンプルなのに謎は多いですね。

  2. 「桃太郎」といえば岡山!と思っていましたが、香川の高松や奈良県、愛知の犬山、そして木曽川日本ラインにも。まぁ伝説ですからあちこちにあってもいいと思いますが、本当は一体どこ?という知欲癖が頭を擡げてきます。おそらく「邪馬台国論争」のような論争がこの桃太郎伝説にもあるのかもしれません。変に決着がつくといろいろ困ることもあるかも。さて、今回のブログには「イザナキノミコトとイザナミノミコト」の黄泉の国のお話が紹介されていて「ギリシャ神話のオルフェウスの伝説に似ていますね」とあります。ブログの内容とは直接関係ないのですが実はこのブログがアップされた日ちょうど、イタリア絵画で「オルフェウスとエウリュディケ」という作品を観ました。場面はオルフェウスとエウリュディケが冥界から出ようとしたところ冥界の王ハデスとの約束を破ってオルフェウスが後ろを振り向いてしまう場面です。ただそれだけのことなのですが「似ていますね」のところで一瞬「エッ!」と声を出してしまいました。シンクロニシティ、はたまたこちらの動きを見透かされているか(見透かす暇も関心もない、なるほどごもっとも・・・)。私としては、とても不思議を感じてしまいました。

  3. 台風18号の影響が心配されましたが、第2回の離島セミナー、無事に終わったようでなによりです。「瀬戸は日暮れて 夕波小波…」と歌われた美しい島々の景観と直島の現代アートを十分に堪能されたと思います。地元の「桃太郎伝説」は昔からよく聞かされてきましたが、神話の世界がルーツでしたか。ただのおとぎ話としてではなく、古代人の心を探るヒントになりそうですね。ついでに、私の住む町には「浦島伝説」もあります。以前、藤森先生をお連れした荘内半島です。

  4.  「桃太郎」の物語は絵本で読んだ記憶がありません。おそらく祖母や母に話してもらったから知っているのかもしれません。ただ岡山県が「桃太郎」の舞台とは知っていましたが、単純に岡山県は桃が有名だから…という単純な理由でした。ブログに書かれていますが、神話上や伝説とは言え、基となる話がある事に感動しました。そして、鬼ヶ島のモデルとなった島もあるとは思ってもいませんでした。他の物語でも「金太郎」も実際に存在した歴史上の人物ですし、yamayaさんのコメントに書いてありますが「浦島太郎」の伝説も残っているのですね。
    今回のブログは、純粋に感動しました。

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