家電

成長を国民全体で望んでいた時期の昭和30年代は、生活に劇的な変化をもたらします。そのひとつが、「家電」の普及があります。人々は、競って「家電製品」を買い、そしてそれらを持つことが豊かさの象徴であり、幸せの指標であり、「家電生活」を楽しむために、毎日働いたといってもいい時代でした。その中の代表格に「三種の神器」と言われた白黒テレビ、電気洗濯機、電気冷蔵庫があり、それらの普及率は、昭和32年当時、それぞれ、7.8%、20.2%、2.8%でしたが、30年代が終わった昭和40年には、それぞれ、95.0%、78.1%、68.7%まで急速に普及していきました。
 また、昭和30年には東京通信工業(現ソニー)がトランジスタラジオを発売します。そのラジオも、世帯普及率は昭和35年24.9%だったのが、やはり40年になると55.8%まで普及し、あっという間に大衆化していきました。さらに昭和35年ごろになると、三種の神器にカラーテレビ、クーラー、ステレオが加わり、ラジオはFMラジオに、洗濯機は脱水装置付洗濯機、冷蔵庫は冷凍庫付冷蔵庫を商品開発が進み、買い換え需要とともに更なる発展を見ます。そのころまでは、大事に使っていたものが、買いかえるようになっていきます。30年代後半は、オーディオ専業メーカーが急成長し、スピーカー専業のパイオニア、高周波コイルのトリオ、トランス専業の山水、ラジオセットメーカーのオンキョーがそれぞれの特徴を出し、マニアの間ではそれを語ることがステイタスになりました。
今年の6月に私の園の保護者が、タンザニアからの村人5人をホームステイしたときの話題をメールでいただきました。そのいくつかは、家電にまつわるものでした。「焼肉を焼こうと、夫が焼肉用ホットプレートを準備。これを小型パラボラアンテナだと思った前村長。みんなを呼び集めて“今日は、この家の主人が、我々を歓迎してテレビを見せてくれるようだぞ!”イコマ語の会話だったので、何も知らない夫が肉を焼き始めると、みんなが当惑した表情を見せているので、うちのだんなも何かよくないことをしてしまったのかと、あせった。その後、前村長の勘違いだと聞いて、みんなで大笑い」こんなこともあったそうです。「ママルーシーがマベンガに文句を言った。“この家にはこんなにラジオをもっている。なら、1つくれればいいのに!”そのラジオというのは、炊飯器、電子レンジ、トースター、ビデオデッキ・・・すべての電化製品をママルーシーはラジオだと思っていた。村では、電化製品といえば、ラジオしかないもんなあ」
一方、日本では、魅力ある商品が溢れる30年代でしたが、家電業界では、勢力争いが激化し、その流通秩序は混乱していきます。家電メーカーは、家電ブームに乗り、生産を拡大しますが、昭和32年になるとすでに過剰生産に陥ります。そこで、それまで町の電気屋さんで家電を売っていたのが、そのほかでも販売するようになっていきます。農協・職域団体のほか、当時新しく台頭してきたスーパーでも売られるようになっていきます。それらスーパーは、流通経路の変化をもたらし、町の電気屋さんは死活問題になっていきます。この流れは、電化製品だけではなく、様々な商品にも同様なことが起きます。そこで、メーカーは、昭和31年に家庭電器市場安定協議会(市安協)を結成し、価格安定を目指しますが、流れは止められません。その後、家電量販店が目立ち始めます。今は、その売り上げは大きいのですが、その浮き沈みは激しく、倒産する店も現れ始めます。
また、紹介したタンザニアにはない問題も起き始めます。家電普及による電気の消費についてと、電気製品の処理の問題です。新しい時代に突入です。

家電” への4件のコメント

  1. スーパーやコンビニなどが街にできると、地元の小さな商店が少しずつ消えていくという流れがずっと続いています。競争だからしかたないと言ってしまえばそれまでかもしれませんが、怖いのがそのスーパーなどがその後割と簡単に撤退してしまうことです。儲からなければ撤退するしかないのかもしれませんが、街が壊されてしまうようであまりいい気はしません。売り上げ以外の価値観は重視されないんでしょうか。家電などはどんどん新商品が登場します。個人の問題かもしれませんが、企業側ももう少し長いサイクルで使うことを薦めてもいいのでは?と思ってしまいます。

  2. 2011年の地デジ化を控えて、そろそろテレビの買い替えを考えているのですが、プラズマにしようか液晶にしようか迷っているうちに、SONYが世界初の有機ELテレビを発売してきました。「薄さ3mm」「超鮮明な画像」「スタイリッシュなデザイン」で人々の度肝を抜きました。こんなテレビ、欲しいですね!近未来的には、有機ELとFEDの自発光デバイス技術で、プロジェクターのスクリーンのように降ろしてくると、そこがテレビで高画質に映るようになるそうです。これなんか、タンザニアの人でなくてもびっくりしそうです。

  3.  タンザニアの人には申し訳ないですが、日本の家庭にある家電を全てラジオと勘違いしたとは笑ってしまいました。日本のような先進国ではテレビ、冷蔵庫、洗濯機などの家電は当たり前にありますが、外国では当たり前でなく、見た事がない人たちもいるのですね。
     電気製品の処理問題が起きているのは、分かるような気がします。新製品がどんどん出る事で買い換える人が多く出ますし、使わなくなった家電の処理が面倒だからと言って不法投棄をする人が出てきます。新しい技術が進むにつれて新製品が生まれる反面、新しい問題も出てくるのですね。

  4. これまで何度か引越しを経験してきました。そのたびに家電は、処分する、あるいは購入する対象です。処分する際かつては粗大ゴミ対象でそれなりの料金を支払いましたが、最近はテレビ1台処分するにも3千円ほどかかるようです。これもごく最近のことですが、ひょんなことからテレビが壊れてしまいました。買い換えることにしましたが購入すると「エコポイント」なるものがついています。このエコポイントがたまると相当の「商品券」等と交換しまたお買い物、という仕組みになっています。しかもこの「エコポイント」なるもののために国家予算が割かれている事も知りました。何だか良く分からない、というのが本音です。ところで、こうしてみてくると、家電の処分や購入も時代とともに移り変わってきていることがわかります。これからどんな風にかわっていくのか、とても興味深いところです。

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