大観

向ヶ丘(本郷台地)から忍ヶ丘(上野台地)に向かって歩いて行くと、その境に、当地の伝承によれば、文明年間(1469 〜1486)に室町幕府第九代足利義尚が再建したという神社があります。創建年代は不明だそうですが、ちょうど境になるということで「境稲荷神社」といいます。その社殿の北側には、源義経とその従者が奥州へ向かう途中に弁慶が見つけ、一行ののどをうるおしたと伝えられている「弁慶鏡ヶ井戸」が残されています。
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この井戸の水は、「江戸志」などの江戸時代の史料によると、名水だったそうで、一時埋め戻されたのですが、昭和 15年に再び掘り出し、とくに昭和 20年の東京大空襲などでは多くの被災者を飢渇から救ったと記録されています。この井戸の脇には、掘り出した際の記念碑の石碑があり、造立者の中に画伯横山大観の名も見えます。
彼の名前があるのは、彼がこの地に住んでいたからです。その住居の跡地に「横山大観記念館」が建っています。ここを見学してきました。
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パンフレットによると、「ここは、日本画の巨匠横山大観(1868?1958)が住んでいた上野池之端の住居を、そのまま記念館として公開しています。大観が、ここに住居を構えたのは、明治42都市(1909)のことです。最初は狭かった敷地も、大観が画家として名をなすにしたがって拡張され、大正8年にほぼ現在の規模となりました。昭和20年(1945)3月10日、空襲により旧住居が焼失したため、大観はしばらく熱海伊豆山の別荘に移り住みます。昭和29年(1954)8月、焼失した旧住居の土台をそのまま用いて新居が再建され、大観は再び池之端に暮らしはじめます。以来、昭和33年(1958)2月に90歳で没するまで、ここで数多くの作品を制作しました。昭和51年(1976)3月に静子夫人が亡くなり、遺族から大観の作品や習作、遺品、画稿、スケッチ帳などが寄贈されて横山大観記念館が設立され、同年11月に開館しました。」と書かれてあります。
 ここは、展示品を鑑賞するというよりも、横山大観が過ごした住居から、彼の描いた日本画を彷彿とさせるような建物の設えや、ディテールを感じることができます。彼のお気に入りの一階の「鉦鼓洞」(炉の間)の床の間には、大観の絵や親交の篤かった菱田春草の絵の軸装の作品が季節に合わせてそのまま掛けられています。パンフレットにあるように、ここは、心の安らぎを感じられる美術館をモットーとしており、できるかぎり建物の雰囲気をいかし、靴を脱いで入る日本建築の良さが残されています。
 私のブログのタイトル「臥竜塾」の「臥竜」とは、将来天に上るために今は伏せている龍のことで、学んでいる最中のことをいいます。そのイメージで、私がタイトルに使われている龍の絵を書きました。その絵が、園のセミナールームにかけられています。同じ階の相談室には、大観の龍が飾られています。その龍は、雲の間でしきりに活動している龍です。横山大観は、干支が龍というとこもあり、龍の絵を何枚か描いています。横山大観記念館に、「横山大観還暦祝画帖」という巻物がありますが、ここには、小林古径や速水御舟、前田青邨など有名な日本画家が龍をテーマに絵や字を書いて送っています。こんなものがもらえてうらやましいですね。また、「横山大観喜寿祝色紙」も何枚か展示されています。

大観” への4件のコメント

  1. 横山大観、私の好きな画家の1人です。本日も竹橋の近代美術館で作品を堪能しました。上野池之端の「横山大観記念館」は近くまで行きながらついに訪れることなく今日に至っています。いつか訪ねたいですね。菱田春草、小林古径、速水御舟、前田青邨。いずれも素晴らしい日本画の大家です。私は西洋絵画も好きですが、近年は日本画を観ることがとても楽しみで、日本美術の奥深さに驚嘆しております。園の相談室「大観の龍」、実に見事です。「横山大観還暦祝画帖」という巻物、は観てみたいですね。それぞれの画家の龍が絵や文字で楽しめるのでしょう。いろいろな龍はその人自身を表すことになるのでしょう。そうそう今日は原田直次郎の「騎龍観音」の「龍」を観てきました。なんでもドイツミュンヘン仕込みの龍だそうです。

  2. 絵画観賞は好きな方ですが、こんな田舎で横山大観の展覧会なんてまずありません。米子の足立美術館に所蔵されている絵があるようなんで、昔旅行で行った時に見たと思うのですが…。一流の文化芸術に触れるには田舎は決定的に不利です。上京する機会には、事前に展覧会の情報を調べていったほうがいいようですね。臥竜塾のタイトルの龍の絵、誰が書いたんだろうと思っていましたが、藤森先生の絵だと知ってびっくり。本当にお上手です。

  3. 横山大観の絵を詳しく知っているわけではないのですが、龍の目が独特で印象に残っています。いろんな人が龍を描いていると思いますが、龍にこめられた思いはそれぞれに大きなものなんでしょうね。私にとって、この臥竜塾は毎日の大切な学びの場です。いつ自由闊達に動き回れるかわかりませんが、とにかくそれを目指して今は学び続けるだけです。

  4.  横山大観の名前は何度か聞いた事があります。ただ実際の絵は見た事がありません。日本画というもの自体あまり接した事がないので、まず実際に自分の目で見て感じる事が第一歩かもしれませんね。
     藤森先生が描かれた、ブログのメイン画面の龍は本当に迫力があります。あんな素敵な絵も私も描いてみたいと思いますし、部屋に飾っておきたいと思いました。

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