アメリカでは

 アメリカでは、1990年代初めころから多くの子どもが生後6か月までに、母親以外による保育を受けるようになりました。そこで、母親による養育とそれ以外の人による保育とで子どもの発達はどうなるかという研究が早いうちからされてきました。その結果、ほとんど発達には差がなかったようです。子どもの発達は、母親以外の保育を受けているかどうかということだけでは、子どもの発達について多くを語ることができないことが分かったのです。
しかし、保育の質や量(時間)、そして保育施設の特徴との関係において強い関係性とはいえないまでも、子どもの発達にある程度影響を持つことが今回の研究で明らかになりました。
まず、4歳半までの結果では、母親以外からの質の高い保育を受けている子どものほうが、質の低い保育を受けている子どもよりも、言語と知的発達の面で若干優れた発達を見せていました。また、3歳までの結果では、質の高い保育を受け子どもたちの協調性がより高いことがわかったのです。では、この調査の中での「保育の質」をどのように規定しているのでしょうか。
まず、「保育の構造に関するもの(規定的特徴)」として、子どもと保育者の人数の比率、クラスごとの子ども数、担当の保育者のトレーニング、保育者が受けた教育レベル。そして、「保育施設内における日々の体験(プロセス的特徴)」として、子どもと保育者との関わり、子ども同士の関わり、おもちゃなどを使った遊びについて調べています。この規定的特徴については、いわゆる最低基準として決められており、それをどのくらい上回っているかという点ではとてもわかりやすいのですが、プロセス的特徴についてはどうだったのでしょうか。
これは、実際の保育場面の観察のなかで行われる日々の対人的なかかわりや保育活動について検証しています。その特徴のうち、子どもの発達に一貫して最も深いかかわりを持っているものとして「ポジティブな養育」を取り上げています。それは、保育者の子どもの行動に対する感受性の豊かさや子どもの興味とやる気を励ますような接し方、保育者と子どもとの頻繁なかかわりなどが含まれます。
では、保育の量(時間)をみると、母親以外による保育の合計時間が短い子どもに比べて、より長い子どものほうが問題行動が少し多めに見られました。
また、施設型の保育を受けた子どものほうが、施設型でない場所で保育を受けていた子どもに比べて言語発達、知的発達ともにより優れていました。施設型の保育や幼稚園での保育を受けていた子どものほうが、それ以外の保育を受けていた子どもたちに比べて、若干問題行動の頻度が高い、という結果もみられました。
しかし、子どもの発達は、その子が預けられている保育施設の特徴よりも、親や家庭の要因により強く影響を受けることも明らかになりました。家庭で養育をされている子どもはもちろん家庭からの影響を多く受けるのは当然ですが、多くの時間を保育施設で過ごす子どもたちにとっても家庭や親がどんな養育をしているかは同じように大きな影響を及ぼしているのです。
この研究結果では、母親が養育をするか、母親以外の施設で保育するかが問題ではなく、その子の家庭や親がどうであるかのほうが重要なようです。