ポピー

 覚せい剤と言って思い浮かべるのは、アヘンですね。春から夏にかけて美しい花を咲かせるポピーは、ケシの花で、その未熟果に傷をつけると出てくる乳液からアヘンが穫れ、それを精製したものがモルヒネで、モルヒネを化学的に変化させたものがヘロインと呼ばれている麻薬に指定されているものになります。しかし、実際に花屋などで見かけるのは園芸用に栽培されたケシの花で、多くはヒナゲシと呼ばれているもので、アヘンの原料にはなりません。しかし、たまに日本では栽培が禁止されている種でも自生していることがあるそうで、見つけたら役所の人が引き抜いているそうです。
 しかし、昨日のブログでも書いたチョウセンアサガオ同様に、モルヒネは鎮痛鎮静剤として医学薬学的に重要であり、特にがん患者の激痛を和らげたりペインクリニックでの治療には不可欠です。明治時代、若くして、アメリカに渡り、苦学しながらコロンビア大学を卒業し、帰国後、星製薬株式会社をおこし、モルヒネやコカインといったアルカロイドの国産化を行って、「製薬王」と呼ばれた人に星 一という人がいます。彼の起こした星製薬のモルヒネは質の高さで定評があったそうです。彼は、その後、星薬科大学を創立します。そして、野口英世など科学者のパトロンとしても知られています。話はそれますが、星製薬は星一がなくなった後、その会社の長男が継いだのですが、傾いてしまい、ホテルニューオオタニの大谷氏が受け継いでいます。その後、長男は転職してショートストーリーを書くことになります。彼のペンネームは、星新一です。
 そのポピーについて、こんな記事がサイエンスに紹介されていました。「植物が自分を見分けるには」ということで、ポピーの花が,自分の花粉とほかの花の花粉を見分けるしくみがわかったということです。
 高等な植物は,ほかの花の花粉とだけ実をつくる「自家不和合性」という性質をもっています。自家不和合性によって新しい遺伝子型を作成し、それが地球上に被子植物が広がった成功の要因の一つであると考えられています。ですから、自分の木だというだけでなく、同じ遺伝子や似通った遺伝子の型を持っている個体の柱頭に花粉が到達しても、花粉の発芽・花粉管の伸長・胚珠の受精・受精胚の生育のどこかの段階が停止し、結果として種子が形成されないのです。では、どうやって自分の木の花粉か他の木の花粉かを見極めているかというと、ちょっと専門的になるので難しいのですが、自分の花粉かどうかは「S遺伝子」で判断しているといわれています。今回、ポピーによる,花粉を見分ける方法が発見されたそうで、この発見は,自己を見分ける過程の進化を考えるうえで重要だ,と発見した博士らは話しています。
 高等植物において、遺伝子を残すためにある遺伝子だけを残すのではなく、常に新し遺伝子型を作成するために、他の存在が必要になってくるというのは、よくブログでも取り上げるのですが、人もそれぞれの存在が人の遺伝子をつないでいくためにも必要なことなのです。そこで、男と女に違った役割を持たせてきたのだという最近のアメリカにおける研究である「男脳、女脳」が注目されているのです。しかし、正確に言うと、男女差というより、個人差をつくってきた意味なのでしょう。
 個人差を無視し、みんなで同じようになることを目指していた行為は、遺伝子を残すという意味では間違っていたということでしょう。