覚せい剤

 最近、芸能人の覚せい剤服用が話題になっています。テレビでは、芸能人だけでなく、主婦の間にもその使用は広がっていることを特集し、また、その使用の低年齢化も問題になっています。また、その使用についての恐怖についてのポスターや広告の行われていますが、煙草の使用同様、自分だけは違うとか、周りには死んでしまった人はいないと言い聞かせ、他人事のようです。
 私は、「バスケットボール・ダイアリーズ」(1995年制作のアメリカ映画)を公開当時見ました。この映画の原作は60年代後半に衝撃的に登場した天才詩人ジム・キャロルが13歳から16歳までつけていた日記「マンハッタン少年日記」で、ニューヨークを舞台に、高校生が麻薬に手を出して破滅していく様をリアルに描く青春ドラマです。公開された当時は、麻薬依存や売春が描かれていたために物議を醸しました。アメリカではMPAAによりカットされてR指定を受け、韓国では公開禁止となったようです。主演はレオナルド・ディカプリオで、ジム・キャロル本人も麻薬中毒者の役で出演していました。
 あらすじは、こんな話でした。ニューヨーク、マンハッタンでミッション・スクールに通うジムは、クラスの問題児でしたが、バスケットボールと詩を書くことが好きな他愛のない不良少年でした。ある日、好奇心でドラッグに手をだしたことから全てが変わっていきます。断ち切れない誘惑、仲間の裏切り、そして親友の死。ジムは、詩を書くことも忘れドラッグに溺れて身を落としていきます。やがて母親にも見放されたジムは、半死半生で近所に住むレジーに助けられます。レジーはジムの書く詩に才能を認め、麻薬をやめさせようと自宅に引き取りますが、ジムは留守中に逃げだし、地下鉄のトイレで初老の男に体を売ってその金でミッキーと麻薬を買います。しかし、ニセ物をつかまされ、怒ったミッキーは売人を殺して逮捕されてしまいます。ジムは家に戻り母に金をねだりますが、母は断腸の思いで警察に通報し、ジムは、少年院で中毒を克服しはじめます。
覚せい剤に手を染めた芸能人も逮捕されてある意味でホッとしているかもしれません。何かのきっかけがなければ、なかなか自分から止める決心がつきにくいからです。たばこを吸っている人も、逮捕されるとホッとするかもしれませんね。たばこを吸っている人が、「たばこの値段を1000円にすればいいんだよ!」というのも、やめるきっかけを待っているのでしょうね。
ノーベル賞で有名なノーベルがダイナマイトを発明し、そのおかげで、様々な産業が発展してきました。しかし、その一方、ダイナマイトによって多くの人が殺されました。また、核分裂のときに発生するエネルギーも、その使い方によって、人を助けるか人を殺すかの手段として使われます。覚せい剤も、広い意味で言うと手術の時の麻酔にも使われることが多いのです。先に紹介した「チョウセンアサガオ」も、ドラッグ界では「魔王」として有名で、せん妄状態になり、全ての妄想が行動として表われてしまいます。ですから、これを使って日本で初めて全身麻酔手術を行った華岡青洲の人生は壮絶なところがあります。現在では薬の開発で実験を行うのは当たり前のことですが、青洲は実験を行った初めての医師だったのです。鳥や動物に与えて薬効を記録して、あまりに多くの犬を実験に使ったので、この地には犬がいなくなってしまったと伝えられるほどでした。動物実験の末、次は人間の体で効果を試したいと考えましたが、母と妻が自分の体を使って麻酔薬を試してほしいと自ら申し出ます。そして、母と妻に麻酔薬を飲ませ実験を繰り返し、母は亡くなり、妻は薬の副作用で失明してしまいます。
覚せい剤の恐ろしさをもっと認識してほしいですね。