日本らしさ

 日本で誇れるものは何かと聞かれると、何を挙げるでしょうか?また、もし外国人が日本を訪れたとしたら、どこに行きたいでしょうか。日本というと何をイメージするでしょうか。ドイツで買ってきた世界地図帳の日本のところには、「富士山」「金閣寺」「忍者」「原爆」「相撲」「歌舞伎」などが書かれてあります。
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日本に行って「どこに行きたい?」「何を食べたい?」と聞かれて「「富士山」「東京」「すし」と答えていたアメリカの高校生たちが日本にホームステイツアーにやってきました。今年の8月11日に放映された NHKのドキュメンタリー番組「ドキュメント20min.」の再放送を先日見ました。その番組は、アメリカの高校生のホームステイ先として人気がある長崎県・平戸市の漁村を紹介しています。ここは、長崎市から車で約3時間の平戸市・志々伎(しじき)地区で、人口200人あまりの小さな漁村で、これといった観光資源もありません。しかし、アメリカの高校生たちが選ぶ世界各地のホームステイツアー・50余りの中から、断トツで2年連続世界一の評価を受けました。どうしてそんなに高校生に人気があるのか?何が高校生の心に響くのか? ということを米高校生と住民の4日間に密着し、その秘密を探るという番組です。
もちろん、この場所には今の高校生たちが興味や関心のありそうなものはありません。ゲームセンターも、ショッピングの場所も、高層ビルも、しかも、一緒に生活するのは、英語はおろか方言しかしゃべらないホストファミリーの人たちです。しかし、考えてみると、ゲームセンターも、ショッピングモールも、高層ビルも、英語を話す人もアメリカでは満ち溢れています。しかし、ここに来た高校生たちは、地元の暮らしを体験しながら、ここでしかないものにふれます。そして、最後は涙の別れになるのです。
ここにしかないもの、今のアメリカにはないものとは何でしょうか?番組の最後に何がよかったのか、何に感動したのかとインタビューをしています。その答えに考えてしまいました。まず、答えたのが「家族みんなで食事をしたこと」だそうです。今、アメリカではそれぞれが一人で食事をすることが多いそうです。というよりも、答えた高校生はいつも一人で食事をするのだそうです。最近、日本でも食育基本法が制定され、家庭における一家団欒の機能が注目されており、政府は家族の日を制定する方針を決めました。ということは、そのような機能が減ってきているということでしょう。一家団欒とは、家族が同じ場所に集まって、なごやかな楽しい時間を過ごすことですが、もちろんこれは日本独特のものではありません。しかし、「人を出し抜く」「人に勝つ」「人よりすぐれる」という価値観が、「みんなで楽しく」という時間を少なくしていることは確かですし、特に主として農耕民族として協力して生活してきた日本では、社会の一員であろうとする意識は子どものころから学んできたでしょう。ベビーシッター一人に食事を食べさせられてきた米英とは少し違うかもしれません。
感動したことのもうひとつは、「道で会う人が挨拶をしてくれること」でした。これも、なにも日本独特のものではないかもしれませんが、アメリカではしないそうです。東京でも、道で知らない人から声をかけられたら逃げなさいと教えるような時代になってきています。社会の中で生きていくことを学んだ地域の教育力が低下してきているということです。
園は、子どもにとっての社会です。小さいうちから、みんなに見守られながら育つ経験を積んでいく必要があるでしょう。