一昨日のテレビで、手作りの数珠つくりの名人が出ていました。白檀の木を丸く切り取って磨いていくのです。その磨く方法でとても考えさせられたことがありました。まず、磨くときにやすりを使うのですが、そのやすりは紙やすりでも、鮫肌のような動物性のやすりでもなく、植物を使います。木という植物を磨くのにはやはり植物を使うといいのでしょう。その植物は「木賊」を使うというテロップが出ました。この字は漢名からきているそうですが、「トクサ」と読みます。
トクサの莖の表皮細胞の細胞壁には多量の珪酸質が含まれ、表面が堅く、特に筋状の部分がざらざらしているため、これを煮て乾燥させ、紙ヤスリのようにして研磨の用途に使ってきました。そこで、「砥石になる草」ということで「砥ぐ草」から「トクサ」と名づけられたのです。ですから、「砥草」とも書きます。
テレビでは、このトクサを、数珠を磨くのに使っていましたが、ほかにはどんなものを磨いているのでしょうか。多くは、木製品の作業工程などの磨き仕上げる工程に使用されています。たとえば、高級なつげのくしの歯や漆器の木地加工、クラリネットなどのリード楽器の竹製リードを磨いて調整するのにもトクサが用いられています。また、骨・爪などを磨くのに使い、音楽家の滝廉太郎が、身だしなみに気を遣って常々トクサで爪を磨いていたことは有名な話です。そのほか、さび落としなどの金属の研磨や、面白いところでは、和傘の骨を磨いたりするのに使われたり、オオトクサなどでは、歯を磨いて歯ブラシの代わりに利用します。そこで、別名「歯磨草(はみがきぐさ)」と呼ばれることもあります。
また、このトクサは、地下茎があって横に伸び、地上茎を直立させます。その姿のおもしろさから、庭で栽培されることもあります。特に日本庭園の水辺などに植えられています。その形からラテン語の「Equisetum」は、「equus(馬)+ saeta(刺毛)」が語源で、たくさん輪生するスギナの細い枝の形を馬のしっぽにたとえたのでしょう。この姿が水回りには似合いということで、私の園の手水鉢の後ろにトクサを置いてあります。
もうひとつ、このトクサの特徴があります。それは、中空で節があり、引っ張ると節で抜けます。節の部分にはギザギザのはかま状のものがあって、それより上の節の茎がソケットのように収まっていますが、このはかま状のぎざぎざが葉に当たる。茎の先端にツクシの頭部のような胞子葉群をつけ、ここに胞子ができる。私の子どものころに、祖母の家の庭の池の周りに植えられていて、その茎を使って節から引き抜いてよく遊んだものでした。
また、当然漢方にも使われます。干した茎は木賊(もくぞく)と呼ばれる生薬で、その煎液を飲用すると目の充血や涙目に効果があるといわれています。また、腸出血などを抑える薬にもなることから、昔はこの「トクサ」を刈ることで生計を立てていた人もいたそうです。
数珠を磨く話から木賊の話に行きましたが、話は戻します。テレビでは、数珠を磨いた後に本当のつやを出すために、多くの数珠を袋に入れてそれを洗濯板のようなところでこすり合わせます。それは艶はお互いがこすりあうことで出てくるということです。
私は、人間の艶も人同士が擦りあうこと、人同士の関係性から出てくるのだと思っています。
『人間の艶も人同士が擦れ合うこと、人同士の関係性から出てくる』ー本当にその通りですが、擦れ合うことは痛みを生ずるもので、楽しいことばかりではありません。昨日の「兄弟」の話ではありませんが、兄弟が多いほど自分の我儘が通らず喧嘩もして辛い思いもしますが、人間的に逞しく育つことができる。社会に出てからも同じで、自分と個性や価値観の違う人間だと、時にトラブルも起こりますが、そのことが自分を成長させてくれる。辛い経験を苦い思い出だけにしないで、自分を磨いていくいい機会と捉えていきたいですね。人を見る目を養っていないととんでもないことになります。
前日の「兄弟」でも書かれていましたが、子ども同士の関係や人とつながった社会の中で学ぶことが、育ちには大切なんですよね。これはこどもだけでなく、大人も同じことだと思います。もっと自由な生き方をという考えから、他人から干渉や束縛をされないことを求める流れは今でもあると思いますが、やはり人は関わりあって生きなければいけないんだと思います。確かに大変なこともあるけど、いろんな人と共に生きることが実は自然で、その中で自分が深まったり“艶”が出てきたりして、そんな社会を目指していくことが大切なんでしょう。新聞などでよく目にするようになった、自分たちとは違う異質なものをただ責めるだけにしか見えないやり取りは、いかがなものかと思います。
写真の植物を見た瞬間、竹??と思いました。木賊という植物は、初めて聞きました。「研ぐ草」から「トクサ」という名前の由来はそのまんまですね。しかし、植物で高級なつげのくしの歯や漆器の木地加工、楽器。そして爪なども研げるとは驚きました。物を研ぐ場合、紙やすりや棒やすり等、人工的に作られたものしか知らないので、一度自分の爪を研いでみたいです。きっと、とても綺麗に研ぐことができそうな気がします。
人同士が擦りあってこそ、人間の艶が出てくるのは、本当にそうかもしれませんね。私自身、もっとたくさんの人達と出会い、自分自身の艶がどんどん出てきたらいいなぁと思いました。
写真の植物はよく目にしますが、今回のブログでその正体を知りました。それにしても「研ぐ草」すなわち「トクサ」とは想像だにすることがなく、その用途について知るにつけタダの植物ではなかったことがわかります。「数珠を磨く」「クラリネットなどのリード楽器の竹製リードを磨」く、そしてトクサの仲間オオトクサに到っては「歯ブラシの代わり」。しかも、しかも「目の充血や涙目に効果」とか「腸出血などを抑える薬」になる、とあります。なんともまぁたくさんの効用がこの「トクサ」にはあるのですね。実に感心してしまいます。しかし、私のように、観たことはあってもその正体を知らないと「トクサ」もただの観葉植物か、となってしまいます。好奇心は常に旺盛に。森羅万象との関係作りには欠かせないことです。