人は生まれてすぐに自分の泣き声とほかの子の泣き声を区別するということが最近分かってきました。また、情緒の分化の中では嫉妬心はずいぶんと早いこともわかってきます。ですから、赤ちゃんも一人だけを大切に育てれば安心するでしょうし、落ち着きます。しかし、兄弟がいるとなかなかそうはいきません。親を独占するわけにはいかないのです。その代わり、兄弟で遊んだり、兄弟から学ぶことも多いのです。
庄野潤三の「あわれときびしさ」という小説の中で、こんなくだりがあります。「兄弟の多い家族に育ったものは、子供のうちから“何でも自分の思った通りにはならないものだ”という悟りを得るようになる。まわりで否応なしにそういう躾をしてくれる。」子どもたちは、親を独占すると自分の思い通りのことができます。ゲームをすると、いつも勝つこともできます。それは、親が子どもに合わせてくれるからです。それが、兄弟の間ではなかなかそうはいかないことが多いのです。それはそこには子どもにとっての社会があるからです。人はひとりでいる時よりも、自分一人をいつも保護してくれる人がいる時よりも、自分は社会の中の一員であると思えることが情緒を安定させると思っています。
最近、少子社会になると、直接親に自分だけに何かやってもらうことが多くなります。その時に子どもは他の子どもの存在を疎ましく思ったり、他の子どもとの関係から学ぼうとしないで、他の子どもとの関係を断ち切ろうとします。これは、何も人間だけに限らないようです。最近のペットブームから、ペットでも同じようなことがあります。朝日新聞の「どらく」にこんな相談が載っていました。
「我が家に愛想のいい利口な柴犬がいます。この子に姉妹をつくろうと、1週間前に赤ちゃんの柴犬を迎え入れました。迎え入れて2、3日たったころ先住犬と子犬を一緒にしました。すると先住犬の様子がおかしくなってしまいました。部屋の端に寝転び、子犬に近づきません。私が仕事に行っている間に胃液を十数カ所にも吐き、その後食事もとりません。いつもはまったく吠えないのに、子犬に近づきわざわざ吠えることもあります。もう一度子犬と別にしたら以前のように戻りました。どうしたらよいでしょうか?」というものです。回答としては、「赤ちゃんが家に来てまだ1週間。先住犬は今までの生活がガラっと変わってしまったことに、心と体がついていけていないのでしょう。飼い主が留守の間は、別にして、飼い主が一緒にいる時に、一緒にして、赤ちゃんをサークルに入れたままで、先住犬をなでてあげたり、抱っこしてあげたりして、たくさん「いい思い」をさせてあげてください。「赤ちゃんが来ても、嫌なことは何もなかった」と思わせると同時に、「ママは赤ちゃんがいても、ちゃんと私をなでてくれたり、抱っこしてくれたり今までどおりに接してくれるんだ」と安心させてあげることができます。一番に思うことは「愛犬同士の関係を左右するのは、ほとんどが飼い主さんの行動や心持ちである」ということです。」
そして、心構えとしてこう提案します。一つは「飼い主さんが「より頼れるリーダー」になる」こと、二つ目は、「心配し過ぎない、あえて干渉しすぎないことも愛情」ということで、飼い主が心配して過度に声を掛けたり、気にしてしまったりすると「ああ、ママも心配なのね。私ってやっぱりかわいそうなんだ…」と余計状態が悪化したり、「こうやってご飯を食べないと、ママが声をかけてくれたり、構ってくれたりする」と勘違いして、余計ごはんを食べなくなって困らせたりと、先住犬が「赤ちゃん帰り」をしてしまうこともあります。群れのメンバーが増えたことは、決してかわいそうなことではなく、とても楽しいこと。いま、その楽しくなるまでのハードルを柴ちゃんは頑張って越えようとしている状態です。「赤ちゃんが来て、楽しいね。ママもいろいろ頑張るから、一緒に協力してね」という気持ちで接してあげてください。赤ちゃんを意識して吠えてみたり、嫌がる素振りを見せたりすることもあるかもしれませんが「そんなことしてもしょうがないよ、これから赤ちゃんはずっとおうちにいるんだからね」くらいの気持ちであまり干渉せず、柴ちゃんのペースに合わせて接しさせてください。」
人間と同じですね。
同郷の人ということもあって、日本赤ちゃん学会の小西先生の研究にとても興味があります。。先日もNHK教育で赤ちゃんの知られざる能力を実験を交えて語っておられました。たとえば、母親が他の母親の声に口ぱくであわせたら、赤ちゃんはそれを母親の声ではないとちゃんと見破るそうです。母親の声を覚えているんですね。無力の存在に見えて、赤ちゃんは本能的に生きていく力と知恵を身につけている。小西先生は、「21世紀の子ども観」を確立すべきだと訴えておられますが、保守的な保育の世界と相いれないのはこのあたりに理由があるのでしょうか。
生きていく上では、自分の力の及ばないことがたくさんあります。偶然に身を任せるしかないこともしょっちゅうです。そんなことを兄弟体験や子ども社会の中で自然と悟っていくのであれば、こんな貴重な体験はないですね。人と関わり社会をつくっていくことが生き生きと活動していく力につながっていくと、子どもたちが少しでも実感できるようにしていきたいと思います。飼い犬の悩みも人間の兄弟に置き換えやすく、参考になりました。
兄弟から学ぶ事は本当にたくさんあると思います。例えば3人兄弟の場合、ケーキなどのお菓子を分けるときに、三等分しなければいけません。それから、上が下に勉強を教えたりもできます。私の場合も兄に勉強や色々な事を教えてもらいましたし、幼い頃はよく兄弟で喧嘩をしましたが、いつからか全くしなくなりました。兄には敵わないと理解したからだと思います(これは関係ないかもしれません)。ただ兄弟というより、人との関わりの中で学びあうことは、とても大切なことだと、つくづく感じます。
私は4人兄弟の一番上ですが、「お前は長男だから」とか「弟や妹の面倒をみて」と親から言われたことがなかったですね。それゆえ、ともすると「過干渉」になりやすい私が、弟や妹に必要以上な干渉をすることはなかったと思います。いい意味で、兄弟バラバラ、で兄弟が揃って何かということはめったにありません。現在我が家には息子が1人います。一人っ子です。「兄弟というより、人との関わりの中で学びあうことは、とても大切」とあります。救われます。「人の関わり」、とくに好きな友達との関わりは好きなようですから安心できます。そして友だちから「学ぶ」ことが多いようですね。子どもが集まるところでは子ども同士の学びあいを大切にしなければなりません。