昨日の新聞多摩版にこんな記事が掲載されていました。
「関東有数の山車まつりと称される「八王子まつり」が、八王子市内で開かれている。最終日の9日には市内各地で山車の辻合わせが行われ、クライマックスを迎える。戦災で山車が焼けたが、70年代に地域住民が再建し、活気を取り戻した。市の有形文化財の11台を含む計19台の山車が登場する。9日は甲州街道(国道20号)で重さ約4トンの大みこしが披露され、おはやしの競演なども行われる。」
この八王子祭りは私が住んでいる八王子のお祭りです。ほかの地域のお祭りだけでなく、地元のお祭にも行ってみようということで、昨日の日曜日に妻と二人で山車を見に行きました。この祭りはかなり歴史があります。八幡八雲神社祭礼を「下の祭り」、多賀神社祭礼を「上の祭り」として江戸時代中期から明治中期にかけて人形山車の祭りとして行われていて、300年以上の歴史があります。そして、明治中後期以降は、彫刻を全面に施した彫刻山車の祭りとして、関東一円に名声を博していました。しかし、昭和20年の戦禍に会い、8台の山車が消失してしまいました。今は、焼失した山車も再建され、昭和41年に上と下の祭りが統合され八王子まつりとなったのです。また、近年では伝統の「下の祭り」「上の祭り」の復活が呼びかけられ、神事はそれぞれの日程で巡行を分けて行われています。

今、NHKの朝ドラで「つばさ」という川越を舞台にしたドラマが放送されていますが、そこでも川越祭りが放送されます。川越が江戸の北の守りであれば、幕府領であった八王子は幕府の西の砦でした。ですから、江戸時代に八王子と川越を中心として山車祭りの文化圏が築かれていったのです。八王子の山車には外観が三通りあります。一本柱建て人形山車、二・三層鉾山車、入母屋造り堂宮形式です。山車は、様々な彫刻を施し、山車のよっては屋根の上には様々な人形が飾られています。その人物は、「神武天皇」「織田信長」「浦島太郎」「雄略天皇」「応神天皇」「素戔嗚尊(スサノウノミコト)」などです。

山車のもうひとつの特徴は、山車の後ろで山車ごとの特徴のある祭囃子が行われていて見る人を楽しませてくれます。もともと民俗芸能である神楽とそれに付随する音楽である囃子は昔から各地域にあるそれぞれの祭に密着して発展してきています。その神楽の起源は、出雲に始まり埼玉の鷺宮を経て江戸に入り、江戸中期に現代の江戸里神楽の形になりました。神楽の内容は神話や神社の縁起などを仕組んだものが数多かったのですが、江戸に入ってからは茶番風の滑稽なものが盛んに演じられるようになり、庶民のたのしみとなりました。それら神楽の演目の中で、特に下町では庶民的な親しみを見せる「おかめ」「ひょっとこ」「狐」の出しものなどが喜ばれています。山車の後ろでは江戸祭囃子の笛、太鼓による祭囃子は祭りの雰囲気を盛り上げます。また、この奏者や演じ手たちは、他の邦楽と違って、祭りを主催する神社や寺社の氏子や檀家である一般人の場合が多いのは、氏子や檀家が祭りのために練習をし、祭りのときのみ演奏されてきたものが多いためであり、地域に根付いて伝承されてきた音楽であるという特徴のためである。また、奏者に少年少女が多く見られます。

上手に、一生懸命に踊っている少年少女を見ていると、伝承文化は継承されていっていることを実感します。
先日のブログに刺激され「自ら興味を持って」を楽しんでみようと思い、週末に近くの祭りに出かけてきました。私の地元で祭りといえは、だいたい石見神楽が行われます。八王子まつりと同じように、子どもたちが楽しみながら関わっている伝承文化です。この地で受け継がれてきた石見神楽が私は苦手だったのですが、これを機に少しずつ知っていくことにしました。向き合い方を変えると発見がたくさんありました。文化を受け継いでいっている子どもたちを支える地域の一員として、自分の役割を探っていきたいと思います。
それほど大きな祭りなら、八王子に住んでいた時に見たらよかったのですが、学生時代の今頃は帰省しているか、サークルの合宿でよそへ出かけていたので、祭りの存在すら知りませんでした。ただ、サークルが児童文化研究部・人形劇班でしたので、八王子の車人形は特に興味があって調べたことがあります。文楽の一種ですね。今はどうなっているのでしょうか。八王子の祭りではまだ子ども達が大勢参加しているようですが、実は田舎では少子化の影響で祭の存続すら危うくなっているところがあります。昔少年だったおじさんたちが太鼓のばちを握っている姿は少し哀れではあります。
私の地元には写真のような山車祭りみたいな、昔から伝統ある祭りというのは、ありませんので、とてもうらやましいと思います。私の友人の中には、彼の地域では昔からの踊りがあり、それを小さい頃から覚えて、祭りの日に人前で踊るそうです。彼自身は嫌がっていましたが、私からしてみると、本当に羨ましい限りです。少子化の影響で、子どもは減っていく一方ですが、その地域の昔から伝わる、伝統なものはどうにか残していって欲しいと感じました。
先日、八王子の美術館を訪ねました。美術館に行く途中のバス車内から「八王子まつり」のポスターを拝見しました。八王子といえば「いちょうまつり」と思い込んでいましたので「八王子まつり」の存在には多少驚きを感じました。そして橋を渡る手前でしたか「山車」の格納庫を見つけました。ヘェ~、八王子にも「山車」があるんだ、いつ繰り出すのだろうか、と疑問に思いましたが、想像力の貧困さはついに「八王子まつり」と「山車」を結びつけることなく終わりました。何故か、八王子=いちょうまつり。思い込みとは知識の領野を狭めます。八王子にご縁を結ばせて頂いた今日この頃。「八王子まつり」は是非観てみたいと思いました。最終日が9日なら我が家の盆の準備に間に合います。楽しみがまた一つ増えました。