園の前の花

 身の回りには様々な自然があります。空には星が瞬き、草木が息づき、昆虫が動き回っています。私はそれらどの自然を見ても興味がわきますし、それらについていろいろと知りたいほうです。しかし、いろいろなことに興味を持つ分だけ一つのことにはあまり深くなく、いろいろなことを知りません。星も代表的な星しか知らず、草木も目立ったものしか名前を知らず、虫も同様です。本当は、もっといろいろなことを知ったらさぞかし面白いだろうと思うことがあります。そんなときに、身の回りに物知り博士がいたらいろいろと教わるのにと思います。というのは、名前などいくら図鑑などで調べても、写真と比べてもなかなかわからないことが多いからです。ですから、少しでも知っているものに出会うと少しうれしくなります。
 先日、園の周りを歩いてみました。その時にブログで書いた蝉の抜け殻を見つけたのですが、今の時期、花は暑さに参っているようで、元気良く咲いている花は、カタカナの名前の花が多い気がします。その中で、園の前にたくさんの花をつけている草を見つけました。
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この花は、自生もしていますが、見たものは移植されたものです。その花は、ユリ科の薮蘭(やぶらん)です。山菅(やますげ)ともいいます。国内では、本州や四国、九州、沖縄に自生していて、林の地面付近など薄暗い場所で見かけることが多い常緑多年草です。ですから、林縁などの藪に自生して、葉は、平たく細長い線状で蘭に似ていることから、江戸時代のころに、「藪蘭」と名付けられました。
 昔から、繁殖力は旺盛で、対陰性も強いことから、比較的育て方が簡単であることから、庭園の地面を覆う下草などとして利用されたりしています。果実は、球形で直径約7ミリで、熟すと黒くなり、種子は果実を破って飛び出します。根茎は太く短く堅い木質で、根にはひげ根が多数あって、根にはところどころに肥大した小塊があります。初冬にこの根の肥大部分だけを掘り取り、水洗いして天日でよく乾燥させます。これを生薬名で、「大葉麦門冬」といいます。大葉麦門冬は主に漢方に配剤され、「農業全書」(1696)の薬種類の麦門冬には、「大小二種あり、大きなるはやぶの中に多し。紫花をひらく。性もっともよし」との記述があり、民間薬としても滋養強壮・催乳・咳止めに用いられています。
よく、ほかの薬でも「滋養強壮」という言葉を聞きますが、それは、体の様々な臓器を刺激し、貧血を治し、栄養をつけ、強いからだにして体質の変化を図る目的で行うものです。ですから、滋養強壮によいとされる食べ物は、疲れやすく、体力がないと思っている人や、働き過ぎのための疲れが溜まり、脱力感、不眠、食欲不振、胃腸障害などのある人の為に食されてきました。このヤブランは、その中の一つです。
また、催乳というのは、母乳がよく出るような役目ということです。母乳は乳児にとっての最良の栄養品ですが、なかなか出ない人もいます。そんなときに、簡単に人工栄養に切り替えないで、なるべく母乳を飲ませるようにします。そんなときに服用したようです。もともと、母乳があまり出ないということは、母体の体調に影響することが多いのです。ですから、滋養強壮に使われるということは、催乳にも良いとされているのでしょう。
何気なく咲いている花にも、昔の人は目を向けていたのでしょう。

園の前の花” への3件のコメント

  1. 花ではないですが、最近定期的に芝生の様子を見ています。隙間を見つけてクローバーが生えてきていたり、場所によって生え方の違いが大きかったりと、見ていて飽きません。しゃがみこんでそれらを観察していると、周りに生えている草花や雑草が目に入ってきます。そして今度はそれらを観察し始める・・・といった具合に、普段と目線を変えるだけで違った発見があります。心に余裕を持つだけでなく、目線を変えて見えていなかったものを見ようとすることも、必要だと感じました。子どもたちはそうしたことにも丁寧に目を向けていたりするんでしょうね。

  2. 「山菅」はここら辺の山でもよく見かけますが、生薬として滋養強壮に効くとは知りませんでした。恐るべし、野草の生命力。野草研究家の標ヒロさんによると、たとえば、植木屋さんには糖尿病が少ないと言われます。いつも植物に触れて、付着している有効な微生物や芳香成分を皮膚から取り入れているからだそうです。その植木屋さんの話。「今年の木はずいぶん根を生やしているからこんな年は地震が多い。」植物は大地から様々な情報を集めて根を生やしているんでしょうか。野草の名前を覚えるよりも、野草のこんな秘密のほうに興味がわきます。

  3. 「いろいろなことに興味を持つ分だけ一つのことにはあまり深くなく、いろいろなことを知りません。」と藤森先生に謙遜されるとこちらの立場がなくなります。己が無知を毎日ベースで曝け出しているので羞恥に耐えません。当臥竜塾ブログを読んでいると先生の博識に恐れ「入谷の鬼子母神、浅草のほうずき市」となります。ブログを読んで初めて知り得ることが多く、これまでいろいろと勉強してきたつもりですが「無知の知」を自覚せざるを得ません。本日写真入りで紹介されている「ユリ科の薮蘭(やぶらん)」もよく観ていましたがその正体は今回のブログを読むまで皆目わからず不真面目なことに調べようともしませんでした。「身の回りに物知り博士がいたら」との心境です。当ブログは我が知識欲を満たしてくれる内容満載です。

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