不倒

「薩摩の訓え」というものに「男の順序」が書かれてあるものがあります。1番は、「何かに挑戦し、成功した者」である人です。その次は、「何かに挑戦し、失敗した者」です。その次は、「自ら挑戦しなかったが、挑戦した人の手助けをした者」そして、「何もしなかった者」で、男として最低であるものは、「何もせずに批判だけしていた者」ということです。これは、昔なので「男」の順序を表していますが、実は「人としての順序」なのでしょう。こう改めて書かれると、自分はどのようであるか、何かをしようとするときには自分はどんなスタンスであるかということを振り返ります。
福島県会津地方に古くから伝わる縁起物・郷土玩具の一つに「起き上がり小法師」(おきあがりこぼし)があります。
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いま、東京では「会津」キャンペーンをしており、いろいろな場所にポスターが貼ってありますが、そのメインキャラクターは、会津の人にとってなじみの深い「赤ベこ」という首を振る赤い張子の牛をデザインしたものです。その郷土玩具は有名ですが、最近人気のあるものに稚児をかたどった可愛らしい「起き上がりこぼし」があります。会津地方ではこの小法師を「十日市」という毎年一月十日に行なわれる縁日で家族の人数+1個を購入し一年間神棚などに飾るようです。
「起上り小法師」は、底におもりをつけた、だるまの人形で、何度倒しても起き上がる事から「七転八起」という精神が含まれています。この人形は、もともとは中国のものです。会津のもう一つの郷土玩具である「赤ベこ」はその材料が張子で作らられていますが、この張子という紙を張り重ねて立体を作るやり方も中国でうまれました。唐の時代(616~906)の中国は、さまざまな文化が生まれました。その頃、酒宴で酒をすすめる道具の一つに「酒胡子」と呼ばれる玩具がありました。その形は尻のとがったコマのようなものでクルクルと廻り、倒れた方向にいた人が何か芸をしなければなりません。今でも、さいころ代わりにそのようなコマを使うことがあります。その「酒胡子」が、「不老不死」を意味する「不倒翁」として張子の玩具に変身していき、お酒の席などでもてはやされました。そのころの室町幕府は、中国との貿易を盛んに行っていました。渡航した日本の人たちが日本に持ち帰ってきたお土産の中にこの「不倒翁」がありました。「不倒翁」とは老いてもますます元気な意で長寿をあらわします。ですから、その姿は翁です。しかし、日本では、転ばしてもすぐ起き上がるおもしろい動作から、都の人たちは翁を子ども向けのかわいらしい姿に作り代えてしまったのです。それが「起上り小坊師」という「小坊師」子どもという名前が付いています。そして、子どもの成長を願う親の心にもピッタリ合い、おもちゃとして大流行しました。これが江戸へ運ばれて、いろいろな意味がその人形にこめられ、変化をしてきました。
今、会津で売られている「起き上がりこぼし」は、赤い衣を着ているのが普通ですが、それは、その姿から達磨大師をイメージし、坊さんがまとう朱衣を表しています。また、起きあがる姿は病気平癒への願いが込められています。そのとき朱色は疱瘡に効き目があるといわれ、子どもの病気見舞いの手みやげに使われるようになりました。また、「七転び八起き」の縁起をかつぎ、子孫繁栄、商売繁盛などにも使われるようになりました。「何度失敗しても挑戦し続ける」日本人の心の支えとなっているのです。

不倒” への5件のコメント

  1. 近年増えてきた無差別な殺人事件を起こした犯人の犯行動機で多いのが「人生が嫌になった」「誰でもいいから…」とか「むしゃくしゃしてやってしまった」というものですが、昨日のブログにあった三つの子どもの発達課題と符合するのには驚きです。周りの社会とうまくコミュニケーションが取れないから孤独になってしまう。失業とか家庭の問題を解決する能力が欠如している。人生には決していい時ばかりではないのに、うまくいかないと我慢できなくてキレてしまう。こんな事件が起きるのは格差社会だからという評論家がいますが、そうではありません。少子化という社会環境、そしてこれまでの日本の教育が幼児期からの十分な発達を保障できてきたのか検証する必要があると思います。

  2. わたくしの次男坊は、丁度弊社事務所前の高校に通っております。
    なんと陸上部のキャプテンらしく、グラウンドで練習後、下級生に訓示していました。
    「インターハイ予選の結果が~思わしくなくても~チャレンジをあきらめたら本当の負けだ~!」
    倉庫の隅から、親バカなもので「ををっ!言うじゃないか息子~」
    と思っていましたら、その後の次男の台詞が・・・
    「いいか!みんな!人生は七転八倒だぁ~!」
    ぜんぶ倒れてるじゃないか息子・・・と脱力・・
    たぶん、七転び八起きと言いたかったのだろうと信じてます。
    本当です。

  3. 人としての順序は心に響きますね。昨日15日、機会を与えられてあることに挑戦してきたのですが、行動してこそ自分自身と向き合うことができると実感できました。反省することもたくさんありましたが、こうして反省できるのも挑戦したからこそだと思っています。結果が成功か失敗かということより、今はやってみることに大きな意味を感じています。

  4.  私の場合、昔から基本的に何でも失敗をしないと、色々なことを覚えないタイプでした。これは親にもよく言われます。「男の順序」ではそのタイプに当てはまるか分かりませんが、何事にも挑戦するスタイルはいつまででも持っていることが大切だと思います。「何度失敗しても挑戦し続ける」日本人の心の支えとブログに書いてありますが、最近はどうなのでしょう?失敗などしたらすぐにリタイアしてしまう若者が増えてきているように感じますが、気のせいでしょうか?

  5. 「不倒」「七転八起」・・・不屈の精神を感じる表現です。まぁ、私個人としては、「七転八倒」の苦しみを味わうことが多いのですが、人生とはよくしたもので、なんとか「起き上がる」ことができて今に至っています。「男の順序」はなるほどと頷くと同時に自分は一体どれ?と考えてもなかなか結論がでず、しかし「何もせずに批判だけしていた者」にだけはなりたくないと思ったところです。ところで最近気付いたことですが、当ブログで各地の文物等々を紹介して頂いていると何だかその地に行った気分になり、ブログ内容が割りと頭の中に入ってきます。おそらくいつの日かブログで紹介された地を訪ねては当ブログ情報から土地の人に薀蓄を傾けることがあるかもしれませんね。

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