かおり

 昨日、ある町を歩いていると、突然いいにおいがしてきました。それは煎餅のような匂いです。町を歩いていると、さまざまな匂いがしてくることがあります。その多くは、食べ物の匂いです。ケーキやパンなどスウィーツの匂いが駅で漂ってくることがあります。それは明らかに匂いをさせて、購買意欲を高めようとしているのでしょう。このように、商品の看板を、文字ではなく、においでする場合があります。もうすぐに来る「土用の丑」の日の鰻屋などはまさにそういう気がします。私がよくあるく商店街では、店頭で魚やホタテや焼き鳥を焼いてにおいを出させていますし、北海道などに行くと、露店でトウモロコシを焼いているのをよく見かけますが、これもそういう効果があるでしょう。私の子どもの頃に、匂いを看板にしていた店は、お茶屋さんでした。店頭でお茶を煎じていて、その匂いを町に振りまいていて、宣伝していました。
 食べ物による匂いはその季節ということではありませんが、季節によってその町のにおいを感じることがあります。それは、花の匂いです。匂いの強い金木犀、沈丁花、クチナシなどの花は近くを通っただけでにおいを感じます。
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また、梅林などは一つの花のにおいというわけではなく、全体にほのかに匂いが漂ってきます。富良野に行ったときには、町全体からラベンダーの香りがしていました。
 そのほか、地方に行って強烈な街の匂いがすることがありますが、それは、温泉街に行ったときの硫黄のにおいであったり、温泉の匂いです。また、海辺に行くと、独特の海の匂いがします。それは、どうもわかめなどの海藻の匂いのようです。
そのように、いろいろな町では匂いがすることがありますが、それは、その町の文化であり、歴史であったりします。そこで環境庁では、「豊かなかおりとその源となる自然や文化・生活を一体として将来に残し、伝えていくため、”かおり風景”」を広く募集しました。そして、特に優れた「かおり風景」として100地点が選定されています。100選には、花や樹木、潮風、温泉、みかん・カボス・りんご等の果物などの自然の香りのほか、にかわ、墨、線香、茶、塩わかめづくりなどの伝統工芸や地方の特産などに関わるものなど様々な「かおり風景」が選ばれています。
この選ばれた香りを見ると、必ずしも聴覚を刺激するにおいだけでなく、違う匂いもあることの気が付きます。その一つが、東京で選ばれた「神田古書店街」です。ここの説明として「約200mにわたる古書店街の古書類から独特のかおりが漂う。明治時代より数多くの学生やサラリーマンなどに利用されてきた。特に秋には神田古本祭りが行われ、大勢の人々でにぎわう。」とあります。確かに、古書の匂いはありますが、それだけでなく、いわゆる雰囲気という意味での香りが感じられます。
これらの香りは、香りそのものというよりも町のたたずまいであったり、そこの景色であったり、自然であったりします。それを環境庁ではこのように呼びかけています。「日本には、私たちにやすらぎやゲンキをあたえてくれるすばらしい景色がたくさんあります。そんな景色を体全体で感じるとき、そこには必ずすばらしいかおりがあると思いませんか?環境省は、そんなかおりのある風景をいつくしみ、守りつづけている地域の方々を心から応援したいと思っています。」
もう少し、身の回りの町の匂いを感じてみようと思います。

かおり” への4件のコメント

  1. 自分の記憶の中にある風景は香りを伴ったものが多いです。その方がより鮮明に覚えています。目だけでなく鼻でも一緒に感じた方が記憶に残りやすいんでしょうか。そう考えても、香りは風景でもありますね。自分の記憶にある香りに思いがけず出会ったときなどはうれしくなります。自分の地元の香りが年々変わってきている事を感じたときは、少し寂しくなったりもします。普段何気なく存在している香りも、私たちに大きな影響を与えていたりするんでしょうね。

  2. 神田の古本屋街は、たぶん東京で一番好きな場所だと思います。学生の頃、初めて行った時は、間違って神田の駅で降りたのでずいぶん歩きました。お茶の水駅の聖橋口をでて、ニコライ堂を右に見て、大学の建物が並ぶ本郷通りを下って、神保町の交差点を渡ったあたりから、あの古書の匂いが漂ってきます。「南海堂書店」は好きな歴史や社会学の店。「矢口書店」は映画や演劇の専門店。「古賀書店」に「篠村書店」…。まるで「知的財産」のテーマパークに迷い込んだ旅人のようにあちらこちら歩いた挙句、二、三冊買い込んで、路地裏の小さなコーヒー専門店で「皇帝」なんか聴きながら読み耽るのが好きでした。

  3. 今日は家族で横浜に行きました。かつて暮らしていた街は新旧入り混じって気持ちも複雑になります。当時よく行っていた「長崎ちゃんぽん」のお店の前を通りました。当時の「におい」がします。お腹がすいていたら暖簾をくぐっただろうに。結局空腹と「におい」に誘われて「タイ料理」屋に入りタイの「ヌードル」と蒸した「タイ米」を食べました。タイを訪れていた頃の記憶が甦ります。古本のにおい。懐かしいですね。神田の古書店街や早稲田の古本屋さん。まぁ、今でもよく行きますが、においとは不思議なものでタイムスリップして20代の自分に戻ります。青二才の自分は何だか気取っています。判った気になっています。もっとも今も「分かった気」になることは多いですが。そして20代の自分も鏡に映った現在の我が顔で終わります。サラサーテの「チゴイネルワイゼン」を聴きながらコメントしました。音も過去を思い出せます。

  4.  においの看板というのは新鮮ですね。確かに、鰻の蒲焼や露店の焼きトウモロコシなど、香ばしい香りがする商品というのは、店の場所から離れていても分かります。温泉の香り、海の香りにしても、鼻でその物の匂いを感じることは普段生活ではたくさんあると思いますが、「雰囲気のかおり」というのはなかなか無いと思います。ブログに書いてあるように、色々な匂いを嗅いで、人間の五感の一つ「嗅覚」を敏感にさせようと思います。

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