アメリカの子どもと日本の子どもは、その国民性による違いよりも個人差の問題であることが多いのですが、おおむねその国の国民性と言われる共通した特性があることはあります。それは、風土や伝統や歴史などから形作られてきたということがあるでしょうが、現在、ボーダレス化された世界で、子どもたちはどの国で仕事をするか、どの国の人と仕事するかわからない時代がくるときに、必要な力は国が変わっても同じである必要があります。
この子どもに共通な必要な力はドイツに行っても感じます。しかし、ある企業が私のところに来て、これから外国の子ども向けに商品開発をするときのポイントは何かと聞かれた時に、私はこう答えました。「一言でいうと、日本で商品を売る時には“この商品は、清潔で安全です”ということが受けますが、外国では“この商品を使うことで子どもたちは自立をします”というキャッチフレーズが受けるのではないでしょうか」と助言しました。どうも、日本は子どもへの対応で重視しているものが少し違うようです。
昨日の朝日新聞のコラムに、江崎玲於奈先生のアメリカと日本の教育の違いについての話を聞いたときに考えたことが紹介されていました。
「世の中に出たらこの子も荒波にもまれて苦労するだろう、という認識はアメリカも日本も同じです。その前提を踏まえて、アメリカは、世の荒波に対抗できるよう今のうちに厳しく強く育てておこうと考え、日本は、厳しい未来が待っているのだから今くらい楽にさせてやろうと考えているように私には見えます」とおっしゃっておられた。サバイバル能力をいかに身につけさせるか、それには、自立できる生活能力を身につけさせるのはとても大事なことと理解した。
この話はずいぶん前のことでしょうが、この傾向はますます顕著になってきている気がします。それどころか、厳しい未来のことを考えての対応の違いではなく、逆に日本では、短期的に見ての対応のような気がします。新聞のコラムではこのような問題提起をしています。
「自立させるために一人一部屋の子供室を与える」という話はよく聞くが、果たしてそれだけで子供は自立した人間に育っていくだろうか。子供室の掃除、子供たちの衣服の洗濯、調理・後片付けなど全ての家事に子供を参加させないでどうやって子供を自立した人間にするのだろうと、アメリカからやってきた青年と話していて思った。 対面式キッチンが普及して、夫や子供たちとのコミュニケーションがよくなった、彼等がキッチンに入ってくる回数も増えたと喜ぶ声を主婦からよく聞くが、まだまだ家事を分担しあう、助け合う、それぞれに育っていく、というところまでは行っていないようだ。
住居の在り方でLDKというキッチンをダイニングやリビングに隣接させ、主婦を奥まった場所からみんなが集う場所に引っ張り出す形式を考えだしました。このコラムのように、今度は、子どもたちをみんなが集う場所に引っ張り出し、客としてではなく、家族の一員としての役割を持たせることが必要でしょう。同じ屋根の下で暮らしていても、それだけでは家族ではないことは確かです。家族の一員であるという意識が、子どもを自立させていくのかもしれません。
「子どもが生き生き育つ住空間」や「高齢者が元気になる家づくり」等のテーマで講演活動を続けている建築家の横山彰人氏のHPから「子どもの自立を促す住居設計」のヒントを探ってみました。『①日本の子供部屋は小学高学年で与えると大学卒業まで変わらないが、理想は子どもの成長に合わせて形状も変わるべきである。②自立に必要な人間性、社会性、コミュケーション能力は子供部屋のような個室では育たない。むしろ、0歳から3歳までに親と一緒の豊かな関係性の中で育つ。理想の子育て環境は、リビングを中心に子供部屋を配置し、限りなく一室空間にしておいて、家族の変化に柔軟に対応できるようにしておくこと。ホテルタイプの間取りではなく、どこにいても「家族の気配」がわかる空間が理想的である。』子どもの自立を促す理想の環境は保育園であれ住宅であれ基本思想は同じようですね。
今くらい楽にさせてやろうというのは、大人自身の願望かもしれませんね。大人が楽になりたいという思いから、子どもにもそのことを当てはめているように思います。反対の発想でなければこの流れは止められないと思うのですが。家族にしても社会にしても、その一員として自分のあり方を意識することは、やはり大切なことですね。
自分の過去を振り返ってみてもそうですが、我が子を含めてこれからの子どもたちには「自分は一体何がやりたいのか」「自分はこれから何をしたいのか」「他者と比較するのではなく、自分は自分であり、相手も相手だ」と思って育っていってほしいと思っています。私たち大人より今からの子どもたちのほうが世界の様々な人々・事柄・出来事に対処していかなければなりません。そのためにはこどもたちが自ら働きかけ、そこから学び取り、自己形成していく多様な「環境」を用意してあげることが私たち大人の役目でしょう。「やってあげる」のではなく、子どもたちが自ら考え行動できるようにする。子どもを1人の「人格者」として認めその考え行動を尊重することが必要です。「短期的に見ての対応」ではいけませんね。
確かに、日本のおもちゃは「○○が育ちます」「清潔で安全です」などのキャッチフレーズが多いと思います。そういう意味でブログに書かれていますが、「自立をします」というキャッチフレーズは海外では当たり前かもしれませんが、日本では新鮮かもしれません。これは文化の違いというか、子どもに対する考え方の違いだと思いました。将来、荒波にもまれて苦労するから今の間だけでも楽にさせるというのも、逆に可愛そうです。いつかは必ず荒波にもまれるのだから、それに負けない力を身につけさせる事が、子どもにとって一番重要なことだと思います。何も身につけないで荒波の中に急に放り込まれてしまうと、誰だってリタイアしてしまったり、自信を無くしたり、生きる意欲、働く意欲というのが薄れていってしまうと思います。