発見科学

 まだまだ梅雨空が続き、子どもたちはプールに入れない日が多く、日々もてあまし気味です。また、園の道を挟んだ向こう側の屋上には小学校のプールがあり、小学生がプールに入っている歓声が聞こえてきます。そんな夏の風景ですが、ドイツでは乳幼児施設ではあまり子どもたちがプールに入っているのを見ません。というより、今まで一度も見たことがありません。地下にプールがある学童は見たことがありますが、幼稚園、保育園では見かけません。というのは、プールで泳がせるということはしないところの方が普通のようです。それは、昨日のブログでも書いたように、泳げるようになるということは、あまり科学の目を養うことにはならないからのようです。園は、社会的に価値のある知識を効果的に作り上げるための理論的な根拠がないからでしょう。
 ドイツで夏に園を訪れたときによく見る子どもの活動は、「水遊び」です。水を入れた水槽から水をすくったり、容器に入れたり、移したりしています。また、水が噴き出る口を狭くしたりして、水を遠くに飛ばしてみたり、水を砂と混ぜて泥水を作ってこねたり、砂で川を作って水を流したり、水を素材としていろいろな遊びをするのが夏の園の風景のようです。そこから、子どもたちはいろいろな発見をするようです。私の園でも、プールには入るのですが、それを待っている子どもたちのために水遊びの場所を提供することにしています。
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 ジーン・ハーレン氏とメアリー・リプキン氏が「Science Experiences for the Childhood Years」という本を出版しました。その中で、発見科学を効果的に指導するための4つの役割が書かれてあります。一つ目は、世話役としての役割です。子どもたちが成長する機会を持てるような環境を整えます。そのときに大切なことは、子どもの活動でちょっとぐらい散らかっても寛容でなければならないということです。そして、新しい冒険的な試みをいとわない気質や、失敗から教訓を学ぶ能力が必要であるのです。
 次に、触媒としての役割です。この役目は、子どもたちに自分で考え問題解決をするのだということに気づかせ、知的な力を活性化させます。かつての教師像は、究極の知識源とみなされ、自分の知識と子どもの知識との隔たりを必要以上に大きく見てしまっていました。そうすると、子どもの知的な能力が見えにくくなってしまいます。触媒としての役割の教師は、自分自身も発見の喜びにあふれ、子どもたちを前向きに応援するような雰囲気を作りだします。
 次の役割は、助言者としての役割です。子どもたちにあまり多くの情報は出さず、子どもたちの探求を注意深く観察し、近くで耳を傾けます。一人一人の子どもたちが新しい考えを練り上げ、問題解決に取り組める時間をたっぷりととります。この役割は、直接的なものではなく、支援するコーチとしての役割です。
 そして最後がモデルとしての役割です。このモデルとして示すものは、すぐれた学習者が持っている重要な特性です。好奇心、価値理解、粘り強さ、創造性といった特性です。そして、それらのお手本を示すのではなく、自分の経験や思考プロセスを子どもたちに示して、前向きな学習気質のモデルを示すことです。
 教師が前向きな態度を持ち、自分に必要な役割が何かをわかっていると、子どもたちが科学的発見から得た達成感を分かち合い、喜べるという点で報われ、個人的に成長できるとこの本では提案しています。