集中力

 最近の子どもの様子で相談を受けることがあります。その一つに「子どもたちの集中力が欠けている」ということがあります。聞いてみると、何をやるにしてもすぐ飽きてしまったり、周りばかり気にして集中していなかったり、人の話を集中して聞くことができないというものです。
 では、そんな子はどんな時でも、何やっている時でも集中していないかを聞いてみます。また、どのくらいの間しか集中できないのかを聞いてみます。私は、以前に書いて本の中で、子どもたちが集中しないのは、大人が集中させていないからではないかということを書いたことがありました。テレビは、だいたい15分ごとにCMが入ります。しかも、集中して見入っているときに、いい場面になると突然コマーシャルになることが多いのです。園生活でも、集中して物を作っていたり、本を読んでいると、突然「お方付け!」という声が響き渡ります。その声が聞こえないくらい集中していると、「何度言ったら聞こえるの!」とダメ押しされます。今の時代、子どもたちの時間を細切れにして、次々にいろいろなことをさせようとすることが多い気がします。そんなことから、最近は学校で「ノーチャイム」といって、子どもの活動を時間で区切らない試みが始まっています。
また、子どもは大人と違って、いろいろなことに興味関心があり、好奇心旺盛です。また、集中できる時間も、大人と違ってもともと長くはありません。数年前から、人間らしいものを考えるときに働く前頭葉が注目を浴びていますが、その前頭前野の活発な活動のリミットは、人がどのくらい集中できるかということで計ることができます。すると、集中力は大人のレベルでも40?50分くらいで切れてしまうそうです。ですから、まあ、1時間が限度です。また、教育の現場で言われる集中力は、小学生では学年×10分が最高であると言われています。ということは、1年生では、10分です。ですから、幼児ではすぐに周直が切れてしまうのは当たり前ですね。簡単に集中力がないと言わずに、子どもたちが何に取り組んでいるのか、何をしたがっているかを見る必要があるような気がします。
もう一つ、最近「引っ掻き、かみつき」が多いという相談を受けることがあります。そして、それは、子どもの発達段階において起きることであり、思いに反してまだ言葉が出ないときにそのような行動に出るのだということをいうことがあります。私は、少し違う見解を持っています。一つは、少子社会において育てられた子が、集団に入って自分の思い通りに行かなかったり、集団の中でのストレスに原因の一つがある気がします。それは、保育園では1,2歳児の頃、幼稚園では3,4歳児のころにかみつきが多いからです。もう一つは、その子の性格とか、その子の家庭での環境に原因がある気がします。「思いに反して言葉が出ないころなので、きちんと言葉で伝えることを教えていきましょう」という指導を受けることがありますが、私は違う気がします。私はその行動はある意味で大人に最近多い、DVのように、すぐに手が出てしまうというような行動に近い気がします。ドメスティックバイオレンスという暴力をする人に対して、言葉で伝えることを教えればなくなるということと同じような気がするのです。そうではなく、とっさに手が出る、かみつくという行動を辞めさせるしかないのです。また、周りの大人が、カーッとしてすぐに手を出す環境も見直さなければなりません。最近、引っ掻きかみつきが増えたのは、家庭ですぐに手を出す保護者が増えたことも影響しているのかも知れません。
どんな時にも、子どもは、大人を映す鏡であり、大人の影響、社会の影響を受けやすい存在なのです。

集中力” への4件のコメント

  1. 子どもは大人を映す鏡というのは本当にそう思います。子どものことを考えるとき、子どもをよく見ずに大人の理想だけで考えてしまうことがあります。集中力にしても噛み付きや引っ掻きにしてもそうですね。全部を子どもがおかしいと考えてしまうと、どうすればいいかが見えてきません。子どもの姿から自分たちのあり方を見直す気持ちを持たなければいけませんね。何事も自分次第ということは、こういうことにも当てはまると思っています。

  2. ずいぶん昔の話ですが、「自由保育」がもてはやされていた時期がありました。あれは厳密にいえば「放任保育」だったわけですが…。あの頃、園の職員室まで探検に来る子どもたちがいて、僕たちが仕事をしている最中でも、机の下で子どもたちが遊びまわっているなんてことがよくありました。先生方も自由保育ですからきつく注意しないので、職員室が無法地帯と化していました(笑)。今考えれば、あの時の子ども達は、保育室がとても退屈でしょうがなかったのかなぁ。自分たちが集中して遊べる環境でもないし…。先生の机の下の暗い空間なんて、子ども達が喜びそうだもの。さすがに、最近はそんな光景は見られませんが、保育室の園児たちの眼にきらきら輝くものを見つけることはあまりありません。保育環境そのものが昔とさほど変わっていないからでしょうね。子どもたちを夢中にさせるような保育環境をつくることが集中力をつけさせる近道ですね。

  3.  自分の好きな事や得意な事、映画を見る時というのは、結構な時間でも集中して出来ますが、勉強や仕事、不得意な事に関しては、集中していても1時間持つか持たないか位です。ブログに大人でも集中力は40?50分で切れると書いてありますが、20歳以上の大人でも、1時間も持たないのに、それを保育園や幼稚園の子どもにしてみると、集中して出来る時間は、もっと短いというのは冷静に考えてみれば分かります。それを「もっと集中してやりなさい」というのは、子どもが可愛そうです。正直言うと私もそのような事を言った事があります。もっと子ども自身が集中して取り組めるように工夫したり、子どもをよく見てあげる事が大切ですね。

  4. 自分の興味関心に沿ったことをやっていれば、大人も子どもも、集中する、ものだと思っています。「子どもたちの集中力が欠けている」というのは、おそらく昨日今日始まったことではないでしょう。そして「集中力」云々を子どもであれ大人であれ求める人はとにかく相手をコントロールしたり管理したりすることこそが至上命題と感じているか、自分の力のなさを他者へ責任転嫁している人でしょう。先日我が子の授業参観があり学校へ行きました。確かに「学年×10分」も過ぎない頃に「集中力」というか「先生への気遣い力」は途切れ、欠伸をしたり手遊びをしたり・・・。無論我が子も例外ではありません。「分かる人??」と挙手を促されても「先生への気遣い力」が全くない我が子は手を挙げるどころか欠伸ばかり。後で訊いてみると何をやっているのかわからなかったとか。我が子はLD?

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