シラー

 ドイツの詩人と言えば「ゲーテ」を思い出します。ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテは詩人だけでなく、劇作家、小説家、哲学者、自然科学者、政治家、法律家でもあるのです。また、私の園でも参考にした「色彩論」も表わしています。このゲーテと並ぶドイツ古典主義の代表者でもあり、ゲートと同時代に活躍したヨーハン・クリストフ・フリードリヒ・フォン・シラーも詩人であるだけでなく、歴史学者、劇作家、思想家でした。彼は独自の哲学と美学に裏打ちされた理想主義、英雄主義、そして自由を求める不屈の精神が、彼の作品の根底に流れるテーマです。そんなテーマから「ウイリアム・テル」の作者でもありますが、彼は、ギリシャの古伝説である「Damon(ダーモン)」と「Pythias(フィジアス)」の話をもとに、「Die Burgschaft」(=「人質」又は「担保」と訳される)という7行20節の詩を残しています。
 彼の名前は、日本では、古くは「シルレル」あるいは「シルラー」とも表記されました。最後に、「古伝説とシルレルの詩から」という一文が記されている日本の有名な小説があります。この一文は、「DamonとPythias」というギリシャの古伝説をもとにしてシラーが書いた「Die Burgschaft」という詩から話を作ったということになります。それは、太宰治が、彼なりの発想を加えて書いた「走れメロス」です。ちなみに「Damon and Pythias」は今でも「無二の親友」という意味で使われているようです。
今日の毎日新聞にこんな記事が掲載されていました。「19日は生誕100年を迎えた作家・太宰治の命日「桜桃忌」。太宰が眠る東京都三鷹市の禅林寺には朝早くからファンが訪れ、墓前に花や酒、桜桃忌にちなんだサクランボが供えられた。太宰は三鷹で「走れメロス」「斜陽」「人間失格」など代表作を生み出した。玉川上水に入水自殺し、遺体が発見された1948年6月19日は太宰の39歳の誕生日でもあった。また、太宰が生まれ育った青森県五所川原市の生家「斜陽館」にも多くの観光客が訪れ「太宰文学はすべてここから始まったのか」と感嘆していた。」
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太宰 治は、明治42年(1909年)6月19日に生まれていますので、ちょうど今日で100年目になります。また、自殺で亡くなったのは昭和23年(1948年)6月13日でしたが、遺体が見つかったのは後日、ちょうど誕生日であった6月19日でした。彼の命日を「桜桃忌」と名付けたのは、太宰と同郷の津軽の作家で、三鷹に住んでいた今官一がつけたものです。「桜桃」は死の直前の名作の題名であり、6月のこの時季に北国に実る鮮紅色の宝石のような果実が、鮮烈な太宰の生涯と珠玉の短編作家というイメージに最もふさわしいとして、友人たちの圧倒的支持を得たものです。
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「走れメロス」は、教科書にも載っている小説ですので、ほとんどの人は知っていると思いますが、メロスという主人公が、自分の身代わりとなっている友セリヌンティウスの命を助け自らが処刑される為に暴君ディオニスの元へひたすら走るという物語です。この作品は、なんだか彼のイメージとずいぶんと違う気がしますが、もとが、シラーの哲学と美学に裏打ちされた理想主義、英雄主義ですから、頷けます。「走れメロス」の最後は、出典が書かれてありますが、冒頭の部分は、「メロスは激怒した。必ず、かの邪智暴虐の王を除かなければならぬと決意した。メロスには政治がわからぬ。メロスは、村の牧人である。笛を吹き、羊と遊んで暮して来た。けれども邪悪に対しては、人一倍に敏感であった。」という文で始まっています。

シラー” への4件のコメント

  1. 走れメロスを久しぶりに読んでみました。あらすじは知っていたので特別に何か感じることもないだろうと思っていましたが、以前読んだときと印象がぜんぜん違います。メロスやセリヌンティウスのほんの少しの気の迷いなどは、自分もずいぶん経験してきています。逃げてしまった経験もあります。まっすぐな理想主義や英雄主義は、自分が恥ずかしくなってしまいます。また何十年後かに読むと、違った受け取り方ができるんでしょうね。

  2. 年末恒例の第九の演奏会。この合唱に憧れていて、いつか自分も参加できたらと思っています。ベートーベンは、シラーの詩集を愛読していて、彼の原詩をもとに「歓喜の歌」を作詞したと言われています。
         おお友よ、このような音ではない!
         われわれはもっと心地よい
         もっと歓喜に満ち溢れる歌を歌おうではないか
         歓喜よ、神々の麗しき霊感よ
         天上の楽園の乙女よ
         我々は火のように酔いしれて
         崇高な汝の歓喜の聖所に入る
    いいですね。歌は少々自信がありますから、ドイツの語の発音はtoshi先生に教えてもらって(笑)。閉塞的な現代にあって、もう一度ゲーテやシラーが求めた「理想主義」や「英雄主義」の哲学を蘇らせることはできないのでしょうか。

  3. 「走れメロス」は小説では読んでいませんが、アニメ化されたのを見たのを覚えています。正直に言いますと、「走れメロス」を書いた作家が太宰治だとは知らずに見ていました。そして、原作をシラーが書いたというのも初耳です。言ってしまうといシラーもゲーテも名前こそは知っていましたが、何をした人物かは分かりませんでした・・・。
    そんな「走れメロス」を見たのは確か小学校の頃だったと思います。当時の自分にしてみれば、いくら友人の為と言って処刑されるかもしれないのに、身代わりになる気持ちが分かりませんでした。今はどうでしょうか?小説は読んだ事が無いので、時間があるときにでも読んでみようと思います。アニメで見た時とは違った感想をもつと思いますし、もっと深い意味で何か感じるものが出てくると思います。

  4. 太宰作品は私が中学時代の愛読書でした。中学3年の時『斜陽』を読んで読書感想文を書き何かの賞を頂いたことがありました。当時は小学校以来の愛読書北壮夫さんや小林信彦さんの作品から太宰治そしてトルストイと読書傾向が転換しつつある時期でもありました。きっかけが何であったか・・・今は覚えていません。「玉川上水」という駅を通るたびに「太宰治」を思い出します。と同時に自分の若い頃も想起され感傷に耽ることができます。さて、シラーです。高校時代にシラーの詩アン・ディ・フロイデを合唱団で歌っていました。もちろん、ドイツ語で。yamaya49さん、今度一緒に歌いますか?毎年暮にはベートーベン第九演奏会に行くことが習慣化しています。オー、フロインデ、ニヒト ディーゼ テーネ、ゾンデルン ・・・。シラーもいいですが「不満」の塊ゲーテ博士については今後機会を見つけて研究したいと思います。もっと光を!

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