私の娘が小さかった頃「シルバニアファミリー」という人形を持っていました。シルバニアファミリーとは、エポック社から1985年に発売開始した人形です。この人形は、森に囲まれたシルバニア村に住む動物たちという設定で、当初、ウサギを中心に、ネズミ、リス、クマ、タヌキ、モグラ、キツネの9家族40体がそろっていました。これらの人形は、家族単位で発売され、この人形が住んでいる家や、家具などの小物もあります。もともと、これらの人形が発売されたのは、日本ではなじみの薄かったドールハウスを紹介するためでした。に、子どもに人気のある動物の一家に置き換えて発売したそうです。
一方、1966年、元々ダッコちゃん等のビニール玩具のメーカーだった旧タカラでは、そのビニール加工のノウハウを生かして着せ替え人形市場への参入を計画していました。それは、アメリカでマテル社のバービー人形が人気があったので企画したものですが、ただの着せ替え人形だけでなく、子どもが持ち運びできるドールハウスとしての機能ももたせようとしました。しかし、この人形の大きさに合わせて家を用意するとなると、家のサイズが相当大きくなることが予想されました。そのために、日本の住宅事情や子どもの持ち運びに適さないとして根本的に企画が見直されました。そして、日本の事情に見合った大きさのドールハウスと、それに合ったサイズの独自の着せ替え人形として企画・開発されたのが「リカちゃん」なのです。
シルバニアファミリーシリーズでも、リカちゃんでも開発するときに意識しているのが「ドールハウス」です。ド-ルハウスを直訳すれば「人形の家」で、弘田三枝子の歌を思い出しますが、もともとは、ドールが主ではなく、ハウスが中心です。ド-ルは「人形」を指すよりも「小さい」ことの比喩に使われているそうです。
小さいと言っても、一応は標準値が決まっています。昔から受け継がれてきた標準値は「12分の1」ですが、それは、1フィ-ト(12インチ)を1インチに縮尺した大きさのことです。ヨ-ロッパでド-ルハウスが生まれた一つの理由には貴族が自分の肖像画を飾る位の気持ちで屋敷のミニチュアを「娘の為に作らせた」との逸話があります。子どもは、ミニチュアが大好きです。私は、子どもの頃、五月人形で、ミニチュアの刀や矢が欲しくてたまりませんでした。また、ひな人形の段のしたほうに並べられる家財道具にもひかれました。この節句の飾りはかなり古い時代からあるようで、人形だけでなく、生活空間にある家具、台所用品のミニチュアがあります。また江戸時代に各地でミニチュアを作る職人が生まれ、家具などに加え街並み・屋台・店屋なども作られたようです。また、Nゲージという線路の幅(軌道の間隔・軌間)が9mmで縮尺1/148~1/160の鉄道模型規格のものがあります。これに魅せられているのは大人の場合もありますが、人は、どうも本物のように精巧に作られているミニチュアに惹かれるようです。
記録に残る最古のド-ルハウスは1558年ハバリア(南ドイツ)の公爵アルブレヒド五世が作らせ、娘にプレゼントしたものだそうで、このハウスはあいにく火事で焼けてしまったのですが、1611年のドイツのド-ルハウスがニュ-ルンベルクの国立博物館で公開されているようです。私は、同じ時期のドールハウスをオーストリアのザルツブルグのおもちゃ博物館で見ました。もうこれは、おもちゃというよりは、工芸品です。

藤森先生垂涎のジオラマを見つけました(笑)。バンダイからただいま発売中の昭和30年代の懐かしい街並みを再現した「昭和銀座ジオラマ」です。銀座のシンボル4丁目交差点の和光の時計台、今は亡き旧日劇、「ナショナルテレビ」や「森永ミルクキャラメル」などのネオンサイン。その周りを都電5000系がトコトコ走り回る。三輪トラックにミゼット、赤い屋根の電話ボックス、円筒形の郵便ポスト、もちろん銀座の柳もちゃんとあります。夜景を演出するために照明にも一工夫。ジオラマの下にはスピーカーがついていて、当時の雑踏の音や「東京ブギウギ」まで流れてくるなんて、ほんと至れり尽くせり。どうです!、藤森先生、もう買いたくなってきましたか(笑)。さて気になるお値段は。198,000円~~~。(あの通販の社長の口調で)
古民家のミニチュアが介護施設に飾られています。わらぶき屋根、土壁、小道具なども精巧に作られていて、思わず見入ってしまいます。母屋の側には厠があり、便器の横には新聞紙を切った紙が置いてあります。本物に近ければ近いほど、確かに惹かれてしまいます。屋根を取り外すと中を見ることもできます。普段見ることのできない角度から客観的に見るのは、ドールハウスなどもそうですが、わくわくしますね。
私の家にも「シルバニアファミリー」はありました。私が買ってもらったわけでなく、物心がついたときには、既にあったと思います。もちろん、遊んでいたので、その記憶はありますが、どのように遊んでいたかは覚えていません。そんなドールハウスの歴史は初めて知りましたが、オーストリアのザルツブルグのおもちゃ博物館のドールハウスの写真はおもちゃというより、藤森先生の言われる通り工芸品ですね。写真からでも細かい部分まで精巧に作られているのが分かります。
「ドールハウス」という語を意識的に耳にするようになったのは前の保育園に勤務するようになってからです。職員の1人がどうやら「ドールハウス」を趣味としていたようです。その後現在の園で再び「ドールハウス」を目にするようになります。学童クラブにおいて、です。その時「シルバニアファミリー」という表現にも出くわしました。「エポック社から1985年に発売開始した人形」ですから、発売開始より27年後にその存在を知るに及んだことになります。実に知らないことが多いです。さて「リカちゃん」人形。子どもの頃買って貰ったテレビ主題歌集のLPレコードに「♪リカちゃんトリオはなかよしトリオ・・・♪」なる「リカちゃん」の曲があり後年実物を拝見するまで「リカちゃん」は曲の中の存在でした。