2009年06月13日 [近頃思うこと]
誇り
東京では、電車やバスに乗るときに、携帯電話があればどれでも、どこでも乗ることができるのでとても便利です。スイカやパスネットという非接触型ICカードシステよる乗車カードですので、パスケースやかばんに入れたままでも改札口でタッチするだけで通過できますし、最近は、そのカードはJR西日本の「ICOCA」、関東地方の私鉄や地下鉄、公営交通の「PASMO」、JR東海の「TOICA」、JR北海道の「Kitaca」としても使うことができますし、2010年には、四国を除くJR各社、西日本鉄道及び福岡市地下鉄、2012年には、名古屋鉄道及び名古屋市交通局でも使うことができるようです。
また、最近、本屋での万引きに備えて、無線ICタグ(荷札)を本に付けることを実験、検討しています。その電波で本の情報を読み取り、レジ精算や流通、在庫管理の効率化、さらに万引き防止に活用しようというものです。
このICシステムを含めて日本ではどんどん技術が進み、いろいろなところが便利になり、それは世界でも誇れるくらいの技術革新ですが、なんだか大切なことを忘れている気がします。ドイツでは、本屋では、万引き防止対策よりも、本をゆったりと読むことができる環境を用意しています。科学的に防ぐというよりも違うアプローチの仕方を考えているようです。これは、鉄道の改札口でも感じます。
今回のドイツ研修の宿はミュンヘン中央駅のそばでした。ですから、何度も中央駅に行きました。朝の喧騒は日本と似ているところがあります。新聞を片手に急いで歩くサラリーマンらしい人、軽い朝食を売店で済ませようとする人、次々にホームから発車する列車などどこでも同じ朝の風景です。

しかし、大きく違うところがいくつかあります。まず、駅、ホームにおいて「○○行きの電車が到着します」のようなアナウンスは一切無いことです。そして、発車ベルやメロディーがなりません。日本では、その音でもせきたてられている気がします。
もう一つ、改札口がないことに気が付きます。人々は、そのまま列車に乗り込みます。自転車に乗った人でも、外からホームに乗り入れ、列車に乗り込むのです。切符は、どうしているのかと思います。この光景は、市内を走るUバーンと呼ばれる地下鉄でも同じです。地下鉄は何回か利用するのですが、まず、チケット売り場でチケットを買いますが、日本のような窓口はありません。自動販売機で、目的地を運賃図から探し、そのゾーンを確認してそのゾーンの料金のボタンを押します。そのチケットを持って電車に乗り込むのですが、改札口らしきものは見つかりません。みんなは、勝手にどんどんホームに降りていきます。では、チケットはどうするのかと思ったら、入り口近くにあるスタンプ印字機にチケットを差し込みます。回数券の場合は、ゾーン分の枚数を織り込んで印字機に差し込みます。それだけです。そこには人もいませんし、降りるときも、誰もチケットを確認しません。自己申告だけです。もちろん、検札もあり、見つかった場合高額な罰金をその場で取られ身分証明書の提示も求められると言われていますが、私がドイツにもう何年も行っていますが、一度も検札にあったことはありませんでした。

ドイツ人のことを私はよく考えすぎかもしれませんが、ドイツ人は、どうもプライドからきちんとチケットを買っているように思えます。もし見つかったらということを、罰金の高さではなく、自分のプライドが傷つくと思っているような気がします。このプライドは、本屋での万引きに対しても同じようなことを感じます。中には、不正乗車をする人はいるでしょうが、そんな人たちには自分は属さないという誇りなのでしょう。日本人は、かつて持っていた誇りはどこに行ってしまったのでしょうか。
投稿者 fujimori : 2009年06月13日 20:51
コメント
これ有名なブラックジョークなんですが。タイタニック号が沈没しそうだ。まず女性と子どもを先にボートに乗せないといけない。男たちをどう説得するか。イギリス人の場合、「ジェントルマンなんだから」と言う。アメリカ人の場合、「ヒーローになれるぞ」と言う。ドイツ人には「これは規則だから」と言う。それではわが日本人ならー。「みんなそうしていますよ」と言う(笑)。国民性の違いを端的に表していますね。特にドイツ人は、自由と自律を大切にする国民のようです。指示や禁止の言葉が氾濫する我が国とはずいぶん違います。
投稿者 yamaya49 : 2009年06月14日 06:24
ドイツの地下鉄のように規制の少ない状況でこそ自律心は高まると思います。細かく決められた中で動くのと個々に任された中で動くのとでは、きついこともありますが、断然後者の方がいいです。確かに誇りからの行動かもしれませんね。環境に対しての考え方もそうかもしれません。マナーやモラルなども、誇りと深くつながっているようにも思います。自尊感情とも関係がありそうです。「あいつはプライドが高い」とか「プライドが傷つく」など、何となくいいイメージを持てていなかった言葉ですが、あらためて考えてみると、誇り・プライドは大切にしなければいけないと思えてきました。
投稿者 あいやま : 2009年06月14日 22:54
改札口があり、アナウンサーがあり、電車の発車ベルは鳴る日本の電車の駅の環境に比べると、ドイツの駅は全く逆で、とても自由ですね。ただ、それは自由と感じるより、一人ひとりのドイツ人が自律をしているから、他から注意されなくても切符を買わずに乗車したり、本屋では万引きをしないのかもしれません。そう考えると日本みたいに、何でもかんでも規制している環境は、ドイツと比べてしまうと規制しないとルールを守れないという風に捉えてしまいます。
投稿者 Sasuke : 2009年06月16日 23:50
藤森先生と一緒にミュンヘンを訪問した時地下鉄の乗り方で戸惑いを覚えたことを今でも思い出します。駅には駅員さんもおらず改札もそのまま通れる。これは凄い!と思いました。昨年はフランスのトゥールーズを訪ねました。地下鉄を利用しました。1日フリーパス券を渡され乗車しました。駅には駅員さんの姿を目にせず改札も無人です。そうそうミュンヘンの地下鉄でどの路線に乗ればいいか分からなくなった時は駅員さんがいませんでしたからそこにいた乗客の1人に「〇〇へ行く電車か?」と訊いて「違う、向こうの電車だ」と教えられたことを思い出しました。日本の大都市の駅には駅員さんがいつでも目に付き改札のところも駅員さんがチェックをいれています。この場合はおそらく「自動改札」でトラぶった時にすぐ対応するというサービス精神からのものでしょう。
投稿者 toshi0521 : 2009年06月21日 16:44