手触り

今、園ではあるデザインの会社の人とワークショップそしています。そのおもな意図は、子どもたちが触覚をどのように認識するかということです。たとえば、フロッタージュという擦りだしでは、さまざまな素材に上を当てて、それをクレヨンで擦りだしをします。以前、私の園で、遠足のときに保護者と子どもでチームを作ってもらい、各チームごとに模造紙を配り、周りにある大きな木を選んでもらい、その幹の樹皮の擦りだしをしてもらいました。そして、その紙をちぎって、大きな木を作ってもらったのです。そして、その枝に落ち葉を貼り付けて、どの木が立派かを競うものでした。
 物には手触りの違いがあり、それは触ってみて感じることですが、擦りだしは、擦ったものの表面のでこぼこを目で感じることができます。そのほかにも、でこぼこを感じる方法がいくつかあります。次に試みようとしているワークショップは、紙粘土をいろいろなものの表面に押しつけて、その型から感じようとするものです。それは、でこぼこを立体的に写し取ることができます。それをもっと実感して見てもらおうと、その紙粘土に筆で色をつけてもらいます。当然、へこんだところなどには色をつけにくいです。
 保育所保育指針には、表現領域に「生活の中で様々な音、色、形、手触り、動き、味、香りなどに気付いたり、感じたりして楽しむ」というのがあります。これは、いわゆる五感を養うというものですが、それがなぜ必要かは、新たの物の創造に結び付いていくからです。
 ドイツの乳幼児施設では、これら五感を養うものとしての教材が意識して用意されています。日本では、まだまだ何かをやらせよう、覚えさせようとすることが多いのですが、ドイツらしいと思うのが、それらを環境として用意し、科学に結び付けるのです。それは、別にドイツというわけではなく、ブログで何回かに分けて書いたECECでの取り組みなのでしょう。私は、これら五感を養うためには、子どもたちを自然の中に連れていけばいいのではないかということを考えます。自然は、五感を研ぎ澄まさなければ、感じることができないからです。しかし、ここにはいくつか問題があるかもしれません。それは、自然界にあるものだけでは、偏ってしまうかもしれません。また、どちらが先かわかりませんが、普段から五感を使うことをしていないと、自然の中に行っても、結局は大人が教えることになってしまうかもしれません。
 最近、ドイツに行って感じることは、この五感の中で、手触りを感じるようなものが多く見られることです。また、外国の保育教材カタログを見ても、そのような教具がたくさんあります。また、手作りで作ったであろうものもたくさんあります。
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手触りを感じることは、なにも創造に結び付くだけではありません。たとえば、胡桃を握っていると脳の老化が防げると言われています。ずいぶん昔のことですが、アメリカに行ったときに部屋の中に砂の代わりにコメを入れた砂場ならぬ米場で子どもが遊ぶ姿を見ました。それは、コメを握ることで、掌を刺激し、それによって脳が活性化すると言っていました。
 最近は、泥も、汚いと言って触らない子が増えてきました。それどころか、潔癖症からいろいろなものに触りたがらない子も、触らないように要求する保護者もいるようになりました。もう少し、物に触り、その手触りを感じることを積極的に、意識的に行う必要があるかもしれません。

手触り” への5件のコメント

  1. ヨーロッパでは、手作りの味わいがある遊具がたくさんあるとお聞きしています。
    五感で触れて新しい物作りに繋がっていくというものも素晴らしいですね。
    大人になって物づくりは本当に五感が必要なのを感じます。
    ブログを読んでいると、優しいもの、相手を思いやるもの、人間が愛するものなど、物だけに留まらず、幼い頃、そういうものは自然から学んだなぁと思いだしていました。
    ただ普段なんとなく遊具がナチュラルだからではなく、自分の幼少時の体験から思い出し、その手触りなどからもう一度深く学んでいきたいなと思いました。
    有難うございます。
    遠路、お疲れかもしれませんが、明日も臥竜塾ブログを楽しみにしています。

  2. 子どもと自然との関わりが最近の園のテーマでもあるのですが、普段から五感を使えていないと、どんなに周りに自然がたくさんあってもいい関わりはできないかもしれませんね。自然の中にいれば五感は養われるという考えもあるかもしれませんが、以前山の中でネイチャーゲームを体験したとき、五感を使って自然と触れ合っていない自分に気づかされました。「意識的に」取り組む必要はあると思います。「手触り」に関する報告をしっかり参考にさせてもらいます。
    ドイツ報告はやはり新鮮です。第2弾以降も楽しみにしておきます。

  3. 人は、初対面の相手との付き合いは握手で始まり、特に親しい相手だと抱き合ったり頬ずりをしたりすることもあります。触れることは、人とのコミュニケーションの第一歩です。赤ちゃんも、母親に頬ずりされたり抱かれたりして、愛情を感じることができます。また好奇心旺盛な赤ちゃんは、身近にあるものを触れたりなめたりして探求しようとします。未知の世界を知るためには触覚がとても大事なんですね。『動物はその定義からして、感受性を持っているものであり、基本的感受性を持つすべての物の中で、一番主になるものは触覚である。』(アリストテレス)-幼児期から触覚を磨くことは、感受性豊かな人間性を育むためにとても重要だと思います。

  4. 人間の五感、ということを耳にすると昔とった杵柄、仏教の般若経典中の一節「色聲香味触法」を思い起こします。五感すなわち聞く、見る、触る、嗅ぐ、味わう、ことを私たちは生活の中で鍛え上げていきます。しかし残念ながら加齢と共に、これら五感が徐々に鈍ってくることも事実です。ところで私たちはこの五感の中「聞く、見る、嗅ぐ、味わう」の4感は意識、無意識の双方で日常的に経験していますが、「触る」はよっぽど意識しないとその行為を認識できない、のではないかと思っています。これはもしかしたら日本にいるからかもしれません。園には触感を試す手作りおもちゃがありますね。初めて体験した時あまりの新鮮さに鳥肌が立ったことを思い出しました。写真の壁の遊び場は楽しそうですね。是非我が園にも作りましょう。

  5.  私が小さい頃に小銭の上に紙を置いて、鉛筆で擦ると小銭の模様がついて、それを丸く切ってお金を作って遊んでいたのを思い出しました。「フロッタージュ」というのですね。
     五感を養う教材や環境から、科学的な分野に結び付けようとするドイツの実践はとても勉強になります。写真の手触りの教材も何気ない場所にある事で、子どもが自然と働きかけようとするのですね。五感を刺激する決まり決まった教材もとても必要だと思いますが、手作りや自然などを取り入れた教材をさりげなく置いておく方が、個人的に案外、子どもは反応するような気がします。

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