自尊感情2

 QOL尺度で子どもの自尊心をはかる質問は、どんなものなのでしょうか。「自分に自信があった」「いろいろなことができるような感じがした」「自分に満足していた」「いいことをたくさん思いついた」です。「気持ち」の尺度を図る質問もそうですが、これは必ずしも子どもに対してだけでなく、私たちも自分を振り返る時にとても参考になります。逆に、これだけの質問で、子どものことがわかるかという疑問もありますが、これらの項目の各国の結果を比較すれば、日本の子どもたちが自分のことをどのように考えているかがわかります。ただ、よく自尊感情については疑問視されることですが、日本人と特有の自分をへりくだってみるとか、卑下するとかいう文化があると言われます。しかし、日本人は、「本当はこう思っているけれど」とか「自分を認めてもらいたい」という本心や欲求があるけれど実際にはそのようにふるまえない、つまり葛藤があります。ですから、そのことによるストレスがたまることになります。
また、このように抑圧されてきた本心は、周囲の人間、特に自分より弱いものに向かうことになると古荘さんはいいます。小児医師として相談を受ける中からの経験で言うと、その弱いものというのは多くは、自分の子どもに向けられることが多いようです。自分の子どもはこのように育ってほしい、こんな思いはして欲しくない、という感情です。少子社会では、それの思いは、親だけでなく、祖父母たちの一方的な期待(子どもたちにとっては要求)を背負うことになるといいます。この過剰な期待が、子どもたちの自尊感情を低める一つの要因にもなっているのではないかといいます。
よく子どもに様々な期待をする親を見て、「そんなにやらせたかったら、自分でやればいいのに」と思ってしまいますが、実は、子どもに対して期待をしているというよりは、親に自尊感情が育っていないということのようです。それは、子どもに対して過度の期待をするだけでなく、相談を受ける中で、「自分はこんなにつらい思いをして子どもを育てているのに、子どもはそれをまったくわからない、馬鹿にされた感じがする」そして、その気持ちを抑えきれずに手を挙げてしまう親が多くなってきたことを感じてきているようです。自尊感情は、自分に対してだけでなく、自分の子どもにも、社会にも、生活にも影響してくるのです。
「日本の子どもの自尊感情~」の本では、自尊感情などQOLについてドイツとオランダとの比較が書かれてあります。特にオランダでは、ブログにも登場したことが何度かありますが、世界一子どもの幸福度が高い国、また、子どもが孤独を感じる国の中で最も低い国として紹介されています。当然、QOL尺度でもかなり高い得点を出しています。この本の中でも、リヒテルズ直子さんの協力のもと行った調査結果が掲載されています。
もちろん総得点は高いのですが、特に情緒的ウェルビーイングが最も高く、オランダの子どもたちは自分自身の現在の生活にかなり高い評価を持っています。また、自尊感情については、日本の子どもの46.1という得点に対して、72.5という得点です。ドイツでさえ、67くらいはあります。
オランダにおいて、自尊感情が高いのは、リヒテルズさんは、教育システムにあるのではないかと言っています。どのような違いがあるのでしょうか。

自尊感情2” への4件のコメント

  1. 自分自身のことを考えても、自分をへりくだってみて、不必要なストレスを抱えているかもしれません。自分自身の自尊感情はどうだろうと考えさせられます。
    最近になって、いまさらではありますが、何かを任されることで前向きに活動に取り組めるようになることを実感できるようになりました。一方的な期待からさせられるのではなく、信じてもらい任せてもらうことで自発的に活動する意欲が生まれてくるのを感じています。信じてもらい任せてもらうこと、主体的に活動できる環境を用意することは、大人にとっても子どもにとっても大切なことなんだと、あらためて思います。

  2. 「日本人特有の自分をへりくだってみるとか、卑下するとかいう文化がある」、よって欧米の「自尊感情」は日本人の気質に合わない、と仰る評論家がおりました。この方の「日本人の気質」とは一体いつの時代のそれでしょう。日本の歴史を紐解くとわかることですが、いつの時代にも須らく共通する「気質」などはそう容易に見出せないはずです。そして「気質」の一般化、普遍化が招いた悲劇を私たちは歴史に訪ねることができます。「時代」の要請を私たちは軽々しく扱うべきではない。地球規模のグローバリゼーションという怪物に私たちは人類史上初めて遭遇しています。そうした時代性を相対化したとき「自尊感情」「自信」の持つ意味はこれまでのどの時代より重要であることがわかります。

  3. 今週1週間はブログのアップがないというので、ちょっと油断していたら、順調に届いていてびっくり!それに時差のせいかいつもより早くて、ついうっかりしてコメントを1日間違えて入れてしまいました(笑)。子どもだけでなく、大人もQOL尺度で自己診断してみるのもいいですね。『本当はこう思っているけれど』とか『自分を認めてもらいたい』という心は私にもあります。保育の専門家でもないのに、藤森先生の保育をこうやって学ばせてもらっているのは、その葛藤を克服したいからなんだろうなあと思います。別に、保育学を究めたいのではなく、生き方の指針を藤森先生のお話から吸収したいだけなんです。このブログのおかげで、少し自分に自信がついた。(商売以外にも)いろいろなことができるような感じがした。(コメントを書くために)いいことをたくさん思いついた。今、QOL尺度で診断してもらえば、結構いい数値が出そうです(笑)。

  4. 自分の子どもがこのように育って欲しい、こんな思いはして欲しくないという感情があり、それを子どもに言ったとしても、それは過剰な期待により、子どもにとっては大きな負担になり、それが子どもの自尊感情の低下の要因につながっていたとは、思ってもいませんでした。またそのような親も自尊感情も育っていないのですね。
    自信がついた、色々なことができるようになった、いいことをたくさん思いついたなど、言葉で言って子どもに負担をかけるのでなく、子どもが自分から実感できるように援助してあげることが大切なんですね。

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