おもと

 大分県の宇佐に行ってきました。この地のブログは以前に書きましたが、宇佐神宮で有名なところです。この宇佐神宮の神様が降り立った山として崇められ、現在でも本当の頂上は神域として立ち入り禁止区域になっている「御許山」(おもとやま)が、宇佐神宮の奥の院としてそびえています。たいして高い山ではありませんが、宇佐平野のどこからでも見えます。この「御許山」は、「大元山」と表記されている地図もあるようですが、宇治神宮の神が降り立つというと、たぶん、「御許山」でしょう。
 地図を見ていると、この山が、「万年青(おもと)」の発祥の地と書かれてありました。この名前の由来は、万年青の根茎が太く大きいことから「大本・大元(おおもと)」といわれ、それが「おもと」になったという説がありますが、ここ「御許山」で500年位前に自生していた珍しい品種を採取して育てたのが始まりで、この地から良質の万年青が産出されたことから「おもと」になったという説が有力です。そして、寒い冬にも緑の葉の色を変えないところから「万年青」の文字があてられたといわれています。
 この「万年青」は、知る人ぞ知る植物で、昔からめでたい植物、縁起の良い植物と言われ、慶長11年に徳川家康公がおもとを床の間に飾って江戸城に入城したことでも有名な「伝統園芸植物」で、春蘭、富貴蘭等同様の人気があります。その魅力は葉姿や色彩、葉芸の変化だと言われ、茶道の「詫び、寂び」の境地にも通じており、その色彩と葉姿の中に自然の織り成す芸は千変万化で貴品があるといわれています。
 私が若いころにある地域のお父さんたちと子ども会を作り、その顧問をしていた時のことです。その地域に、「おもとのおじいさん」と呼ばれている万年青をたくさん育てているお年寄りがいました。そのお年寄りに万年青の話をすると、喜んで、得意げに万年青の話をしてくれます。また、「クモの博士」と呼ばれているお年寄りがいました。その家には、玄関先から奥の部屋まで、クモの飼育箱が並んでいて、世界中のクモを飼っていました。そこで、子ども会のお父さんたちと「地域にはいろいろな特技や趣味をもったお年寄りがいるね」「せっかくだから、この人材を子どもたちに使えないだろうか」という話になり、子ども会のリーダーの子どもたちに「地域に、どんな特技を持ったお年寄りがいるか、調べてみない?」と持ちかけました。そこで、「地域お年寄り地図」を作ろうということになりました。子どもたちは、子ども会の日、地域センターに集まり、グループに分かれて、地域のお年寄りを訪ねて、いろいろな話を聞いて回り、そのあとセンターに集まって、地域の地図の中に、どの場所に、どんなお年寄りがいるかを書き込んでいきます。そして、みんなが調べ終わった後で、各グループのリーダーが、調べた結果を発表します。
 この活動が評価されて、社会教育の映画化されることになりました。今でも社会教育関連の貸し出し16ミリフィルムの中に、確か「輝け!子どもたち」というタイトルで所蔵されているところがあると思います。
 その映画は、1日の活動を追ったものでしたが、実際は二日間かけて撮影されました。子どもたちは、とても自然にふるまってくれましたが、私を含めて大人たちは、なんだか頬がひきつっているようです。万年青から連想した懐かしい思う出です。

おもと” への4件のコメント

  1. 昨日のコメントがアップされなくてへこんでいますが、気を取り直して…(笑)。このあたりでも、若い人が出てしまってお年寄りだけの地域が増えてきました。限界集落というやつです。昨日お邪魔した保育園でも、そんな地域に住むお年寄りが時々ふらっとたずねて来て、職員室で職員と茶飲み話をして帰っていくそうです。子どもたちの声を聞くと元気になるからとわざわざお茶菓子まで買ってやってくるというのです。「そんなお年寄りに気軽に園に来てもらって、子どもたちに得意の伝承遊びを教えてもらいたい」と園長先生。年長児なら藤森先生のように、「地域お年寄りマップ」を作るのもいいアイデアですね。前から気になっていたんですが、藤森先生出演の「輝け!子どもたち」はどこへ行けば借りれるのでしょうか。

  2. 地域のお散歩マップのようなものは作ったことがありますが、「地域お年寄り地図」はさすがに思いつきませんでした。お年寄りと話をしていると、ぜひ子どもたちに見せて欲しいと思うような魅力的な話を聞くことができるときがあります。そうした財産も生かすことを考えなければいけませんね。おもしろい活動です。

  3.  「地域お年寄り地図」というのは面白そうですし、そんな発想はなかなか出てきません。だから16ミリフィルムにもなったのでしょうね。ことわざでの「昔とった杵柄」ではありませんが、何故かお年寄りの方というのは、物知りがとても多いと思います。それは私の祖父母を見ても思います。やはり、長年培ってきた経験でしょうか。また「子どもとお年寄りが関わることは、脳にとても良い」と藤森先生の講演でお聞きしました。子どものお迎そのとき、園児のおばあちゃん、おじいちゃんがお迎えに来られます。ですが、自分の孫以外に他の子どもとじっくりと触れ合う機会がなかなかありません。せっかくなので孫以外の子どもと触れ合えるような企画を考えたいと思いました。

  4. 万年青「おもと」が一体どんな植物かわからずネットで調べてみました。どこかで見たことがある花をつける野草ですね。しかしその歴史は古くしかも「徳川家康」ゆかりの草となればただの「おもと」ではすまなくなります。さらに藤森先生の子ども会時代の「おもとのおじいさん」となると最早特殊さ以上にその普遍性に思いを馳せざるを得ません。「万年青」という漢字がいいですね。万年青ですから鶴は千年亀は万年と同様「永生」の雰囲気が滲み出ます。大分県宇佐市が「万年青」の発祥地ということも頷けます。源氏の氏神様は「八幡神」。徳川家は源氏ですから「万年青」を愛した家康が豊後の国宇佐にルーツを求めたとは考えられないでしょうか。おもと=「万年青」。いい響きです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong> <img localsrc="" alt="">