韓国の分析では、韓国でコーナー保育が機能しているのは、「日本ではプレイルームもたくさんあるので教室を細かくコーナーで区切らなくても、子どもたちがもめずに、自分の居場所を見つけて遊べる。しかし、韓国は日本と比べてグラウンドも施設も狭いので、狭いスペースで遊ばせて、子どもたちをそのままにしておくともめるばかり。だから環境的な面からみても、韓国ではコーナー保育が役立った」としています。しかし、私が委託された研究での調査ではとても面白いことがわかりました。保育園においてコーナーの設置に影響するものに違う理由が現場では起きていたのです。
保育室の活用は、国で定められている最低基準に関係なく、その使い方は各園で工夫をしています。特に生活の場面が多い保育園では、どのように保育室を使うかは大きな課題です。実際に調査をした結果を見ると、その中で、食事、午睡、遊びの行為の切り替えが課題であるということがわかりました。住宅でも、かつてのそこで遊び、食事をし、寝るといった日本の茶の間から、3LDKというようにそれぞれの機能別に部屋が分かれてきました。さいきん、学校ではランチルームのように、教室で食事をとらないで、別室でとるところが増えています。また、同様に幼稚園や保育園でもランチルームがあるところが多くなりました。
調査では、0歳児、1・2歳児では、食事や午睡を行う場所は約9割の保育所で保育室を使用していたのに対し、3歳以上児になると、一つの行為に対して、保育室だけでなく、遊戯室や食事室など、さまざまな場所が使用されています。それぞれの機能でそれぞれの部屋が分かれているのは理想ですが、実際はそんな贅沢なことはできませんので、その使用の工夫を、実際はどのように行っているかの調査でみると、食事、午睡ともに保育室で行う割合で53.7%、食事が保育室、午睡が遊戯室など別な部屋というパターンが27.5%、食事室で食事をとる場合は10%程度ですが、そのあと、食事室から保育室へ戻り午睡をするパターンは6.4%でした。
すると、食事を食事室でとる場合と、食事室を設置していないが食事と午睡が別の部屋の場合と、食事と午睡を同じ場所で行っている場合を調査してみると、この関係が意外と保育内容や遊びコーナーに影響していたのです。食事室を設置することで保育内容に影響しているものは、食について学ぶミニキッチンの設置について、有意差が見られました。
しかし、食事室の有無よりも、食事と午睡の場が別であるかどうかの方が影響していました。特に、最近問題になっている保育園における午睡をするかしないかでは、「午睡をしない子どもが過ごせる場所がある」について大きく影響していました。
また、保育室に常時設置されている遊びコーナーの中で、ままごとコーナー、絵本コーナーなどは割とどんな条件の中でも比較的設置しやすいコーナーのようですが、造形コーナーやブロックコーナーなどは、食事室があることや食事と午睡の場を分けることが影響していました。分けることで、保育室内に空間的な余裕ができ、その結果、子どもたちが常時、造形遊びやブロック遊びができる空間ができるようです。
保育園の生活の中で大きな時間を占める食べることと寝ることを、もう少し人間らしく保障することが結局は大切であるということですね。
一言で言って、日本の幼稚園の保育環境は小学校がモデルで、保育園は昭和30年代頃の家庭をモデルにしているんじゃないかと思っています。家族が寄り添って、狭い茶の間が生活のすべてだったあの頃です。以前の指針にあった「家庭的な雰囲気」という文言はこんな家庭をイメージしていたのでしょうか。それにしても「遊」「食」「寝」を分けることはなかなか難しいですね。年齢別で保育室を使うことをやめて、子どもたちは異年齢のチームで生活するようにしないと、どうやっても「遊」「食」「寝」を分けることはできませんね。でもそれができて初めて、保育園が子どもたちの「学びの場」に生まれ変われることができると思います。
食べることと寝ることをきちんと保障することが、結果的に遊びの充実につながっていくというのは面白いですね。イメージでは遊びのスペースが狭くなってしまうように感じると思うのですが、実際にやってみると結果はその逆です。生活の流れを大事にして子どもの活動を考えることが大切なんですね。
寝食遊のスペースをしっかり区別することが、空間の質を高める効果があるのですね。ただ、建物の構造上3つの空間を分ける事が出来ない場合が多くあると思いますが、それでも工夫をすることで、保育内容や遊びに関して大きく影響するのは、とても重要なことです。確かに、遊ぶスペース常に確保する事によって、子どもは安心して、いつでも遊びに集中できますし、午睡部屋も分ける事で、落ち着いて体を休めることも出来ます。保育室の空間を考える場合、一人の人間が生活する場所として考えてあげる必要があるのですね。
前回私が出した要望が早速今回のブログで答えられておりました。「食事、午睡ともに保育室で行う割合で53.7%、」なるほど。「食事が保育室、午睡が遊戯室など別な部屋というパターンが27.5%」ふむふむ。日本の保育園のおよそ9割は「遊ぶ」「食べる」「寝る」という生活の場をまともに考えていない、ということがよくわかります。「建物の構造」がまともに「遊ぶ」「食べる」「寝る」という生活の場を考えることの妨げになっている、ということをよく耳にします。本当にそうでしょうか。私が以前勤めていた保育園は当初53.7%の仲間でした。数年かけて27.5%の仲間に移りました。やろうと思えば「建物の構造」が妨げにはならないことを経験しました。考え方を身につければ変えられるのに。