空間の質

 日本の保育室は狭いので、コーナーなどは設置できないと思っていますが、コーナー保育が充実している韓国では、その理由をこう考えているようです。
「日本では外で遊べるオープンスペースが広く、プレイルームもたくさんあります。だから、教室を細かくコーナーで区切らなくても、子どもたちがもめずに、自分の居場所を見つけて遊べるのです。でも、韓国は日本と比べてグラウンドも施設も狭いので、狭いスペースで遊ばせて、子どもたちをそのままにしておくともめるばかり。だから環境的な面からみても、韓国ではコーナー保育が役立ったんですね」
子どもがもめるので、コーナーを作ったというのは面白いですね。というのは、普通であれば、このコーナーを使う時間帯は「自由選択遊び」と位置付けているように、先生が一斉に何かやらせるのではなく、子どもたちがやりたいことを自由に選択できるための環境のためだと思いますし、日本では、広いので自分の居場所を見つけやすいけれど、狭い韓国では見つけにくいので、コーナーで区切ったといいます。日本のように、ただ広い空間の方が、自分の居場所を見つけにくいと思うのですが。
 もう一つ、環境の質として、その空間にどのようなものの環境を用意するかを考えないといけないと思います。たとえば、あるコーナーには、テレビが置いてあって、いつでもお笑いが見れるとか、あるコーナーには漫画が置いてあるとか、テレビゲームを一日中やることができるとかいうことで自分の居場所を見つけてはおかしなことになります。韓国では、どんなものを用意しているかというと、まず、教材の量は日本の比ではないくらい多いようです。これは、ドイツやフランスに行っても感じることですが、棚いっぱいに積まれてあります。日本では、目移りするからとか、散らかすだけだからと言って、ほとんどない状態です。ですから、子どもが遊ぶものを選ぶというよりも、先生が出して遊ばせるような保育になってしまうのでしょう。さすが、教育にかけるお金が対GNP比で7.1%もあり、世界第2位のわけです。
 そんな教材の中で、最近「21世紀に向けての創造性開発としてのアイデンティティ定着のための伝承遊び教育」が意識的に取り組まれているようです。私の園でも、「伝承遊びゾーン」が用意されています。
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その意図を私は、「所属観をきちんと持つことにより、自尊感情を持ち、世界に貢献できる人材となる」と思っています。
 その他、すごろくなどのような社会領域を学ばせる目的のものや、発想を刺激するものも多いようです。たとえば、コンピュータにしても、それを使って自分の遊び道具を作ったり、お話をインターネットで調べたりするときなどに使うようです。
 「こどもにとって良い環境とは?」ということはとても難しいことです。それは、生きることの意味を問うているようなものだからです。しかし、少なくとも、「こうしてあげよう」「このようにさせよう」ということではなく、レッジョ・エミリアの教育方法の創設者のひとりであるローリス・マラグッツィさんが言っているように「子どもは教えさえすれば受動的に学ぶのではなく、子どもが何か自ら主体的に行為する中に学びは存在している」ということを再度確認すべきだと思います。

空間の質” への3件のコメント

  1. 『子どもは教えさえすれば受動的に学ぶのではなく、子どもが何か自ら主体的に行為する中に学びは存在している』ー藤森先生の見守る保育の理念と全く合致しますね。レッジョエミリア、イエナプラン、そして我らが省我プラン。生まれた国土は違っても、子どもを人格者として認め、その可能性を最大限に信じる心は共通しています。童門冬二さんが、「グローバルなものの見方」と「ローカルに生きる」ことを合わせた「グローカリゼイション」と言う考え方を提唱しています。藤森先生を通して、世界の保育を居ながらにして学ぶことができる幸せを感じています。

  2. 所属感という言葉を先日聞かせてもらい、その大切さを強く感じました。それまで伝承遊びの持つ意味や大切さを理解していたつもりでしたが、深いとことまで分かっていなかったことを気づかされました。伝承という言葉からはなかなか未来とか新しいものというイメージを持ちにくかったのですが、「創造性開発としてのアイデンティティ定着のため」「自尊感情を持ち、世界に貢献できる」と考えればいいんですね。単に環境設定といっても、その方法は様々です。その環境を少しずつでも向上させていけるよう、新たに取り組み始めるきっかけをもらいました。

  3.  確かに空間の質を考えるというのは、なかなか難しいですね。数式の解答のように答えが決まっているわけではありません。時代も少しずつ違ってきますし、一人ひとりの子どもの発達も違います。ですから、そういうものに柔軟に適応できる環境、空間が必要だと思います。そんな中、韓国やドイツ、フランスのように棚の中に教材をたくさん置くことによって子どもが自分から自分の発達に合うものを選べますし、「伝承遊び」のコーナーを用意する事によって所属感を持たせる、など環境を用意する上でヒントはいくつかあると思います。ただブログも最後に書かれていますが、子どもが自発的に行動する事が学びが存在しているという事は忘れずにいようと思いました。

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