群言

 いろいろな地域を訪れると、メイン通りはシャッター通りと化し、人通りもまばらな地域と、地方なりの特色を生かした産業を興し、活気があるとか、その地域を活性かるような人がいたり、小さな村でも東京だけでなく、世界にも名が知られるような実績を残している企業があったりと、単純に地方だからとか、過疎だからとか、なにも資源がないからだということがが単に言い訳に過ぎないことを実感することがあります。昨日のブログで紹介した「元気なモノ作り中小企業300社」に選ばれた「中村ブレイス」もそうでしょう。
 国土交通省では、従来型の個性のない観光地が低迷する中、各観光地の魅力を高めるためには、観光振興を成功に導いた人々の中から「観光カリスマ百選」として選定して、選ばれた方々の経歴や事績などについて紹介しています。それは、彼らのたぐいまれな努力に学ぶことが極めて効果が高いと考えられるからとしています。
「中村ブレイス」と同じ世界遺産に指定されたる島根県の石見銀山を本拠地に全国展開している衣料・雑貨の会社があります。この会社は、小田急デパート、そごう、三越恵比寿店などで素材にこだわった衣料・雑貨を販売している「群言堂」です。この会社は、TV東京「ガイアの夜明け」でも特集もされていました。「復古創新」がコンセプトで、田舎暮らしで産まれてくるものを都会で売ることで、廃れそうになっていた技術を残そうとしています。この本社は、年商10億円の利益を茅葺きの古民家の移築、石見銀山の町並み再生につぎ込み、カフェやギャラリーを併設し、二回からは、その中に輪を望むようにして休憩室の広間があります。
gungendoniwa.JPG
その店の代表である松場登美さんと大吉さんご夫妻が「観光カリスマ百選」に選ばれました。その名称も「わらしべカリスマ」。自然体の発想で、銀山町のにぎわい再興を仕掛けたということが評価されました。その発想は、「それぞれの夢を大切にし、個人が光り、その結果、町も光る」で、ユニークな企画を次々と繰り出し、町が活性化するとともに、地域住民のふるさと意識を高め、自らデザイン・販売する生活雑貨は、石見銀山の生活文化を発信し、観光客の増加に貢献したとされています。
松場さんは、「一口に言えば、石見銀山大森町にこだわりながら、この町にあるごくふつうのものをデザインし、情報発信したい。そしてそれに共感してくれる人たちが町を訪れてくれたら。」 ということで「石見地域デザイン計画研究会」を立ち上げました。さまざまな地域活性のための、活動をしていったのですが、当時を振り返り松場さんは「はじめから地域をなんとかしよう、という発想はなかった。会員それぞれの夢を大切にし、個人が光り、その結果、町も光るという発想を貫いてきた。」と言います。
さらに、交流の場として、文明を排除した家「群言堂」を作ります。中国の友人が命名したそうですが、「一言堂」という一人の権力者の発言で率いられる世界とは反対に、群となった人たちがそれぞれに発言しつつも一つの良い流れを作ってゆく世界ということで「群言堂」と名付けます。
gungendo.JPG
松葉さんが感じている美意識とは、よそにない自然や歴史を背景にした素材で勝負することのようです。「自然というのは柿の葉っぱを見ても、一つとして同じものがない。私はその違いが好き。だから、布を企画するとき、織り方や糸、染めについて微妙に違うムラがある感じを出したいと思う。朽ちた土壁から、わらが見える様子もすごくきれいに感じる。そういうことも素材に生かしたいのです。」
地域を生かし、地域を信じることから、地域の美が生まれてくるのです。

群言” への5件のコメント

  1. 高速道路の1000円割引の影響で、先日のGW、当地の有名なうどん店は県外ナンバーの車が長蛇の列で、どこも大賑わいでした。でもあの方たちは、うどんだけが目当てのようで・・・。もし、時間があれば、瀬戸内海の直島に足を延ばしてほしいですね。今、この島が隠れたブームを呼んでいるようです。ベネッセが安藤忠雄氏に設計を依頼したベネッセハウスを中心に、クロード・モネ、ウォルター・デ・マリア、ジェームズ・タレルの作品を永久展示した地下美術館、島の古民家を生かしたアートプロジェクトと瀬戸内海を望む景勝地が、現代建築やアートと見事なコラボを見せてくれています。石見の群言堂のプロジェクトとはずいぶん趣が異なりますが、『よそにない自然と歴史を背景にした素材で勝負する』点では共通していますね。藤森先生をぜひ直島にご案内したいと思っています。

  2. 「それぞれの夢を大切にし、個人が光り、その結果、町も光る」はどこかで聞いたことがあると思ったら、昴の話と同じですね。「群言」、いい言葉です。何度か行ったことはありますが、「BURA HOUSE」の名前しか目に入っていませんでした。あらためて行ってみようと思います。
    「地方だからとか、過疎だからとか、なにも資源がないからだということがが単に言い訳に過ぎない」というのは本当にそうですね。耳が痛いです。私もできない理由ばかり考えてしまうことがありますが、それを反省し、しっかりと地に足をつけて目標に向けて進んでいきます。

  3.  「群言堂」というお店は初めて聞きました。また「群言堂」の意味を聞いて、とても素敵な名前だと思いました。それにしても年商10億円というのは凄いですね。しかも本社が島根の石見銀山、「中村ブレイス」と同じ場所にあるのですね。なんだか不思議な感じがします。
     そんな二つの会社は東京みたいな都会でなく島根の山の中に本拠地があるにも関わらず、日本中に展開し、世界へと発信できるというのは本当に凄いと思います。群言堂のオーナーの松葉さんの「夢を大切にし、個人が光り、その結果、町も光る」の言葉のように、素敵な個が集まれば、良い町ができるのですね。これは藤森先生と同じ意味だと、個人的に感じました。

  4. 自分も先生方のご指導ご鞭撻を糧に先生方のご記憶に残れる業者になるべく精進したいと片田舎から密かに決意しております。

  5. 「地域間格差」が喧伝され、まるで東京の1人勝ち的雰囲気が充満している日本にあって、各地がその地域の特色をアピールして全国から注目を浴びる、という話を聴くととてもうれしくなります。「カリスマ」と称される方々が登場します。私はその呼称に軽薄さを感じますのであまり好きではないのですが、今回のブログで紹介されていた「カリスマ」の方の言葉には他の「カリスマ」との共通語を見出すことができます。「こだわり」「デザイン」「発信」そして「共感」。今からの時代において人々や地域、あるいは時代そのものを牽引していく人たちのキーワードとなるのではないか、と思っています。そして松葉さんの言葉にある「違い」を大切にするということが「共通語」となっていくのでしょう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong> <img localsrc="" alt="">