自尊感情

 なぜ、「自尊感情」が必要なのかということで海外ではこんな報告がされているそうです。自尊感情の高い子は、情緒が安定し、責任感があり、社会的適応能力が高い、成績が良い、他の子どもたちや先生とのトラブルが少ない、社会規範をよく守る、授業態度がよくクラスのまとめ役の行動をとるなどの特徴がみられ、さらに重要なこととして、逆境に強いことがあるそうです。ですから、いじめに屈することも少なく、他人の目を気にしない、失敗に動じない、悪い仲間の誘いを断り、「いやだ」と拒否することができるなどといった報告がされていると「日本の子どもの自尊感情はなぜ低いか」(古荘純一著)に書かれてあります。このタイトルを見ると、日本の子どもは、前にあげた行動をとらない子が多いということになります。
 古荘さんが、本書で紹介しているQOL(Quality of Life)尺度は、もともとは1965年に自己についての価値観評価の程度を自己報告するものとして開発されました。しかし、この中には、子どもの生活に関する質問が少なく、子どもに対して生かすことが難しいところがありました。それをこのQOLという概念を用いて子どもの支援に結び付けようとWHOが開発研究をしました。そのメンバーのうち2人のドイツの研究者が独自で子ども版のQOL尺度を開発しました。この尺度が本書で紹介されていますが、「Kid-KINDL」と名付けられ、非常に簡潔で、子どもの状況を客観的に把握し評価するのに役に立つと、国際的に高く評価されました。これは、「子どもの主観的な心身両面からの健康度・生活全体の満足度」と定義され、年齢と対象ごとに5種類作成されています。
その中に4~7歳児対象の幼児版もあります。幼児に関しては、子ども自身が質問に答えることには限界があり、親に質問しているものが多くあります。8歳以上では、6つの領域で構成されています。身体的健康度(Physical health)、情緒的ウェルビーイング(気持ち)(Emotional well-being)、自尊感情(Self-esteem)、家族との関係(Family)、友達との関係(Friends)、学校生活(School)という領域を見ると、どんな評価が少しわかります。いま、日本でも研究されている子どもの評価では、Sicsという「子どもたちのエピソードから始める自己評価法」というものですが、そこでは、「安心度」(Wellbeing)と「夢中度」(Involvement)から子どもの活動を評定しようとするものです。どちらにも「ウェルビーイング」という言葉がありますが、その観点から子どもを見るのもとても大切です。しかし、実際は、どんなことなのでしょうか。QOLでは、質問に関して、最近1週間の状態として「いつもそうである」「たいていそうである」「ときどきそうである」「ほとんどそうでない」「まったくそうでない」の5段階で子ども自身に答えてもらうものです。たとえば、情緒的ウェルビーイングでは、小中学生に対して、「楽しかったしたくさん笑った」「つまらなく感じた」「孤独のような気がした」「何もないのにこわくなったり、不安に思った」という質問です。この質問を、親にも「私の子どもは」という言葉を最初につけて行われるようです。そこでは、保護者が子どものQOLをどのようにとらえているかを客観的に知ることができるようです。
 古荘さんの本では、これらの領域の中の「自尊感情」について日本の子どもと外国のこどもを比較しています。そこを考えてみます。