風呂敷と手ぬぐい

最近、漫画「サザエさん」の復刻版が出版されていますが、その漫画を読むと、その時代がよくわかります。今と変わらないところと、当時はよく見かけたのに、最近は全く見かけなくなったものがあります。その一つに、緑色の唐草模様の大風呂敷を背負って、
頬かぶりをし、口の周りにはぐるりと髭が生えているような空き巣や泥棒があります。
絵にかいたような空き巣の特徴は、その風貌だけではありません。忍び込んでくる姿も「抜き足、差し足、忍び足」です。この言葉も、最近、聞かなくなりました。これは、泥棒の歩き方ですが、子どもの頃に、何か悪いことをして逃げる時や、親の目を盗んでおやつを食べようとするときなどにも使いました。そして、サザエさんの漫画に出てくる泥棒は、どこか間が抜けていて、憎めないところがあるように描かれていることが多いようで、ずいぶんと、盗むほうも、盗まれるほうもおおらかだったですね。
ところで、この泥棒がかぶっている手ぬぐいは、昨日のブログの「姉さんかぶり」ではなく、その名の通り、「盗人かぶり」と呼ばれるかぶり方です。このかぶり方は、頭から頬にかけて包み、あごのあたりで、そのまま結ぶか、ねじって結ぶ「頬かぶり」の一種です。しかし、あごの下あで結ぶのではなく、手ぬぐいの両端を左脇にひねって挟み込むか、鼻の下で結びます。最近の強盗や泥棒は、マスクをしたり、ストッキングをかぶったり、外国では覆面をしたりして顔を隠しますが、日本では、このように手ぬぐいで盗人かぶりして人相を隠していました。
また、泥棒が背中に背負っている盗品を包んだ風呂敷の模様の多くは、緑色の唐草模様です。唐草模様というと、学校で習った、ギリシアの神殿などの遺跡でアカイア式円柱などに見られる草の文様が原型です。この文様は、「アラベスク」と言われ、繁栄を示していたためにアラブ諸国ではモスクの装飾としてよく用いられます。そして、メソポタミアやエジプトから各地に伝わり、日本にもシルクロード経由で中国から伝わってきました。
一方、物を包む布としての風呂敷には、その文様として花鳥風月を題材にするものが多く、吉祥文様など日本独特な文様が使われました。唐草模様のそのうちの一つで、江戸時代には、唐草は四方八方に伸びて限りが無く延命長寿や子孫繁栄の印として大変縁起が良い物とされていました。ですから婚礼道具や布団などを唐草の風呂敷で包んでいました。それが、明治から昭和にかけて大型風呂敷の文様として大量生産されたために、獅子舞のかぶり物や泥棒の小道具としてよくつかわれるようになったようです。
最近、泥棒は手ぬぐいや風呂敷は使わなくなりましたが、違う意味で、この両方は使われています。
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手ぬぐいは、装飾用だけでなく、その名の由来のような手をふくのにもつかわれています。素材が綿なので吸水性が良く乾き易いのはもちろんですが、最近、菌対策にも効果があるそうです。手ぬぐいは、ハンカチやタオルなどと違って端っこは「切りっぱなし」ですが、それは、汗を吸ったために生地の中で雑菌が繁殖するのを防いでいるのだそうです。また、「ほつれ」が出てきても、その糸をハサミでカットするだけで、ほつれた部分は3?5ミリ程度で止まるようにできているそうです。
風呂敷も、最近の過剰包装から、エコ、リユースという観点から見直されています。復刻版サザエさんから見直すものが見つかるかもしれませんね。

風呂敷と手ぬぐい” への5件のコメント

  1. 明治生まれの祖母は、部屋の掃除をするときは、手拭いで頬かぶりをしてました。
    畳に、出がらしのお茶葉を撒き、箒で掃いてました。子供の頃は「おばあちゃん、なんでちらかしてるの?」なんて聞いてました。が、今は財産です。
    祖母は、普段から着物でしたので、よくたすき掛けをして家事をしてました。
    今、思うとサザエさんの「おふねさん」そのもです。
    今宵は、祖母の思い出に浸ります?

  2. 昔のちびっこギャング(懐かしい!)のヒーローは、なぜか背中にマントをたなびかせて颯爽と登場、なんてことが多くて、ずいぶん真似したものです。古くは、月光仮面。頭に白い手ぬぐいを巻いて、夜店で買ったセルロイドのサングラスをかけて、風呂敷を首に巻いて、自転車にとび乗れば、正義の味方に大変身!それから黄金バットもパーマンも、風呂敷のマントが遊びの必須アイテムでした。。僕は、ガキ大将にはなれなかったので、主役を張った覚えがありませんが…。テレビゲームにうつつを抜かす(失礼!夢中になってる)今の子供たちには、想像もつかないような遊びの世界です。

  3. 手ぬぐいで食器を拭いたりしますが、吸水性の良さと乾きやすさから非常に重宝しています。飾ったりかぶったり拭いたりと、用途の広さには驚かされます。
    GWは空き巣に注意という新聞記事がありました。長期間留守をしていることに気づかれないようにという内容でしたが、長い休みは楽しみだけではないのですね。サザエさんに出てくるような泥棒なら心配は要らないかもしれませんが、こっちは心配の多い話です。

  4.  泥棒の姿と言えば、手ぬぐいを被って、唐草もようの大きな風呂敷を背負っている姿を想像します。確かに、どこか愛嬌があり、憎めない存在のように描かれていると思います。
     手ぬぐいは先がほつれているので、どうしてタオルみたいに綺麗に縫わないのかとても気になっていました。それには、菌が繁殖するのを防ぐ為や、ほつれが出ても最小限に防ぐなどの重要な理由があったのですね。またブログに書かれていますが、過剰包装もどうにかならないかな?と常々思います。本一冊に対してダンボールを使うなんて冷静に考えても無駄のような気がします。風呂敷を使うのはモダンで良いと思いますし、少なくとも、私はもらったら嬉しいとです。

  5. 私の実家にも「唐草模様」の「大風呂敷」がありましたから漫画か何かで「泥棒」が使用しているのを見た時は「まさか、うち泥棒?」と愚にもつかないことに思いを馳せたことがありました。唐草模様の風呂敷はその後ご近所のお宅でよく見かけ、やがて風呂敷もポリエステルか何かに素材が変わっていき、やけにツヤツヤスベスベしている、という印象を持ちました。一升瓶のお酒が風呂敷に包まれ我が家へ届けられたり、逆にそうして贈ったりしていましたね。今では紙袋やビニール袋に入れてお酒などは贈りますか。「手ぬぐい」の芸術性については園で学んでいるところです。たかが手ぬぐいされど手ぬぐい、です。額縁に飾られた「手ぬぐい」はいつ見ても見事です。いろいろなことが学べます。

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