漢字

最近は、漢字が読めない人と、どのくらい漢字が読めるかを試す人がニュースで話題になっています。それだけ、漢字が注目を浴びているということでしょうが、確かに私の子どものころの国語のテストは、「よみ、かき」というだけあって、漢字の読みと、漢字の書き取りテストが必ず入っていました。それに加えて、最近は言わなくなりましたが、書き順も、送り仮名やはねるか止めるかなども覚えました。読みでは、わざと普段は使わないであろう特殊な読みを問う問題がありました。たとえば、「行脚」とか「行灯」などは未だに覚えていますが、なかなかそんな言葉を使う機会はありません。
また、同じ発音でも、その前後関係で使う漢字が違います。たとえば、はっきりと「橋」と「箸」のように意味も全く違うし、漢字も全く違う場合はいいのですが、微妙なニュアンスの場合はどの漢字を使うか迷うことがあります。最近、パソコンで文章を使うときに、漢字の書き順と書送り仮名とか、点を付ける、付けないとかでは迷わなくなりました。それよりも、どの漢字を使うかを考えることが大変になりました。よく打ち間違えるのが、「始め」と「初め」、「写す」と「映す」、「取る」「撮る」「採る」「捕る」「執る」「獲る」「盗る」などまだまだあります。この微妙な差は、どの漢字を使うかで、心持などが入り、逆に日本らしい細やかさを感じます。その差は、なにも漢字だけでなく、英語にもありますが、もっと直接的な差であるようです。
たとえば、「みる」という言葉を英語でいうと、大まかに「see」と「look」と「watch」があります。たとえば、1人称を表す言葉として、日本語では、「私」のほかに「ぼく」とか「おれ」とか300種類くらいあるといわれていますが、英語では、「I」ひとつです。それに比べて、「みる」という音は日本ではひとつですね。英語のそれぞれの違いは、「see」は「見えている状態」「look」は、「それに加えて特定の対象物に焦点を合わせた状態」「watch」は、「それに加えて対象物の動きを逐一目で追う状態」というように言われています。したがって、seeから順に注意深く見るように見方が深まっていくように使い分けます。
それを日本語では、音ではひとつですが、その意味は非常に多くの場面で使います。その違いを、漢字で表す場合は、書き分けて書きます。瞑想における「みる」は、「観る」を使います。観には超然としたクールさ、マインドに絡まない一定の距離感が感じられます。観を辞書で引いてみると、「〔仏〕 自分の心をみつめ、仏・菩薩や象徴的像、宗教上の真理を出現させ、直観する修行法。」とあります。もちろん、この漢字を仏教用語としてだけ使うわけではありませんので、必ずしもこのような使い方をするだけではありませんが。したがって、「観」とは、普通は、「意識として在る」ことなのでしょう。そのほかにも、「みる」を当てる漢字はいろいろとあります。「診る」「看る」「視る」などです。ここにも、いろいろな見方が言い表されています。その差は、これらの漢字を使った熟語でどの漢字を使うかでわかります。
漢字検定で、どのくらい漢字が書けるかだけを試し、それを必死に覚えこませるだけでなく、漢字を通して日本人の持つ繊細な心持、その本質を見よとする心なども感じてほしいと思います。

漢字” への5件のコメント

  1. 英語はアルファベット26文字を打ち込むだけで文章がほとんど成立しますから、とても便利な言語だと思うのですが、日本語は大変です。ひらがな、カタカナ、漢字、うまく変換できないととんでもないことになります。今、話題の漢検主催の「変換ミスコンテスト」の秀作。『8日以後お願いします。』→『要介護お願いします』(これはありそうです)『ラフにはまってしまって』→『裸婦にはまってしまって』(男性はだれでもはまってしまいます)『お客様用トイレ』→『お客彷徨うトイレ』(どんなトイレなんだ)最近酔って羽目を外してしまったSMAPの草なぎ剛君の「なぎ」の字も変換できません。弓ヘンに前に刀、漢検1級にも無い難字らしい。字が分かっているのに入力できないというのはなんとももどかしいものです。

  2. 漢字はおもしろいものだとずっと思っています。どう読むかだけでなく、その漢字が持っている意味とかニュアンスみたいなものが、妙に気になってしまうことがあります。昔から「凛」という字が好きでした。うまくいえませんが、この字を見るとよしがんばろうと思えてくるから不思議です。日本人として、繊細な漢字の世界を感じていきたいと思います。

  3. いつも『たいけい』を書くときは「体系」or「隊形」で辞書のお世話になってます(笑) 漢検を受けると漢字の持つ意味に興味を持つようになりますね。
    実を申しますと、藤森先生のブログを読むときは「漢和辞書」を傍に置いてます。
    辞書を開かずに済んだ日は、ニンマリです(笑)

  4. 「漢検DS」に一時期嵌りました。漢検1級レベルになるとこれまで観たことも聴いたこともない漢字や漢字熟語に出くわします。自分の知識を過信しているわけではありませんが、「あ?自分なりに勉強してきたな」と自負しているその鼻の先に「観たことも聴いたこともない漢字や漢字熟語」を突きつけられます。そして「一体自分は今まで何を勉強してきたのだろう」と自責の念に駆られます。もっともおかげで「漢字」をこれまで以上に意識するようにはなりましたが・・・。諸言語にそれぞれ奥深さはあります。それでも表記の仕方に「平仮名」「片仮名」「漢字」という3種類の文字を持ち、また抑揚によって同一音表記がさまざまな意味を持つ「日本語」には想像を絶するものを感じます。同時に文化の深遠さを一日本人として認識できます。

  5.  私も小学校の時には、漢字テストをよくやったのを覚えています。内容はブログに書かれているように、読み書きでした。まれに書き順の問題もあったような気がします。それにしても今回のブログを読んで、改めて漢字というのは本当に奥が深いと思いました。英語と比べると、一つの同じ読み方の単語でも漢字が違うだけで意味が大きく違ってしまいますし、漢字一文字でも意味を成しているのは、漢字しかない持ち味だと思います。漢字を覚える際に、ただ何度も書いて機械的に覚えるのでなく、一つ一つの漢字の意味を理解しながら覚えていく方が、知識も深まるような気がします。

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