アレルギー

 園では、新年度が始まりました。毎年、新年度になると行うものの一つに子どものアレルギー調査があります。園では、昼食、夕食、おやつ、捕食を出すために、とりあえず食についてのアレルギーを調査し、医師との相談のうえ除去食治療を行うのです。最近、その対象児童が増えてきたことに何か心配になります。今年の除去食治療を行う予定の園児は、全園児の16%もいます。ほとんどは2歳までの子ですので、ミルクしか飲まない0歳児を除いて1、2歳までの園児の中では60%もいます。そのアレルギーのほとんどは卵白ですが、大豆や乳製品、中には、水も含めてほとんどだめという子もいます。
 最近の子どもの体がおかしいという実感調査では、1978年の調査では、「背中ぐにゃ」という席についてきちんと座っていることができず、背筋がぐにゃっと曲がっている状態が1位でした。2位は、「朝からあくび」で、3位が「アレルギー」でした。ところが1990年以来、アレルギーがずっとトップで、いわゆる免疫系の異常が問題だそうです。
 瀧井宏臣著「教育七五三の現場から」(祥伝社)の本の中に、こんなことが紹介されています。日本の小児医療の司令塔ともいえる東京都世田谷区にある国立成育医療センターが2000年に医学部の学生を対象に実施したアトピー素因の調査結果です。
 その結果、95人の学生中85人、全体の90%がアレルギー体質を持っているという結果が出ました。過去の調査では、1960年代ではわずか数%だったのが、70年代で25%、90年代で40%、そして、2000年には90%に達したといいます。この本の中では、このような状況を「最近の乳幼児でアレルギー体質でない子どもを見つけるほうが難しい。」とまで言っています。
 なぜ、こんなにもアレルギー体質が増えたかということを成育医療センター部長はこんなことを言っています。
「アレルギー体質の激増は遺伝子そのものの変化ではなく、免疫を担当する細胞の一つ、ヘルパーT細胞の型が?型から?型に変わったからだということです。?型はIgE抗体の生産を抑えますが、?型は生産を促進する働きがあります。両者はお互いの細胞の増殖を抑制しあうので、どちらかが優位に立ち、一生続くことになるそうです。では、どうなると?型が優位になるのでしょうか。妊娠中、胎児は母親にとって異物と同じですから、免疫のしくみが働いて胎児を排除しないように、?型は出産後、赤ちゃんが細菌やウイルスに感染することによって発達するのです。ところが、清潔すぎる環境や抗生物質の過剰投与によって、乳幼児期に細菌やウイルスに感染することが少なくなってしまった。その結果、?型の発達を妨げ、?型が優位になってしまったというのです。抗生物質の投与などによって日本の乳幼児死亡率は世界一低くなりましたが、その代償として、子どもたちの9割がアレルギー体質になった。」
 これは、あくまでもまだ仮説の段階ではありますが、要するに、菌対策というあまりに清潔主義に陥り、また、熱などが出た時に、自らそれを下げる努力をする前に薬で下げてしまう事、ただ子どもに感染症をうつさないように神経質になることなどが、子どもの体に変調をきたしているようです。

アレルギー” への4件のコメント

  1. 子どもを菌から守るために清潔にし過ぎてアレルギーが増え、子どもがケガをしないように角などの危ない箇所をなくしたら危険回避の力が落ちるなど、なんだかおかしなことが起きていますね。いくら思いが強くても方向を間違えると大変なことになります。方向の点検は大事ですね。

  2. 子どもの健康のために、より清潔な環境が必要と、県の指導監査の時に、保育室を無菌状態にしないといけないような厳しい指導を受けたと嘆いていた園長先生がいました。いずれ食品工場のようにシャワールームをつくらないといけませんね(笑)。しかし、実際、多額の費用をかけて、夜間や休日に機械で殺菌作業をしている園はあります。良かれと思ってしていることが、かえって子どもの免疫力を奪うような保育になっていないか…。私たち業者も人のことは言えません。消毒関係の商品はよく売れていますし、最近はアレルギー対応の給食の食材にも注目が集まっています。藤森先生のお話を読むと、私たちはまるで「マッチポンプ」のようでとても考えさせられます。

  3. 新入園児関連の書類が区役所から送られてきます。その中に「アレルギーはありますか」という質問項目があり「はい」「いいえ」で保護者が答える欄があります。「いいえ」が丸で囲まれているとホッとします。最近は母親もアレルギー検査を行ないアレルギー反応があるとその食材をその子どもにも提供しないようにと医者から指示があるとか。何だか凄いことになっています。「清潔すぎる環境や抗生物質の過剰投与」が食物アレルギーを誘発しているという仮説には首肯できるものがあります。そして「日本の乳幼児死亡率は世界一低くなりましたが、その代償として、子どもたちの9割がアレルギー体質に」とは何とも皮肉なことです。そういえば「卵アレルギー」の方はインフルエンザの予防接種も受けられないのですね。そのことを知ったときは本当に驚きました。どーなってるの?

  4.  90年代にすでに40%もアレルギー児がいたとは驚きました。その時代、私は幼稚園に通っていましたが、アレルギーを持っている子はいたかな?と思います。ただ昼食はお弁当だったので、アレルギーを持っている子が、どれだけいたかなんて、分からなかったからかもしれませんが。それにしても、今の保育園で働き始めて、アレルギー児があんなにいるなんて、驚きました。さらには、お茶も飲めないから、沸騰させた水じゃないと飲めない子がいるなんて、思ってもいませんでした。藤森先生の言われる通り、菌対策と言って清潔にしすぎたのでしょうか。子どものためだと思って、潔癖主義にしていることが逆に子どもに大きな負担を与えているのですね。だからと言って不潔にすれば言いわけでもありませんが…なんだか難しいです。

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